参画が決まってから開始日までにやること|契約・事業の手続き・作業環境の準備
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
参画が決まってから開始日までにやることは、「契約の書面の確認」「他の選考の整理」「請求と事業の手続き」「作業環境の準備」「業務の予習」の5つです。このうち契約の確認と他の選考の整理は、決まった直後に済ませます。作業環境は開始日の1〜2週間前、初日の段取りは前日までに確かめる、という順で進めると漏れが少なくなります。
開始日の決め方や、退職日・前の案件と重なるときの調整は参画開始日の調整の記事で、参画してからの最初の1週間の動き方は参画初日からの1週間の記事で扱っています。この記事では、その間の「決まってから初日を迎えるまで」に絞って整理します(2026年10月時点)。
開始日までの流れを時期で分ける
| 時期 | やること |
|---|---|
| 決まった直後 | 参画の意思を伝える。他の選考を辞退する。契約の書面の受け取り時期を確かめる |
| 決まってから1週間ほど | 契約の書面と秘密保持の書類を確かめる。請求先と請求の方法を確かめる |
| 開始日の1〜2週間前 | 作業環境(端末・アカウント・回線)を整える。事業の手続きを済ませる |
| 開始日の前週 | 業務の予習。最初の週に確かめたいことを書き出す |
| 前日 | 初日の時刻・場所・会議の案内・連絡先を確かめる |
期間が短い場合は、上から順に優先して進めます。
決まった直後:他の選考と契約の書面
他の選考は早めに辞退する
参画が決まったら、並行して進めていた選考は早めに辞退します。発注側は面談の枠を空けて待っているため、連絡が遅れるほど迷惑が大きくなります。複数のサービスに登録している場合は、すべての担当者に参画が決まったことを伝え、紹介を止めてもらいます。伝え方は辞退の記事、複数登録の管理は複数登録の記事で解説しています。
契約の書面で確かめる項目
フリーランス新法では、発注事業者は業務を委託したら直ちに、取引条件を書面またはメールなどで明示することとされています(第3条)。公正取引委員会のQ&Aでは、明示する事項として次のものが挙げられています。
- 発注事業者とフリーランスの名称
- 業務委託をした日
- 給付・役務の内容
- 給付・役務を提供する期日
- 給付・役務を提供する場所
- 報酬の額と支払期日
- 検査をする場合は、検査を完了する期日
- 現金以外で支払う場合は、支払方法
受け取った書面は、面談や担当者から聞いた内容と一つずつ突き合わせます。特に、業務の範囲、報酬と精算の方法、支払期日は、あとから変えにくい項目です。報酬の支払期日は、給付を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定めることとされています(第4条)。明示の項目の詳しい読み方は取引条件の明示の記事をご覧ください。
秘密保持や誓約書も読んでから署名する
開始前に、秘密保持契約や、取引先の情報セキュリティの規程に従う旨の誓約書を求められることがあります。秘密の範囲、契約終了後の扱い、違反したときの責任を読んでから署名します。読み方は秘密保持契約の記事で整理しています。
請求と事業の手続き
請求の方法を先に決めておく
最初の月末になって請求の方法が分からない、ということがないよう、開始前に次の点を確かめます。
- 締め日と請求書の提出期限、送り先
- 稼働報告書の様式と、承認をもらう相手
- 請求書の宛名、記載する内容、送る方法(メール・システムなど)
- 振込先の口座(事業用の口座を使う場合は名義も)
請求の流れは請求書の出し方の記事、稼働報告書の書き方は稼働報告書の記事で解説しています。
インボイスの登録の有無を伝える
請求書の形式は、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしているかどうかで変わります。登録している場合は登録番号を請求先に伝えます。国税庁によると、登録を受けている人は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務は免除されません。登録の有無を聞かれたときの対応は登録番号を聞かれたときの記事をご覧ください。
独立して最初の案件なら開業の手続きも
会社員から独立して最初の案件であれば、開業の届出もこの時期に進めます。開業届の期限は事業を始めた年分の確定申告期限までですが、青色申告を初年度から使うなら、承認申請書は1月16日以後の開業で開業日から2か月以内に出す必要があります(国税庁 No.2090)。両方を一緒に出しておくと期限を逃しにくくなります。書き方は開業届の記事で解説しています。
保険の加入を求められていないか
取引先によっては、賠償責任保険への加入を条件にしていることがあります。加入が必要なら、補償の範囲と開始日までに間に合うかを確かめます。考え方は賠償責任保険の加入を求められたときの記事をご覧ください。
作業環境の準備
貸与の端末を使う場合
取引先から端末を貸与される場合は、届く日、受け取りの方法、初期設定の手順を確かめます。届くのが開始日の当日だと、初日が設定で終わってしまうことがあります。貸与端末の扱いの注意は貸与PCの記事で解説しています。
自分の端末を使う場合
自分の端末を使う場合は、取引先が求めるセキュリティの設定(ウイルス対策ソフト、ディスクの暗号化、OSの更新など)を、開始前に済ませておきます。ほかの案件の資料と混ざらないよう、フォルダやブラウザのプロファイルを分けておくと安心です。
アカウントと入館の手続き
メール、チャット、ソースコードの管理、勤怠や稼働の記録など、使うアカウントがいつ発行されるかを確かめます。出社がある場合は、入館証の受け取り方法、最初に行く場所と時刻、交通費の扱いもこの時期に確かめておきます。
業務の予習
案件票と面談のメモを読み直す
予習は、まず手元の情報を読み直すことから始めます。案件票、面談で聞いた体制や役割、使う技術、担当する工程を並べると、最初の週に何を確かめるべきかが見えてきます。案件票の読み方は案件票の読み方の記事で解説しています。
下調べは公開されている情報の範囲で
使う技術のバージョンの違いや、業界の基本的な用語などは、公開されている情報で予習できます。一方で、開始前に取引先の内部の情報を求めたり、まだアクセス権のないシステムを触ろうとしたりするのは避けます。予習の目的は、初日から質問の質を上げることだと考えましょう。
最初の週に聞きたいことを書き出す
予習で分からなかった点は、最初の週に聞く質問として書き出しておきます。依頼の窓口、報告の頻度と形、レビューの流れなど、仕事の進め方に関わる質問は早めに確かめるほど、あとの手戻りが減ります。
前日に確かめること
- 初日の開始時刻と、最初に参加する会議の案内(オンラインならURL)
- 出社の場合は、場所・受付の方法・持ち物
- 当日に何かあったときの連絡先(担当者と現場の窓口)
- 稼働時間の記録を初日から付ける準備
よくある質問
開始日より前に、顔合わせの打ち合わせに呼ばれました。報酬は出ますか?
案件によって扱いが違います。顔合わせが契約期間に含まれるのか、報酬の対象になるのかは、契約の書面と担当者の説明で確かめます。短い挨拶だけなのか、実際の業務の説明や作業を含むのかによっても考え方が変わるため、参加する前に確かめておくと安心です。
開業届は、開始日までに出しておく必要がありますか?
開業届の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。ただし、初年度から青色申告を使いたい場合は、承認申請書を開業日から2か月以内(1月16日以後の開業)に出す必要があるため、開業届とあわせて早めに出しておくことをおすすめします。
開始日の直前に体調を崩して、初日に間に合わないかもしれません。
分かった時点で、すぐに担当者に連絡してください。開始日をずらせるか、少ない稼働で始められるかは、発注側との相談になります。連絡が遅れるほど選べる対応が減るため、まだはっきりしない段階でも、可能性があることを先に伝えておきましょう。
参考にした公的情報・資料
- フリーランス法に関するQ&A(公正取引委員会)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)
- No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(国税庁)
- No.6501 納税義務の免除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。