RPAエンジニアのフリーランスの将来性とキャリアの広げ方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
RPAエンジニアの仕事は、画面の操作を新しくシナリオにする人から、動いているロボットを管理し、AIと組み合わせた自動化のどこを人が確かめるかを設計する人へと重心が移りつつあります。RPAは自治体でも広く導入が進んでおり、作ったあとの保守や管理、野良ロボットへの対処を担える人が求められる場面が増えています。
一方で、判断の要る作業をAIに任せる自動化の考え方が、RPA製品の側でも打ち出されています。この記事では、総務省の調査とガイドブック、製品の公式の説明を手がかりに、仕事の変わり方と選択肢の広げ方を整理します(いずれも2026年10月時点で確認した内容です)。
公式の動きから見える変化
導入は広がり、課題は人材に移っている
総務省が令和8年4月24日に公表した調査の資料によると、令和7年10月31日時点でRPAを導入済みの団体の割合は、都道府県で98%、指定都市で100%、その他の市区町村で44%でした。同じ資料では、AI・RPA・生成AIのいずれかを導入済みの団体は1,322団体(全体の74.0%)とされています。
導入に向けた課題では、「取り組むための人材がいない又は不足している」という回答が最も多く、次いで費用の確保、RPAの技術を理解することの難しさが挙がっています。その他の市区町村では、「導入効果が不明」「何から取り組めばいいのか不明」といった回答も見られると、資料は説明しています。
ここから読み取れるのは、導入が進んだ組織では保守と管理の担い手が、これからの組織では何から始めるかを整理する担い手が求められているということです。どちらも、シナリオを作る技術だけでは担いきれない仕事です。
運用と管理が独立した主題になった
総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(令和7年7月)は、導入の進め方とは別に、運用の進め方を1つの章として扱っています。そこでは、RPA活用の効果は一度シナリオが完成すれば持続的に得られるものではないとし、個々のロボットのライフサイクルを管理する「マネジメント」と、守るべき共通のルールを定めて遵守状況を確かめる「ガバナンス」の体制を整える必要があると説明しています。管理されなくなったロボットを指す「野良ロボット」も、セキュリティ上のリスクになりうるものとして取り上げられています。
AIとは「組み合わせる」ものとして説明されている
同じガイドブックは、RPAには3段階の自動化のレベルがあるとされ、現在普及しているRPAツールは1段階目でAIを含まないものの、AIを搭載したほかのツールと組み合わせて使えると説明しています。特に、文字を読み取るAI-OCRとの組み合わせで、紙の申請書をデータにしてシステムに入力する一連の作業を効率化する使い方を紹介しています。
製品の側では「エージェント」との役割分担が示されている
RPA製品を提供する企業の一つであるUiPathの公式サイトでは、エージェンティックオートメーションという考え方を説明しています。そこでは、生成AIなどを使うAIエージェントが状況を捉えて計画や判断を担い、RPAのロボットはルールが明確で繰り返しの多い作業を受け持ち、人は目標の設定、例外への対応、判断の検証、統制を担う、という役割分担が示されています。RPAによる自動化がなくなるのではなく、エージェントと組み合わせて使う形が想定されている、という説明です。
製品ごとに呼び方や仕組みは違いますが、ルールで動く部分と判断の要る部分を分け、その境目と人の確かめどころを設計するという方向は共通して読み取れます。
RPAの仕事はどう変わるか
| これまで中心だった仕事 | 重みが増している仕事 |
|---|---|
| 手順書どおりにシナリオを作る | どこをルールで、どこをAIで、どこを人が判断するかを分ける |
| ロボットの本数を増やす | 動いているロボットを台帳で管理し、効果の低いものを止める |
| 止まったら直す | 止まり方を設計し、操作先の変更の影響を事前に洗い出す |
| 画面の操作を覚える | 画面を通さずにデータを受け渡す手段とも比べて選ぶ |
RPAエンジニアのスキルの記事で挙げている例外処理や、人への引き渡しの設計は、AIと組み合わせるほど重要になります。AIの出力は毎回同じとは限らないため、ロボットに渡す前に何を確かめるかを決める役割が、RPAの側に残るからです。
選択肢を広げる4つの方向
1. 業務の見直しを担う側へ
自動化の前に業務を棚卸しし、何をやめ、何を人に残し、何を自動化するかを決める役割です。総務省の調査で「何から取り組めばいいのか不明」という回答が見られるように、入口の整理を求める組織はあります。業務の側の経験を厚くしたい方は、業務コンサルタントの将来性やDXコンサルタントの将来性も参考になります。
2. 管理と統制を担う側へ
ロボットの台帳、開発のルール、リリースの判定、権限と認証情報の管理を設計する役割です。部署ごとに作られたロボットが増えた組織ほど、全体を見渡せる人が求められます。社内のIT全体の管理と重なる部分が多く、社内SE・情報システムの将来性とつながりやすい方向です。
3. AIと組み合わせた自動化を設計する側へ
文書の読み取りや分類、要約などをAIに任せ、その結果をロボットが業務システムに入力する、といった流れを設計する役割です。AIの側の評価や情報の扱いの知識が要るため、生成AIエンジニアの将来性の内容とも重なります。
4. 開発の側へ
画面を操作するより、データの受け渡しの仕組みやスクリプトで処理したほうが安定する場面は少なくありません。Pythonエンジニアの将来性で扱っているような開発の力を足すと、手段を比べて選べるようになります。特定の製品群に軸を置きたい方は、Power Platformエンジニアの将来性も参考になります。
将来に向けて今からできること
- 担った工程を言葉にする:開発だけでなく、業務の可視化、運用、管理のどこを担えるかを整理する
- 管理の経験を1つ作る:台帳や開発のルールなど、ロボットを全体で管理する仕組みに関わる
- AIとの組み合わせを小さく試す:使ってよい範囲を確かめたうえで、読み取りや分類の結果を確かめてから入力する流れを作ってみる
- 公式の情報を追う:使っている製品の公式サイトや、総務省の調査・ガイドブックの改訂を定期的に確かめる
生成AIの広がりがエンジニアの仕事全体に与える影響は、生成AIの普及でフリーランスエンジニアの仕事はどう変わるかでも扱っています。
よくある質問
RPAエンジニアの仕事は今後なくなりますか?
なくなると言える根拠は見当たりません。総務省のガイドブックや製品の公式の説明では、AIはRPAと組み合わせて使うものとして説明されています。ただ、決まった手順をシナリオにするだけの仕事は、担える人が多く、道具の進化の影響も受けやすいため、管理や設計の側に経験を広げておくことをおすすめします。
生成AIの知識はどこまで必要ですか?
AIのモデルを自分で作る知識までは求められないことが多い一方で、AIの出力がぶれることを前提に、どこで確かめ、どこで人に回すかを設計できる理解は求められます。業務のデータを外部のサービスに渡してよいかといった情報の扱いの知識も、あわせて身につけておくと安心です。
40代・50代からでも、管理や統制の役割に広げられますか?
広げやすい方向の一つです。業務の経験や、部署をまたいだ調整の経験は、台帳やルールを作って全体に浸透させる仕事に生きます。管理の役割では、関係者の合意を取りながら決まりを運用する場面が多いため、これまでの調整の経験を具体的に話せるようにしておきましょう。キャリアの組み立て方はフリーランスのキャリアプランの立て方も参考になります。
参考にした公的情報・資料
- 自治体におけるAI・RPA活用促進(令和7年度)令和8年4月24日版(総務省)
- 令和7年度「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」の調査結果の公表(総務省)
- 自治体におけるRPA導入ガイドブック 令和7年7月(総務省)
- エージェンティックオートメーション(UiPath公式サイト)
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