ノーコード・ローコード開発者のフリーランスの将来性とキャリアの広げ方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
ノーコード・ローコード開発者のフリーランスの将来性は、画面を組む作業の速さではなく、業務とデータをどう設計し、AIを含む機能をどこまで業務に任せ、社内に広げて定着させられるかで変わります。2026年10月時点で、主なツールはいずれも、AIに指示してアプリを作る機能や、アプリの中でAIを使う機能を打ち出しています。
作る作業が軽くなるほど、何を作るべきか、作ったものをどう管理するかを決められる人の価値は増します。この記事では、公式の発表から見える方向と、経験に応じたキャリアの広げ方を整理します。Power Platform と RPA の将来性は、それぞれ別の記事で扱います。
主なツールが打ち出している方向
各ツールの公式サイトで確かめられる内容を、ツールの種類ごとに整理します(いずれも2026年10月時点)。ツールの優劣を比べるものではありません。
| ツールの種類 | ツール | 公式に示されているAI関連の機能・方向 |
|---|---|---|
| 業務アプリ型 | kintone | 「kintone AI」として、検索AI、アプリ作成AI、プロセス管理設定AI、スレッド要約AI、レコード一覧分析AI、アプリ設定レビューAIの6つの機能を案内。スタンダードコースとワイドコースが対象 |
| 業務アプリ型 | AppSheet | Gemini を使い、やりたいことを説明してアプリを作れると説明。アプリへのAIの組み込みや、文書の読み取り(OCR)を使った自動化も案内 |
| データベース型 | Claris FileMaker | スクリプトや API でAIのサービスにつなぐ機能を案内。新しいリリースで Google Gemini への対応、意味にもとづく検索の強化などを追加し、エージェント型の開発の機能を開発中と説明 |
| Webアプリ型 | Bubble | AIエージェントとビジュアルエディタを切り替えて開発できると説明。外部のAIエージェントを MCP 経由で接続する機能をベータとして案内 |
kintone の開発者向けサイトでも、AIを使った開発(AI駆動開発)に関する情報が案内されています。各機能の提供段階や対象の条件は変わることがあるため、案件で使う前には公式の最新情報を確かめてください。
作る作業が軽くなると、何が残るか
AIに指示してアプリの土台を作れるようになると、画面や項目を一つずつ設定する作業は短くなっていきます。一方で、次のような仕事は、ツールが代わりに決めてくれるものではありません。
- 何をアプリにするかを決める:業務のどこを変え、どこは手順の見直しで済ませるか
- データの持ち方と権限を決める:アプリが増えても、同じ情報が散らばらず、見せてよい人にだけ見せる構造にする
- AIに任せる範囲を決める:検索や要約、分析に使うデータの範囲、結果を人が確かめる場面を決める
- 社内の作り手を支える:業務部門の人がAIの助けを借りてアプリを作れるようになるほど、作成や変更のルール、管理の仕組みが要る
kintone AI に「アプリ設定レビューAI」が含まれているように、作ったアプリの設定を見直す作業もAIの支援の対象になりつつあります。だからこそ、レビューの結果をどう判断し、どの基準で直すかを決める役割が、人に残ります。
AIの機能が入る案件で問われること
AIの機能を業務に使う案件では、ツールの操作に加えて次の点が問われます。
- データの準備:検索や分析にAIを使うなら、元のデータが整っていることが前提になる。項目の揺れや重複を減らす作業が先に来る
- 使ってよいデータの範囲:顧客や従業員の情報を含むデータを、AIの機能の対象にしてよいかを、発注側の方針に沿って確かめる
- 使用量と費用の見通し:kintone AI の案内では、AIクレジットの上限がコースによって異なり、機能ごとに使用量も異なると説明されている。どの業務でどれだけ使うかの見通しを、発注側と共有する
- 結果を確かめる手順:要約や分析の結果を、誰がどの場面で確かめるかを業務の手順に組み込む
生成AIの普及で、フリーランスの仕事全般がどう変わるかは生成AIの普及で仕事はどう変わるかの記事で解説しています。
経験の段階に応じた広げ方
構築を中心に担ってきた人
AIでアプリの土台を作れるようになるほど、構築だけの仕事は短くなっていきます。まずは、業務の聞き取りとデータの設計に関わる機会を増やすことが広げ方の基本です。使っているツールのAI機能を検証の環境で試し、どこまで任せられ、どこで人の手直しが要るかを自分の言葉で説明できるようにしておくと、案件の話題に出たときに対応しやすくなります。
設計から担ってきた人
二つの方向に広げられます。一つは、拡張や外部連携、AIの機能を含む設計に進む方向です。もう一つは、社内展開と管理の仕組みづくりに進む方向で、作成や変更のルール、権限の考え方、使われていないアプリの見直しの手順を整える役割です。どちらに進むかは、これまでの経験と関心に近いほうを選ぶのが現実的です。
全体を任されてきた人
業務部門と情報システム部門の間に立ち、どの業務をどの種類のツールで作るか、外部の開発に頼む部分はどこかを決める役割に広がります。DX推進や内製化の支援として、構想の段階から関わる案件もあります。この方向はDXコンサルタントの将来性の記事や上流工程の案件に入るために必要な経験も参考になります。
動向を追い続けるための情報源
ノーコード・ローコードのツールは、機能の追加や変更が続く分野です。動向を追うときは、次のような公式の情報源を中心にすると、うわさや古い情報に振り回されにくくなります。
- 各ツールの公式サイトの機能紹介と、更新情報のページ
- 開発者向けのサイト(kintone の場合は cybozu developer network。APIドキュメントや、検討中の新機能を紹介するページもある)
- 提供元が案内する無料の開発者向けの環境や、検証用の環境
案件の提案や面談で新しい機能に触れるときは、「いつ時点の公式の情報で確かめたか」を添えると、発注側が判断しやすくなります。
ツールの種類を広げるときの考え方
一つのツールで経験を積んだあと、別の種類のツールに広げる人もいます。このとき、ツールの操作より、作るものの性格の違いを意識すると、経験を生かしやすくなります。
- 業務アプリ型からデータベース型へ:データ構造の設計の経験は生きる。運用環境やバックアップの管理を新たに学ぶ
- 業務アプリ型からWebアプリ型へ:業務の整理の経験は生きる。社外の利用者向けの画面設計、ログインと権限、公開後の運用を新たに学ぶ
- Webアプリ型から業務アプリ型へ:画面とデータの設計の経験は生きる。社内の業務の聞き取りと、利用者への展開の進め方を新たに学ぶ
扱うツールの数を増やすことより、それぞれの種類で設計から定着までやり切った経験を持つことが、案件で評価される経験になります。
よくある質問
AIでアプリが作れるようになると、ノーコード・ローコード開発者の仕事はなくなりますか?
現時点で言い切ることはできません。画面を組む作業は短くなっていく可能性がありますが、何をアプリにするか、データと権限をどう設計するか、社内でどう管理するかを決める仕事は残ります。作業の担い手から、判断と管理の担い手へと重心を移していくことが、広げ方の基本になります。
今のうちにAIの機能を学んでおくべきですか?
使っているツールのAI機能を検証の環境で試しておくと、案件で話題に出たときに対応しやすくなります。ただ、機能そのものより、どの業務に使い、結果を誰が確かめるかを説明できることのほうが、案件では評価されやすい傾向があります。
40代・50代からでも広げられますか?
業務の知識や、部署をまたいで調整してきた経験は、この分野で生かしやすい強みです。構築の速さで競うより、業務の整理や社内展開の役割に寄せると、経験を生かしやすくなります。年齢と役割の考え方は40代・50代の記事で扱います。
参考にした公的情報・資料
- kintone AI(サイボウズ)
- cybozu developer network(サイボウズ)
- Claris FileMaker(Claris)
- AppSheet(Google)
- Bubble(Bubble Group)
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