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Dynamics 365コンサルの参画初月にやること|現場で信頼される進め方

公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト

Dynamics 365コンサルの参画初月は、担当範囲の業務と今の設定をつかみ、誰が何を決めるかと更新の予定を押さえ、月末に「課題の見立て」と「進め方の案」を出して合意を取るところまでを目標にします。最初の1か月で求められるのは、設定を大量に進めることより、このコンサルに任せて大丈夫だと発注側が判断できる材料を示すことです。

参画前の契約・環境の準備は参画が決まってから開始日までにやること、職種を問わない最初の1週間の進め方は参画初日から最初の1週間でやることで解説しています。この記事では、Dynamics 365ならではの初月の動き方に絞ります。

初月のゴールを3つに分ける

ゴール中身月末に手元にあるもの
業務と設定をつかむ担当範囲の業務の流れ、今の設定、課題、移行や連携の状況を把握する担当範囲の現状の見立て(決まっていること、決まっていないこと、危うい点)
決め方と予定をつかむ誰が要件を決め、誰が設計を承認するか。更新とプロジェクトの予定の重なり関係者と決裁の一覧、更新を書き込んだ工程表
次の進め方を合意する見直しが要る点を示し、判断を仰ぐ合意した進め方と、次の1〜2か月の作業計画

この3つを、1週目、2週目、3〜4週目の順に重心を移しながら進めます。

1週目:資料と環境から現状を集める

最初に読む資料

Dynamics 365の案件では、業務の資料と製品の設定の両方を読む必要があります。次の順で目を通すと、全体像をつかみやすくなります。

  1. プロジェクト計画書・体制図:目的、対象の法人や拠点、モジュール、工程、体制。誰がどの会社の人かを書き込む
  2. 業務フローと要件の一覧:担当範囲の業務がどう流れ、どの要件が決まっているか
  3. Fit&Gapの結果:標準で満たす部分、設定で工夫する部分、開発する部分の内訳
  4. 設定の一覧と設計書:今の設定と、その理由が残っているか
  5. 課題管理表と直近の議事録:何が決まり、何が決まらずに残っているか

読みながら、「資料ではこうなっているが、環境では違いそう」という点を書き留めておきます。この段階では結論を出さず、仮説としてためておきます。

環境で実際に動かしてみる

資料だけでは分からないのが、設定の実態です。検証用の環境で、担当範囲の代表的な業務を一通り動かしてみます。ERP系なら受注から出荷・請求まで、購買から支払まで、CRM系なら問い合わせの受付から解決まで、といった流れです。動かすと、資料に書かれていない設定や、前任者の工夫が見えてきます。

環境の権限が足りない場合は、初日から数日のうちに窓口に伝えます。権限待ちで1週目が終わると、2週目以降の動きが遅れます。

関係者と短く話す

業務部門のキーユーザー、情報システム部門の窓口、導入ベンダーのリーダー、開発の担当と、それぞれ短い時間で話す機会をもらいます。聞くことは次の3つに絞ると、相手の負担になりません。

同じ質問を全員にすると、業務部門と情報システム部門、ベンダーの見方の違いがはっきりします。この違いが、課題の手がかりになります。

2週目:決め方と予定をそろえる

決裁の流れを一枚にまとめる

誰が業務の要件を決め、誰が設計を承認し、追加開発や範囲の変更は誰の承認が要るかを一枚にまとめ、窓口と確かめます。業務部門と情報システム部門のどちらが最終的に決めるかがあいまいなままだと、2か月目以降に判断待ちが積み上がります。

更新の予定を工程表に書き込む

Finance and Operations系のアプリでは、Microsoftが年4回(2月・4月・7月・10月)サービス更新を提供し、顧客は年に最低2回の更新を適用する必要があります(2026年10月時点、Microsoft Learn「サービス更新の可用性」)。更新はまずユーザー受け入れテスト(UAT)の環境に適用され、その後に本番に適用されます(Microsoft Learn「1 つのバージョンのサービス更新の概要」)。

この予定を、移行やテスト、本番切り替えの工程と並べて書き込みます。重なりそうな時期があれば、2週目のうちに窓口に伝えておくと、後で慌てずに済みます。CRM系でも、Microsoftのリリース計画の単位で新機能が提供されるため、担当範囲に関わる変更がないかを確かめておきます。

報告の形を合わせる

発注側の窓口に、どの頻度で、どの粒度の報告がほしいかを確かめ、初回の報告を出します。報告では、作業の量より「判断が要ること」を先に書くと読まれやすくなります。リモート中心の案件での進め方はDynamics 365コンサルのリモートの記事でも触れています。

3〜4週目:見立てを出し、進め方に合意を取る

担当範囲の見立てをまとめる

1〜2週目で集めた情報をもとに、担当範囲の見立てをまとめます。中身は次のとおりです。

見直し案は選択肢で出す

見直しが必要な場合、一つの案だけを出すと、「前の設計を否定された」と受け取られやすくなります。標準の機能に業務を寄せる案、設定で工夫する案、開発する案のように選択肢を並べ、それぞれの手間、期間、更新への影響を示したうえで、決める人に選んでもらいます。推す案があれば、その理由を添えます。

次の1〜2か月の作業計画を引く

合意した内容をもとに、担当範囲の作業計画を引き直し、関係者に共有します。ここまでできれば、初月の役割は十分に果たせています。

案件の型によって初月の重心は変わる

新規導入の案件

要件定義やFit&Gapの段階で入る場合は、業務部門との対話が初月の中心になります。標準の機能を早めに見せ、業務の進め方を変える余地を一緒に確かめると、後から追加開発が膨らみにくくなります。

途中から入る案件

設計や設定が進んでいる段階で入る場合は、前任者の設定の理由を確かめることが中心になります。理由が分からない設定をすぐに変えず、依存する業務や帳票、連携を確かめてから扱いを決めます。引き継ぎの考え方は契約終了時の引き継ぎの進め方も参考になります。

稼働後の保守・更新対応の案件

稼働後に入る場合は、問い合わせの傾向、追加開発の一覧、更新のたびの検証の手順をつかむことが中心になります。月末には、次の更新に向けた確認の範囲を示せることを目指します。案件の種類ごとの働き方はDynamics 365コンサルの仕事内容の記事で整理しています。

初月に避けたい動き

避けたい動き起きやすいこと代わりにすること
前任者の設定をすぐに変える隣のモジュールや連携に思わぬ影響が出る依存する業務・帳票・連携を確かめてから扱いを決める
業務部門の要望をその場で引き受ける追加開発が膨らみ、予算と期間を圧迫する標準・設定・開発に分け、手間と影響を添えて返す
前の現場の設定をそのまま持ち込む業務の違いを見落とし、現場が身構える今の業務を確かめ、違う点を言葉にしてから提案する
発注側が決めることを自分で決める権限の踏み越えと受け取られる決めるべきことと期限を示し、判断を仰ぐ
範囲外の作業を抱え込む担当範囲の判断が手薄になる担う範囲を確かめ、外れる依頼は窓口と話す

範囲外の依頼が増えてきたときの扱いは作業範囲が広がったときの記事、この職種でつまずきやすい場面はDynamics 365コンサルのつまずきやすい点と対策で整理しています。

1か月の終わりに振り返ること

1か月が過ぎたら、次の点を自分で振り返ります。

ずれている点があれば、2か月目の早い段階で窓口と話しておきます。

よくある質問

前任者からの引き継ぎがほとんどありません。何から始めればよいですか?

Fit&Gapの結果と設定の一覧、直近の議事録から読み始め、決まっていないことの一覧を自分で作るのが近道です。そのうえで、検証環境で代表的な業務を動かし、資料と設定の違いを確かめてください。引き継ぎの資料がない状態そのものも、見立ての一部として報告に含めておくとよいでしょう。

初月から設定の作業を多く求められたら、どうすればよいですか?

求められた作業は進めつつ、今の設定と要件で確かめきれていない点を一覧にして窓口に伝えます。作業と並行して見立てをまとめる時間を週に数時間でも確保すると、2か月目以降の手戻りを減らせます。

業務部門とベンダーの意見が割れていたら、どちらに合わせればよいですか?

どちらかに合わせるのではなく、それぞれの案の手間と影響を並べ、決める人に判断を仰ぎます。誰が決める人かが分からない場合は、2週目までに窓口と確かめておくことが出発点です。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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