Dynamics 365コンサルのフリーランス案件の仕事内容|案件の種類と働き方
公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト
Dynamics 365コンサルのフリーランス案件の仕事は、業務の要件を聞き取り、製品の標準機能とどこが合いどこが合わないかを見極め、設定・開発・移行・テストを通して業務で使える状態にすることです。ただし、ERP系(Finance・Supply Chain Managementなど)かCRM系(Sales・Customer Serviceなど)か、機能コンサルかテクニカルか、導入か保守かで、1日の過ごし方も相手も成果物も大きく変わります。
この記事では、案件を4つの種類に分け、それぞれの1日と1か月の流れ、関わる相手、成果物を整理します。報酬の決まり方はDynamics 365コンサルの報酬の記事、求められるスキルはスキルの記事で扱っているので、ここでは「参画したら実際に何をしているか」に絞ります。
仕事の中身は「領域」「役割」「局面」で決まる
Dynamics 365は一つの製品名ですが、中身は性格の違うアプリケーションの集まりです。Microsoftの2026年リリースサイクル1の計画でも、Sales、Customer Service、Field Serviceなどの顧客対応の領域と、Finance、Supply Chain Management、Project Operationsなどの基幹業務の領域、中小企業向けのBusiness Centralが分けて紹介されています(2026年10月時点で確認)。
案件の中身を分けるのは、主に次の3つです。
- 領域:ERP系か、CRM系か、Business Centralか
- 役割:業務と設定を担う機能コンサルか、開発・連携・移行の仕組みを担うテクニカルか
- 局面:新規導入か、旧製品からの移行か、稼働後の保守と更新対応か
この組み合わせから、フリーランスの案件はおおむね次の4種類に分けられます。
| 案件の種類 | 主な相手 | 時間を多く使う仕事 |
|---|---|---|
| ERP系の導入(機能コンサル) | 経理・購買・物流・生産の担当者、情報システム部門、開発担当 | 業務の聞き取り、Fit&Gap、マスタと設定の設計、テスト |
| CRM系の導入(機能コンサル) | 営業・サービス部門、情報システム部門、開発担当 | 業務の流れの整理、データとセキュリティの設計、画面と自動化の設定 |
| テクニカル(開発・連携・移行) | 機能コンサル、アーキテクト、連携先システムの担当 | 拡張開発、外部連携、移行の仕組み、性能と品質の確認 |
| 保守・更新対応 | 利用部門の窓口、情報システム部門、Microsoftのサポート窓口 | 問い合わせ対応、不具合の切り分け、更新前のテスト、小さな改善 |
以下の流れは典型的な例です。時間の配分は案件ごとに違うため、目安として読んでください。
ERP系の導入案件の仕事
1日の流れ(例)
午前は、経理や物流の担当者との要件の打ち合わせに出ます。今の業務の流れと帳票を見せてもらい、標準の機能で同じことができるか、業務の進め方を変えてもらえるかを話し合います。午後は、検証環境で設定を試し、打ち合わせで出た論点を確かめます。夕方は、決まったことと宿題を課題管理表に残し、開発が必要になりそうな項目を開発担当と相談します。
ERP系の機能コンサルは、一つの取引が会計にどう載るかを常に考えながら動きます。販売や在庫の担当でも、出荷や入庫の仕訳がどの勘定に転記されるかを説明できないと、会計の担当者と話がかみ合いません。
1か月の流れ(例)
- 要件定義の時期:業務ごとの打ち合わせを週に何度も回し、Fit&Gapの一覧を育てる
- 設計の時期:法人、勘定科目、品目、取引先などのマスタと、各モジュールの設定値を設計書にまとめる
- テストの時期:業務のシナリオを作り、利用部門と一緒に受け入れテストを回す
- 移行の時期:期首の残高、未決済の債権債務、在庫の数量と評価額が合っているかを照合する
成果物
Fit&Gapの一覧、業務フロー、設定の設計書、マスタの定義、テストのシナリオと結果、移行データの照合表、利用者向けの手順書などです。倉庫や生産を担う場合は、現場で使うモバイルアプリの運用手順が加わることもあります。Supply Chain Managementの機能コンサル向け資格でも、倉庫管理や倉庫のモバイルアプリ、マスタ計画、輸送管理などが範囲に挙げられています(Microsoft Learn、2026年10月時点)。
CRM系の導入案件の仕事
1日・1か月の流れ(例)
CRM系では、営業やサービス部門の担当者と、案件の段階の定義、問い合わせの受付から解決までの流れ、対応期限(SLA)のルールなどを話し合う時間が中心です。打ち合わせの合間に、検証環境でテーブルや画面、業務の流れに沿った自動化を設定し、次の打ち合わせで実際に触ってもらいます。
1か月の単位では、設定して見せる、意見を聞いて直す、という短い繰り返しで進むことが多くなります。利用者の数が多い導入では、部門ごとに見せるデータの範囲を決めるセキュリティの設計と、研修の準備に時間がかかります。
成果物
業務の流れの整理、データの持ち方(テーブルと項目の定義)、セキュリティロールの設計、画面と自動化の設定一覧、研修資料、利用者向けの手順書などです。ERP系と比べて、利用部門が実際に触って納得するまでのやり取りが仕事の多くを占めます。Power Platformの機能を組み合わせる場面もありますが、その作り込みを専門に担う働き方はPower Platformの仕事内容の記事で扱っています。
テクニカル(開発・連携・移行)案件の仕事
1日・1か月の流れ(例)
テクニカルの担当は、機能コンサルがまとめた要件をもとに、標準の機能と設定で足りない部分を開発で補います。午前に機能コンサルと仕様の確認をし、午後は開発とテスト、夕方にコードのレビューや環境への反映の準備をする、という流れがよく見られます。ERP系ではX++による拡張や帳票、CRM系ではDataverse上の拡張が中心です。
1か月の単位では、開発の時期に機能ごとの作り込みを進め、テストの時期には不具合の修正、移行の時期にはデータを取り込む仕組みのリハーサルを何度も回します。外部システムとの連携では、連携先の担当者とデータの形式やエラー時の扱いを合わせる打ち合わせが増えます。
成果物
技術設計書、拡張のコードと単体テストの結果、連携の仕様書、移行の仕組みと手順書、性能の確認結果などです。開発した部分は、後の更新のたびに確認の対象になるため、どこを拡張したかを追える記録を残すことも大切な仕事です。
保守・更新対応の案件の仕事
稼働後の保守では、利用部門からの問い合わせへの対応と、定期的な更新への対応が仕事の柱になります。
1日の流れ(例)
朝に問い合わせの一覧を確かめ、操作の質問か、設定の見直しか、不具合かを切り分けます。設定で直せるものは検証環境で試してから反映し、不具合の疑いがあるものは再現の手順をまとめてMicrosoftのサポート窓口や開発担当に渡します。ERP系では、月末や期末の締めの時期に問い合わせが集中しやすくなります。
1か月の流れ(例)
Finance and Operations系のアプリは、サービス更新が年4回提供され、自動更新は2月・4月・7月・10月に行われます。利用者は年に最低2回の更新を適用する必要があり、一度に一時停止できる更新は1回までとされています(Microsoft Learn「サービス更新の可用性」、2026年10月時点)。保守の担当は、この予定に合わせて、更新が入る前に検証環境で主な業務を回し、設定や拡張に影響がないかを確かめます。回帰テストには、Regression Suite Automation Tool(RSAT)のようなツールの利用が勧められています。
成果物
問い合わせと対応の記録、設定変更の履歴、更新前のテストの結果、改善の提案、利用者向けの手順書の更新などです。保守の案件は稼働日数を抑えて受けられることもあります。働き方は週2〜3日・副業案件の記事で解説しています。
どの案件にも共通する仕事
種類が違っても、次の仕事はほぼすべてのDynamics 365の案件にあります。
- 標準機能との差を言葉にする:合わない点を見つけたら、業務を変えてもらうか、設定で補うか、開発するかの選択肢と影響を示す
- 決まったことの記録:要件、設定値、判断の理由を、後から来た人も追える形で残す
- テストのシナリオづくり:業務の流れに沿って、モジュールをまたぐ確認ができるシナリオを用意する
- 更新の影響を見る:導入の途中でも更新は入るため、新しい機能や変更点が設計に影響しないかを確かめる
フリーランスならではの仕事として、自分の稼働の記録と報告もあります。月の稼働時間に幅を決めて精算する契約が多いため、打ち合わせや検証に使った時間を日々つけておく必要があります。精算の仕組みは精算幅の記事をご覧ください。
関わる相手と、その相手に出すもの
| 相手 | 出すもの | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 利用部門の担当者 | 確認事項、設定した画面、テストのシナリオ、手順書 | 毎日〜週次 |
| 情報システム部門 | 課題と判断が必要な事項、設計の方針、更新の予定 | 週次 |
| プロジェクトのPM・PMO | 進捗、課題、リスク、工数の見込み | 週次 |
| 開発担当・アーキテクト | 要件、仕様の確認事項、テストの結果 | 随時 |
| 海外拠点やグローバルの担当(ある場合) | 日本固有の要件、標準テンプレートとの差 | 週次、節目ごと |
働く場所については、設計や設定、更新前のテストはリモートで進めやすい一方、業務の聞き取りの初期、倉庫や工場の現場の確認、研修、本番切り替えでは出社や現地を求められやすくなります。詳しくはリモート案件の記事をご覧ください。ほかの製品の働き方と比べたい方は、SAP FI/COの仕事内容やSalesforceの仕事内容も参考になります。
よくある質問
機能コンサルが自分で開発することはありますか?
大きな開発を担うことは多くありません。ただ、小さな案件や保守では、設定の範囲を少し超える調整や、簡単な自動化の設定まで求められることがあります。どこまで手を動かす想定かは、参画前に確かめておくと稼働の見込みとのずれを防げます。
ERP系とCRM系の両方を一つの案件で担うことはありますか?
両方を導入するプロジェクトでは、顧客や受注のデータをどちらで持ち、どう流すかの連携の部分で、両方に関わることがあります。多くの場合は担当の領域が分かれているため、自分の担当と連携の部分の境目を参画前に確かめておくと安心です。
参画して最初の1か月は何をすることが多いですか?
体制と担当範囲の把握、要件や設計の資料の読み込み、検証環境での現状の確認から始めるのが一般的です。初月の進め方はDynamics 365コンサルの参画初月にやることで詳しく解説します。
参考にした公的情報・資料
- サービス更新の可用性 - Finance & Operations(Microsoft Learn)
- Microsoft Dynamics 365 の 2026 年リリース サイクル 1 の計画(Microsoft Learn)
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Supply Chain Management Functional Consultant Associate(Microsoft Learn)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。