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正社員との比較・転職転職の職務経歴書でフリーランス期間をどう書くか|職歴欄・案件の並べ方・書かないこと
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
転職の職務経歴書では、フリーランス期間を「個人事業主として業務委託で活動した一つの職歴」としてまとめ、その中に案件を並べて書きます。案件ごとに別の会社に勤めたように書くと、転職回数が多く見えたり、短期で辞めた印象を与えたりするためです。
そのうえで、活動の形(稼働日数やリモートの有無)、契約の形、案件ごとの役割と成果を示します。取引先の社名や報酬の額は書きません。この記事では、履歴書の職歴欄、職務経歴書の組み立て、案件の書き方、書かないことの順に整理します。転職活動全体での評価のされ方はフリーランスから正社員に戻る記事で扱っています。
履歴書の職歴欄は「開業」と「現在」の2行が基本
履歴書の職歴欄は、職務経歴書よりも短く書きます。フリーランス期間は、案件ごとに行を分けず、始まりと終わりを示します。
| 年月 | 記載の例 |
|---|---|
| 20XX年◯月 | 個人事業主として開業(ITエンジニアとして業務委託で活動) |
| 20XX年◯月 | 現在に至る(または「廃業」) |
開業届を出している場合は、届出に書いた開業日とずれないように書くと、説明がしやすくなります。国税庁の案内では、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は事業を始めた人が出す届出で、事業をやめたときも同じ届出書を使います。転職が決まって事業をやめる時期は、職務経歴書を出す時点では未定のことが多いため、「現在に至る」と書いておき、面接で予定を伝えれば足ります。
開業届を出さずに活動していた場合も、「フリーランスとして活動開始」のように、実際に業務委託で働き始めた時期を書きます。法人を作って活動していた場合は、その会社名と役職(代表取締役など)を書く形になります。
屋号は書いても書かなくてもよい
屋号を使っていた場合は、「個人事業主(屋号:◯◯)」と添えることができます。屋号から事業の内容が伝わる場合や、ポートフォリオのWebサイトと結び付けたい場合は書いておくと便利です。屋号がない場合は、無理に作る必要はありません。
職務経歴書の組み立て方を選ぶ
職務経歴書の形式は、大きく分けて次の3つがあります。フリーランス期間の長さや案件の数で、向いている形が変わります。
| 形式 | 並べ方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 逆編年体 | 新しい経歴から古い経歴へ | フリーランス期間の直近の案件が、応募先の仕事に近い人 |
| 編年体 | 古い経歴から新しい経歴へ | 会社員時代からの成長の流れを見せたい人 |
| キャリア式 | 領域や役割ごとにまとめる | 案件の数が多く、時系列では読みにくい人 |
案件が10件を超えるような場合は、キャリア式で「要件定義・PMO」「クラウド基盤の構築」のように領域ごとにまとめ、その下に案件を並べると読みやすくなります。時系列が分からなくならないよう、冒頭に経歴の年表を短く添えるとよいでしょう。
フリーランス期間の冒頭に書くこと
フリーランス期間のまとまりの最初に、活動の全体像を数行で示します。採用側はここで「どんな働き方をしてきた人か」をつかみます。
- 期間:20XX年◯月〜現在
- 活動の形:業務委託(準委任契約が中心)。常駐かリモートか、週の稼働日数
- 主な領域:業界と、担ってきた工程や役割
- 取引の形:取引先と直接契約していたか、案件紹介サービスなどを通じた契約か(書く場合は概要だけ)
- 並行していた案件:同時に複数の案件を受けていた期間があるか
特に「活動の形」は、正社員の経歴では書かない項目です。週3日の案件を2つ受けていた人と、週5日で1つの案件に入っていた人とでは、同じ期間でも経験の中身が違います。ここを書いておくと、案件の数や期間の短さを誤解されにくくなります。
案件ごとに書く項目
案件の欄は、どの案件も同じ項目で書くと比べやすくなります。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 期間 | 年月で書く。並行していた案件は期間が重なっても、そのまま書く |
| 業界・規模 | 社名ではなく「金融業界・従業員数千名規模」のように書く |
| プロジェクトの概要 | 何のシステムを、どの段階から関わったか |
| 立場と役割 | 発注側のチームの中でどの役割を担ったか。チームの人数 |
| 担当工程 | 要件定義、設計、開発、テスト、運用など |
| 技術・手法 | 使った言語、クラウド、ツール、管理手法 |
| 成果 | 自分が関わって何が変わったか。数字は比率や方向で示す |
| 契約の継続 | 更新を重ねた、範囲が広がったなど、評価が分かる事実 |
会社員の言葉に置き換えすぎない
業務委託では、発注側から仕事の進め方を細かく指示される関係ではなく、合意した範囲の業務を自分の判断で進めるのが基本です。そのため、「上司の指示のもとで」「配属されて」といった会社員の言葉に置き換えると、実態とずれることがあります。
代わりに、次のような書き方で、任された範囲と自分の判断を示します。
- 「発注側の責任者と合意した範囲で、テスト計画の策定から実行までを担当」
- 「当初は開発のみの契約だったが、2回目の更新から設計工程も担当」
- 「発注側の社員3名と協力し、運用手順の見直しを提案・実施」
契約の範囲が広がった、更新が続いたといった事実は、業務委託ならではの評価の表れです。正社員の昇格や表彰の代わりに、成果を裏付ける材料として書いておきましょう。
短い案件・並行案件・空白期間
数週間から数か月で終わった案件は、契約がもともと短期だったのか、途中で終わったのかを一言添えます。「移行作業の支援として3か月の契約」のように書けば、短期で辞めたという誤解は避けられます。
並行していた案件は、期間が重なっていても隠さずに書きます。稼働日数を添えると(例:「週3日」「週2日」)、両立できていたことが伝わります。案件と案件の間の空白期間の説明の仕方は空白期間の説明の記事で整理しています。
職務要約と自己PRで「なぜ今、正社員か」をつなぐ
職務経歴書の冒頭の職務要約では、フリーランス期間を含めた経歴全体を3〜5行で示します。フリーランス期間を「つなぎ」の時期のように書くのではなく、そこで広がった経験を応募先の仕事につなげて書くと、読み手に伝わりやすくなります。
自己PRでは、業務委託で身につけた力を、組織の中でどう生かすかまで書きます。
- 複数の現場で、短期間で状況をつかみ、成果を出すまでの進め方
- 契約範囲を意識した、見積もりや作業範囲の調整
- 立場の違う関係者との合意形成
「なぜ正社員を選ぶのか」は、職務経歴書では一言にとどめ、面接で詳しく話す形でかまいません。働き方の違いをどう考えたかを整理するときはフリーランスと正社員の判断の軸の記事が参考になります。
書かないこと・書き方に注意すること
取引先の社名と秘密情報
取引先の社名、公表されていないプロジェクトの内容、未公開の数値は書きません。業務委託の契約には秘密保持の条項があるのが一般的で、契約が終わった後も続くことがあります。ぼかし方の具体例はスキルシートと守秘義務の記事で詳しく扱っています。
公正取引委員会などの「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和8年1月1日改定)は、発注者に役務を提供した事実が新しい取引先を得るうえで重要な情報なのに、合理的に必要な範囲を超えて一方的にその公表を制限する秘密保持義務を設けることを、優越的地位の濫用として問題となり得る例に挙げています。ただし、これは発注者側の義務の設け方についての考え方です。自分の契約で何が秘密とされているかは、契約書で確かめてから書いてください。
報酬の額
月額の単価や売上の額は、職務経歴書には書きません。応募書類や面接で現在の年収を聞かれた場合は、売上ではなく、経費などを差し引いた所得をもとに答えるほうが、正社員の年収と比べやすくなります。比べ方は正社員の年収とフリーランスの単価の比べ方の記事で解説しています。
よくある質問
フリーランス期間が1年未満でも、職歴として書くべきですか?
書いてください。期間が短くても、その間に何をしていたかが分からないと、空白期間として受け取られます。案件が1件だけでも、役割と成果を書いておけば経験として評価されます。独立した理由と、正社員を選ぶ理由を面接で説明できるようにしておきましょう。
会社員として働きながら副業で受けた業務委託も書いてよいですか?
応募先の仕事に関係する経験であれば、本業の職歴とは分けて「副業として業務委託で担当」と書くことができます。ただし、本業の勤務先の規則に沿って行った副業であること、秘密保持の範囲を守ることが前提です。本業の職歴より目立たせすぎないよう、要点だけにとどめるのが読みやすい書き方です。
案件紹介サービス経由で受けた案件は、どう書けばよいですか?
職務経歴書で大切なのは、実際にどの現場で何をしたかです。間に入った会社の名前を書く必要は通常ありません。業界と規模、プロジェクトの概要、役割を書けば足ります。取引の形を書く場合は、冒頭の全体像で「直接契約と、案件紹介サービスを通じた契約の両方」のように概要だけを示します。
参考にした公的情報・資料
- 個人事業の開業・廃業等届出書の提出手続(国税庁)
- No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(国税庁)
- フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。