フリーランスの時間管理|稼働の記録と休みの取り方、1週間の予定の立て方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスの時間管理は、契約で決まった稼働の時間と、営業・事務・学習のように報酬が直接出ない時間を分けて記録することから始まります。前者だけを見ていると、実際にどれだけ働いているかが分からなくなるためです。
休みは「空いたら取る」ではなく、稼働と同じように先に予定へ入れ、取引先とも共有しておくと崩れにくくなります。この記事では、記録の分け方、1週間の予定の組み方、休みの取り方を順に整理します。
管理する時間は「稼働」だけではない
会社員のときは、勤務時間の管理を会社が担っていました。業務委託では、精算のために稼働時間を報告することはあっても、それ以外の時間を誰かが把握してくれるわけではありません。
フリーランスの1週間には、おおむね次のような時間が含まれます。
| 時間の種類 | 例 | 報酬との関係 |
|---|---|---|
| 契約上の稼働 | 開発・設計・会議・報告 | 精算や報酬の対象 |
| 事業を回す時間 | 請求書の作成、帳簿付け、確定申告の準備 | 報酬は出ないが欠かせない |
| 次の仕事のための時間 | 案件探し、面談、スキルシートの更新 | 将来の報酬につながる |
| 学習の時間 | 新しい技術や業務知識の習得 | 間接的につながる |
| 移動や待機 | 出社日の移動、会議の合間 | 契約によって扱いが違う |
厚生労働省の「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」は、個人事業者が自分の就業時間を把握し、長くなりすぎないようにすることが重要だとしています。ここでいう就業時間は、精算の対象になる稼働だけに限られません。表の2行目以降も含めて把握しておかないと、稼働は基準どおりなのに疲れが抜けない、という状態に気づきにくくなります。働きすぎの目安と体調の整え方は働きすぎを防ぐ体調管理の記事で扱っています。
記録は「精算用」と「自分用」を分ける
精算用の記録
準委任の案件では、稼働時間をもとに報酬を精算する形がよく使われます。精算用の記録は、取引先と決めた時間の数え方(単位、休憩、時間外の扱い)に合わせて付けます。書き方と提出の流れは稼働報告書の記事にまとめています。
自分用の記録
自分用の記録は、精算とは関係なく、すべての仕事の時間をおおまかに残すものです。細かく分類する必要はなく、「稼働」「事務」「営業」「学習」程度の区分で足ります。
自分用の記録を付けておくと、次のことが分かるようになります。
- 実際の時間あたりの収入:報酬を、稼働時間ではなく事務や営業も含めた時間で割ると、手元に残る効率が見えます。月額単価を時給にそろえる方法は時給換算の記事をご覧ください
- 時間が足りなくなる原因:会議が多いのか、事務に時間を取られているのかが分かります
- 次の案件の条件:事務や学習にどれだけ時間が要るかが分かると、次の案件で希望する稼働日数を決めやすくなります
精算用の記録と自分用の記録を1つにまとめてもかまいません。その場合も、取引先に出す数字は契約の数え方に合わせ、自分用の区分を混ぜないようにします。
1週間の予定の立て方
予定は、動かせないものから順に置いていくと組みやすくなります。
- 固定の予定:稼働する曜日、定例の会議、出社日
- 締め切り:納品や報告の期日、請求書の提出日、税金や保険料の納付日
- 事業を回す時間:請求や帳簿付けをまとめて行う時間
- 次の仕事と学習の時間:面談や学習の時間を、空いた時間ではなく枠として確保する
- 余白:急な依頼や想定外の不具合に対応できる時間
5番目の余白を取らずに予定を埋めると、1つの遅れが翌週まで響きます。余白をどれくらい取るかは案件の性質によって違うため、自分用の記録を見ながら調整していくのが現実的です。
連絡の取れる時間帯を決めて伝える
在宅の案件では、チャットやメールにいつでも反応できてしまいます。返信の早さが評価される場面もありますが、時間帯を決めずに対応していると、稼働の終わりが分からなくなります。
参画の初めに、連絡が取れる時間帯と、時間外に届いた連絡にいつ返すかを取引先と共有しておくと、互いに期待がずれにくくなります。稼働の曜日や時間帯の決め方は稼働率の記事で解説しています。
休みの取り方
取引先のカレンダーを先に確かめる
稼働する日は、取引先の営業日に合わせて決まることが多くあります。祝日、年末年始、夏季の休業日の扱いは会社によって違うため、参画したら取引先の年間の予定を確かめ、自分の予定表に写しておきます。
取引先が休みの日に自分も休むのか、別の案件や事務にあてるのかを決めておくと、休みの予定が立てやすくなります。
稼働日に休むときは早めに伝える
稼働日に休む場合は、決まった時点で取引先に伝えます。伝えるときは、休む日、その日に予定されていた作業や会議をどうするか、急ぎの連絡が必要になったときの扱いをあわせて共有します。エージェントを通した案件では、エージェントにも伝えておくと、精算や報告の行き違いを防げます。
連続した休みを取りたい場合の進め方は長期休暇を取りたいときの案件の調整の記事で扱っています。
稼働しない日を予定表に「予定」として入れる
休みの日を空欄のままにしておくと、急な依頼や事務作業で埋まりやすくなります。休む日も予定として先に入れ、その日は案件の連絡を見ないと決めておくと、休みが守られやすくなります。
予定どおりにいかないときの調整
稼働が膨らみ続けるとき
依頼が増えて稼働が基準を超える月が続く場合は、作業の範囲が当初の契約から広がっていないかを確かめます。2024年11月に施行されたフリーランス法では、発注側は業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を、書面や電子メールなどで示すことが求められています(公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」、2026年10月時点で確認)。示された業務の内容と、実際に頼まれている作業を比べると、話し合いの材料になります。範囲が変わるときの進め方は業務範囲の変更の記事で解説しています。
複数の案件で予定がぶつかるとき
掛け持ちをしていると、会議や締め切りが重なる週が出てきます。どちらを優先するかをその場で決めると、片方の取引先に迷惑がかかりやすくなります。重なりそうな予定は、分かった時点で両方の予定表に入れ、調整の余地があるほうに早めに相談します。掛け持ちの注意点は掛け持ちの記事をご覧ください。
会議が多すぎて作業の時間が取れないとき
参画してしばらくすると、定例や打ち合わせが増え、作業に集中できる時間が細切れになることがあります。会議の時間も稼働に含まれるのが一般的ですが、成果物の期日は変わらないため、作業の時間が足りなくなります。
自分用の記録で会議と作業の割合を出しておくと、「会議が週のこれだけを占めている」と具体的に伝えられます。そのうえで、出席が必要な会議を絞れないか、作業に集中する時間帯を会議の入らない枠として共有できないかを取引先と話し合います。
記録を見直す日を決める
自分用の記録は、付けるだけでは役に立ちません。月末の精算や請求のタイミングにあわせて、稼働以外の時間がどれだけあったかを見直すと、翌月の予定を立てる材料になります。
よくある質問
稼働時間の記録は、どの方法で付ければよいですか?
方法は何でもかまいません。表計算ソフト、手元のメモ、工数を記録する道具など、毎日続けられるものを選びます。大切なのは、その日のうちに付けることと、取引先に出す数字を契約の数え方に合わせることです。
取引先から「休みの日も連絡がつくようにしてほしい」と言われたら?
どの範囲で対応するかを話し合って決めます。たとえば、障害などの緊急時だけ連絡を受ける、対応した時間は稼働として扱う、といった形です。休日の対応が続くと、稼働時間と精算にも関わるため、扱いを決めたら書面やメールで残しておくと安心です。
事務や営業の時間も、取引先に稼働として報告してよいですか?
自分の事業のための事務や営業は、その取引先の業務ではないため、稼働として報告しません。報告できるのは、契約で決めた業務にあてた時間です。どこまでを稼働に含めるかが分からない作業は、参画の初めに取引先に確かめておきましょう。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。