DevOpsエンジニアのフリーランスの将来性とキャリアの広げ方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
DevOpsエンジニアの仕事は、パイプラインやIaCを一から書く作業の比重が下がり、どの道具を選び、複数のチームが安全に使える共通の仕組みとして運営するかを判断する仕事へ広がっていくと考えるのが現実的です。IaCの道具はライセンスや提供の形が変わり、複数のチームが使う基盤をどう作るかについての公的な指針も出てきています。
選択肢を広げるには、CI/CDとIaCの経験に、道具の選定と移行、社内の開発者向けの基盤づくり、パイプラインの安全の確保のどれかを重ねるのが近道です。この記事では、2026年10月時点で公式のページから確かめられる動きを手がかりに、仕事の変化と経験別の広げ方を整理します。
公式に確かめられる主な動き
| 時期 | 公表されていること | DevOpsの仕事への影響 |
|---|---|---|
| 2023年8月 | HashiCorpが、今後の製品のリリースのライセンスをMPL 2.0からBSL 1.1に変えると発表 | IaCの道具の選び方が、技術だけでなくライセンスの観点でも問われるようになった |
| 2025年2月 | HashiCorpがIBMに加わり、IBM Softwareの一部門として続くと発表 | Terraformの提供元の体制が変わった |
| 2025年12月 | CDK for Terraformが非推奨となり、保守とサポートが終わった | 使っている現場では、別の書き方への移行が課題になる |
| 2026年1月 | DORAが、ソフトウェアの届け方を測る指標を5つに整理した案内を更新 | 成果を測る共通の言葉が更新された |
このほか、Terraformのフォークとして始まったOpenTofuが、Linux Foundationのもとで開発されています。また、CNCFのTAG App Deliveryは、社内の開発者向けの基盤の考え方を白書にまとめています。いずれも、DevOpsエンジニアが「どの道具で、どんな仕組みを作るか」を選ぶ場面を増やしている動きです。
IaCの道具は「選ぶ仕事」が増えている
HashiCorpは2023年8月10日の発表で、今後の製品のリリースをBSL 1.1で提供し、APIやSDK、ほとんどのライブラリはMPL 2.0のままにすると説明しています。利用者は商用を含めて使い続けられる一方、HashiCorpと競合する提供の形については制限があるとされています。ライセンスの解釈が自分の仕事に関わるかどうかは、利用の形によって変わるため、判断に迷う場合は契約先の法務や専門家に確かめてください。
この変更をきっかけに、Terraformのフォークとして、Linux Foundationのもとで運営されるOpenTofuが生まれました。OpenTofuの公式サイトでは、Terraformと置き換えて使える道具として紹介されています。
さらに、HashiCorpの公式ドキュメントでは、TypeScriptやPythonなどでTerraformの構成を書けるCDK for Terraformが2025年12月10日に非推奨となり、保守もサポートもされなくなったとされています。一方、HCP Terraformでは、モジュールを部品として組み合わせ、環境ごとに繰り返し展開する「Stacks」が一般提供されています。
こうした変化で増えているのは、次のような仕事です。
- 今の道具を使い続けるか、別の道具へ移るかを、ライセンス・提供元・社内の体制から比べる
- 非推奨になった道具で書かれた構成を、保守できる形へ移す
- 道具を変えても困らないよう、モジュールの分け方やstateの管理を整理しておく
道具を使える人から、道具を比べて選べる人へ移ることが、IaCの分野で長く頼られるための一つの道です。Terraformの基本を体系的に示したい場合はTerraform Associateの記事も参考になります。
社内の開発者向けの基盤づくりが仕事になる
CNCFのTAG App Deliveryがまとめたプラットフォームの白書では、プラットフォームを、利用者の必要に合わせて提供される機能のまとまりと位置づけています。挙げられている機能の領域には、ビルドとテストの自動化、デリバリーと検証の自動化、推奨の手順をまとめたテンプレートと文書、開発環境、観測、認証情報と秘密情報の管理、成果物の保管などが含まれています。
これは、DevOpsエンジニアが個々のチームでやってきたことを、組織全体で使える製品として提供する考え方です。白書では、製品として扱うこと、セルフサービスで使えること、開発チームの負担を減らすこと、必要な部分だけ選べること、最初から安全であることなどが特徴として挙げられています。
フリーランスにとっては、パイプラインを作る技術に加えて、利用者であるチームの声を聞き、使われ方を見て改善する役割が、仕事の範囲として広がっていく方向です。コンテナ基盤の運用そのものは別の専門性として扱われることが多いため、DevOpsの立場からは、基盤の上で開発者が迷わず使える流れを整える部分を強みにすると、役割を分けやすくなります。
成果の測り方とAIの扱い
DORAは、2026年1月に更新した案内で、ソフトウェアの届け方の指標を、スループット(変更のリードタイム、デプロイの頻度、失敗したデプロイからの復旧時間)と、不安定さ(変更の失敗率、デプロイのやり直し率)の5つに整理しています。以前の4つの指標から見直され、復旧の指標も「失敗したデプロイからの復旧時間」に置き換えられています。
生成AIでコードや設定の変更が増える中で、変更を速く安全に届けられているかを測る仕組みを持っていることは、DevOpsエンジニアの価値を説明する材料になります。AIと信頼性の関係についてはSREの将来性の記事、生成AIの基盤の側の変化は生成AIエンジニアの将来性の記事で扱っています。
パイプラインの安全が問われる場面が増える
CI/CDは本番を変更できる強い権限を持つため、外部の部品や認証情報の扱いが問われます。GitHubの公式ドキュメントでは、外部のアクションをコミットのハッシュ値で固定すること、依存関係のロックファイルを使えるリポジトリではそれがハッシュ値での固定に代わること、ワークフローに渡すトークンの権限を必要な最小限にすることなどが案内されています(2026年10月時点)。
こうした案内は更新されていくため、公式の推奨の変化を追い、既存のパイプラインに反映することが、DevOpsエンジニアの定常の仕事になりつつあります。セキュリティの専門家と組んで、パイプラインの安全を担う方向に広げることもできます。
経験に応じた広げ方
CI/CDやIaCの担当者として経験を積んでいる人
既存のパイプラインの手直しが中心の場合は、一つのサービスで、流れを一から組む経験と、既存の環境をコードに取り込む経験を作ることを優先します。道具の選定の経緯を、自分で説明できるようにしておくと、次の段階に進みやすくなります。
一つのチームの仕組みを任されている人
作った仕組みを、雛形や手引きの形にして、ほかのチームに使ってもらう経験を作ります。利用者の声を聞き、改善した記録は、社内の開発者向けの基盤づくりの案件で説明の材料になります。
複数のチームの基盤を担っている人
道具の比較と移行の計画、パイプラインの安全の方針、成果の指標の整備など、組織の判断に関わる仕事に広げます。発注側の責任者と方針を決める上流の役割を目指す場合は、上流工程の案件に入るための記事も参考になります。クラウドの側から広げる道筋はAWSエンジニアの将来性の記事で解説しています。
よくある質問
TerraformとOpenTofuのどちらを学ぶべきですか?
応募したい案件で使われている方を優先するのが現実的です。OpenTofuはTerraformのフォークとして始まった道具のため、構成の書き方やstateの考え方には共通する部分が多くあります。どちらを使う場合も、モジュールの設計とstateの管理の経験が中心に見られます。
CDK for Terraformで書いた経験は、もう役に立ちませんか?
経験そのものが無駄になるわけではありません。プログラミング言語でインフラを書いた経験や、モジュールを部品に分けた考え方は生かせます。非推奨になった構成を別の形へ移す案件では、元の書き方を読めることが役に立つこともあります。
プラットフォームエンジニアリングは、DevOpsとは別の職種ですか?
呼び方は会社によって違います。CNCFの白書が示すように、開発者向けの共通の機能を製品として提供する考え方で、DevOpsエンジニアが担ってきた仕事と重なる部分が多くあります。案件では、職種の名前より、何チームに使われる仕組みを作るのかを確かめることをおすすめします。
参考にした公的情報・資料
- HashiCorp adopts Business Source License(HashiCorp)
- HashiCorp officially joins the IBM family(HashiCorp)
- OpenTofu
- CDK for Terraform(HashiCorp Developer)
- Stacks(Terraform|HashiCorp Developer)
- CNCF Platforms White Paper(CNCF TAG App Delivery)
- DORA's software delivery performance metrics(DORA)
- Secure use reference(GitHub Docs)
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