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働きすぎを防ぐ|フリーランスの体調管理と、厚労省ガイドラインの目安

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

業務委託で働くフリーランスには、会社員に適用される労働時間の上限規制がかかりません。そのため、どこまで働くかの線引きは自分で決める必要があります。

厚生労働省の「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」は、会社員向けの時間外労働の上限規制を参考にして就業時間を調整すること、疲労やストレスを自分で定期的に確かめることを求めています。この記事では、その目安と、不調の兆しに気づいたときの動き方を整理します(2026年10月時点で確認)。

業務委託に労働時間の上限がない理由

会社員の労働時間の上限は、労働基準法などの労働関係の法令で決められています。フリーランスは雇われて働く「労働者」ではないため、これらの法令は原則として適用されません。

ただし、ガイドラインは、契約の形式や名称にかかわらず、働き方の実態によって労働者かどうかが判断されることにも触れています。発注側の指揮監督のもとで働き、その対価として報酬が支払われている実態があれば、労働者として扱われる可能性があります。

こうした例外を除けば、稼働時間や休みは契約と自分の判断で決まります。上限がないということは、守ってくれる仕組みがないということでもあります。

ガイドラインが示す「働きすぎ」の目安

ガイドラインは、長時間の就業が脳血管疾患や虚血性心疾患の発症リスクを高めることを理解し、自分の就業時間を把握して長くなりすぎないようにすることが重要だとしています。そのうえで、会社員に適用される時間外労働の上限規制を参考に、就業時間を調整することが望ましいとしています。

参考として挙げられている会社員の上限は、次のとおりです。

項目上限
時間外労働年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計月100時間未満
時間外労働と休日労働の合計の平均2〜6か月のどの期間の平均でも、月80時間以内
時間外労働が月45時間を超えられる月年6か月まで

ここでいう時間外労働は、1日8時間・週40時間を超えた時間を指します。フリーランスの場合、契約上の稼働だけでなく、請求や営業、学習など仕事にあてた時間を合わせて考えるのが実態に合います。時間の記録の付け方は時間管理の記事をご覧ください。

疲れがたまっていると感じたら

会社員には、週40時間を超えて働いた時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる場合に、本人の申出で医師の面接指導を受けられる制度があります。ガイドラインは、フリーランスも長時間の就業で疲れがたまっていると感じたら、この制度を参考に医療機関を受診したり、加入している医療保険者や自治体の健康相談を使ったりするとともに、仕事のペースを見直すことが重要だとしています。

疲れとストレスを自分で確かめる方法

疲れやストレスは、自分では気づきにくいものです。ガイドラインは、睡眠や休養を含めて健康を管理すること、ストレスの状況を把握できる道具を使って定期的に確かめることを挙げています。

厚生労働省のメンタルヘルスのポータルサイトには、フリーランス向けのページがあり、次のようなものが用意されています。

チェックの結果、ストレスが高いと思われる場合は、医療機関の受診や健康相談の利用と、仕事のペースの見直しをあわせて考えます。チェックは一度で終わらせず、繁忙期の前後など時期を決めて繰り返すと、自分の状態の変化に気づきやすくなります。

パソコン作業で体を傷めないために

ITの業務委託では、座ったまま画面に向かう時間が長くなります。ガイドラインは、情報機器を使う作業について、作業場所の明るさ、ディスプレイや入力機器の調整、作業姿勢、作業時間の調整、情報機器作業に関する健康診断の受診などに取り組むことが重要だとしています。長時間の座り作業による腰痛についても、作業姿勢や椅子の調整、適切な休憩をとることを挙げています。

実際の取り組みとしては、次のようなものがあります。

不調の兆しを記録に残す

体の不調は、少しずつ進むため気づきにくいものです。就業時間の記録に、睡眠の時間や、目の疲れ・肩や腰の痛み・寝つきの悪さといった気になった点を一言添えておくと、変化に気づきやすくなります。ガイドラインも、就業時間や睡眠時間を含めた日々の健康の情報を管理することを挙げています。

記録を見て、不調が続いている時期と、稼働や会議が多かった時期が重なっていれば、仕事のペースを見直すきっかけになります。受診するときも、いつから、どのような働き方のときに症状が出ているかを医師に伝えやすくなります。

机や椅子、照明の整え方は自宅を仕事場にするときの環境づくりの記事で、健康診断の受け方はフリーランスの健康診断の記事で解説しています。

取引先の注文条件が原因のとき

働きすぎの原因が、自分の予定の組み方ではなく、取引先の頼み方にあることもあります。ガイドラインは注文する側に対しても、フリーランスの就業時間が長くなりすぎないよう配慮することを求め、次のような例を挙げています。

また、取引先に常駐してチームで1つのプロジェクトを進めるなど、フリーランスの側で就業時間を自由に決められない場合に、長時間の就業で疲れがたまったフリーランスから求めがあれば、医師の面談を受ける機会を提供するとしています。こうした配慮を求めたことを理由に、契約の途中解除や更新の拒否などの不利益な扱いをしてはならない、とも明記されています。

依頼の量や範囲が当初の約束から広がっている場合は、業務範囲の変更の記事も参考にしてください。取引先からの言動に悩んでいる場合は、フリーランス法のハラスメント対策の記事で相談先を整理しています。

体調を崩したときの備え

どれだけ気をつけても、病気やけがで働けなくなることはあります。会社員と違い、フリーランスには休んだ間の収入を補う仕組みが少ないため、事前の備えが要ります。

よくある質問

フリーランスも、月80時間を超えて働くと違法になりますか?

業務委託のフリーランスには労働時間の上限規制が適用されないため、違法にはなりません。ただし、厚生労働省のガイドラインは、会社員の上限規制を参考にして就業時間を調整することが望ましいとしています。数字は線引きの目安として使い、超えそうな月が続く場合は仕事の量を見直しましょう。

掛け持ちしているときは、どう時間を数えればよいですか?

すべての案件の時間と、請求や営業などの事務の時間を合計して考えます。1つ1つの案件は短い稼働でも、合計すると長くなっていることがあります。掛け持ちの注意点は掛け持ちの記事で解説しています。

体調が悪いことを取引先に伝えると、契約に影響しますか?

影響の有無は取引先によりますが、伝えずに稼働を続け、納期や品質に問題が出るほうが、信頼への影響は大きくなりがちです。ガイドラインは、健康の確保について配慮を求めたことを理由に、注文する側が契約の解除などの不利益な扱いをしてはならないとしています。伝えるときは、稼働できる範囲と見通しをあわせて共有すると、業務の調整が進めやすくなります。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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