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IT監査・内部統制コンサルのフリーランスの将来性とキャリアの広げ方

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

IT監査・内部統制コンサルの仕事は、会社の業務がITと外部の委託先に深く依存するほど、確かめる対象が広がっていく分野です。2026年10月時点でも、国内の内部統制の基準の改訂でITの委託業務やサイバーリスクへの対応が明記され、内部監査の国際的な基準にもサイバーセキュリティや外部委託についての要求事項が加わっています。

一方で、前年の手続をなぞってテストを回すだけの仕事は、評価の頻度の見直しや作業の自動化で形を変えつつあります。この記事では、公式に公表されている動向を確かめたうえで、仕事の変わり方と、経験の段階に応じた広げ方を整理します。

公式に公表されている主な動向(2026年10月時点)

動向公表されている内容IT監査・内部統制の仕事への影響
内部統制の基準の改訂企業会計審議会が2023年4月に改訂の意見書を公表。2024年4月1日以後に開始する事業年度の評価と監査から適用ITの委託業務、サイバーリスク、評価の頻度の判断が論点に
内部監査の国際的な基準内部監査人協会(IIA)がグローバル内部監査基準を公表し、すべての内部監査部門がこの基準に適合することを期待するとしている内部監査部門の体制と進め方の見直し
基準の分野別の要求事項IIAは分野別の要求事項を順に定めており、サイバーセキュリティは2026年2月5日、外部委託(Third-Party)は2026年9月15日に発効。それぞれ公表から12か月後に発効するとしている内部監査でサイバーと委託先を扱うときの確かめ方がそろう
システム監査技術者試験IPAは現行の試験制度を2026年度の実施で終え、2027年度から新しい制度に移る予定資格の扱いを今後の案内で確かめる必要

内容は金融庁、IIA、IPAの公表資料で確かめたものです。適用の時期や扱いは会社の決算期や体制によって変わるため、個別の会社の対応は、基準の本文と外部の監査人との協議でご確認ください。

内部統制の基準の改訂が生む仕事

ITの委託業務を評価する仕事

改訂の意見書では、「ITへの対応」について、ITの委託業務に係る統制の重要性が増していること、サイバーリスクの高まりなどを踏まえて情報システムのセキュリティの確保が重要であることが記載されました。クラウドや外部の運用サービスを使う会社が増えるほど、受託会社の報告書を読み、足りない部分を確かめる仕事は増えていくと考えられます。報告書の範囲と自社の使い方のずれを見つけられる人は、委託先の評価の仕組みづくりまで任されやすくなります。

評価の頻度を判断する仕事

改訂では、ITを利用した内部統制の評価を一定の頻度で行うことについて、経営者がITの環境の変化を踏まえて慎重に判断し、必要に応じて監査人と協議すべきで、特定の年数を機械的に当てはめるものではないことが明確にされました。毎年同じ範囲をテストする仕事より、「今年どこを確かめるべきか」を変化から判断する仕事の比重が高まっていくと考えられます。

評価範囲の考え方の見直し

評価範囲を決めるときに、例示されている数値の目安を機械的に当てはめず、財務報告への影響の大きさを考えることも明確にされました。意見書では、こうした数値の目安の段階的な削除を含む扱いについて、今後審議会で検討するとされていました。その後の扱いは金融庁の公表資料でご確認ください。決算の手順の側から見た変化は財務・経理コンサルタントの将来性の記事で扱っています。

内部監査の側で広がる仕事

改訂後の内部統制の基準では、内部統制とガバナンス、全組織的なリスク管理を一体的に整備・運用することの重要性が示され、体制の考え方として3線モデルなどが例示されています。内部監査人については、熟達した専門的能力と専門職としての正当な注意をもって職責を全うすることや、取締役会と監査役等への報告の経路も確保することの重要性が記載されました。

国際的にも、IIAのグローバル内部監査基準と、サイバーセキュリティや外部委託などの分野別の要求事項がそろってきています。社内にITの監査の専門家が少ない内部監査部門では、こうした分野の監査を外部の専門家に補ってもらう形が考えられます。J-SOXの範囲を超えて、サイバーセキュリティや委託先の管理を監査できる人は、内部監査の支援の案件で選択肢が広がります。

自動化が進む中で残る仕事

証跡の取得、母集団の突き合わせ、権限の一覧の比較などは、ツールで自動化しやすい作業です。作業が自動化されるほど、IT監査・内部統制コンサルに残るのは次のような仕事です。

AIを使った業務の仕組みを導入する会社では、その仕組みが財務報告や業務の判断にどう影響するかを確かめる場面も出てくると考えられます。CISAについて、ISACAはAIなどの新しい技術にも対応していると案内しています。働き方全体への影響はAIで仕事はどう変わるかの記事でも解説しています。

経験の段階に応じた広げ方

テストの担当が中心の方

まずは一つの領域で、テストの手続を自分で設計した経験を作ることをおすすめします。アクセス管理や変更管理など、得意な領域で「手続を決めた」経験があると、リードの役割を任される入り口になります。あわせて、受託会社の報告書を読む経験を一度積むと、委託先の評価の案件にも応募しやすくなります。

評価のリードを担ってきた方

改訂後の基準を踏まえた評価の範囲や頻度の見直し、委託先の評価の仕組みづくりなど、判断を伴うテーマを一つ加えると、案件の幅が広がります。J-SOXの外側に、サイバーセキュリティの監査を一つ広げるのも選択肢です。セキュリティの管理の側の動向はセキュリティコンサルタントの将来性の記事で扱っています。

内部監査の全体を見てきた方

年間の監査計画、監査役等への報告、改善の確認の仕組みづくりなど、内部監査部門の運営そのものを支える仕事が視野に入ります。国際的な基準に照らした体制の見直しは、部門の運営を知っている人だからこそ担える仕事です。

今の案件でできる準備

将来の広げ方は、今参画している案件の中でも準備できます。

  1. 改訂の後の評価に関わる:評価の範囲や頻度を見直す打ち合わせに加わり、判断の材料を作る側に回る
  2. 委託先の報告書を読む:担当の範囲に委託先が含まれていれば、報告書の範囲と自社の使い方の照合を引き受ける
  3. 自動化の仕組みを知る:証跡の取得や突き合わせに使っているツールの仕組みを理解し、その処理の正しさを確かめる方法を考える
  4. 基準の原文を読む:内部統制の基準や内部監査の基準の改訂を、解説だけでなく原文で確かめる習慣をつける

どれも、次の案件の面談で「何を判断したか」を話す材料になります。経験を書き出すときの形はIT監査・内部統制コンサルのスキルシートの記事で解説しています。

よくある質問

自動化が進むとIT監査の仕事は減りますか?

証跡を集めて突き合わせる作業は減っていくと考えられますが、何を確かめるかを決める仕事、自動化した処理そのものを評価する仕事、結果を経営層に伝える仕事は残ります。作業を担う立場から、判断を担う立場へ移る準備をしておくことをおすすめします。

J-SOXの経験しかありませんが、今後も通用しますか?

IT全般統制の評価の経験は、委託先の評価やサイバーセキュリティの監査の土台になります。J-SOXの経験を軸に、委託先やセキュリティの監査を一つ加えていくと、内部監査の支援の案件にも広げやすくなります。

新しい資格の制度を待ったほうがよいですか?

資格の制度の変化を待つより、今ある案件で評価の経験を積むほうが、面談では説明の材料になります。資格を取るかどうかは、IPAやISACAの最新の案内を確かめたうえで、応募したい案件の条件と照らして判断しましょう。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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