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製造業界の案件で気をつけたい規制とセキュリティのルール|工場セキュリティ・輸出管理・営業秘密

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

製造業の案件で押さえておきたいルールは、経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」、外国為替及び外国貿易法(外為法)にもとづく安全保障貿易管理、不正競争防止法の営業秘密の3つです。どれもフリーランスが自分で判断する仕組みではなく、取引先が決めた社内のルールを通じて、作業の範囲や情報の扱いに表れます。

大事なのは、条文を覚えることより、取引先のルールが「なぜそうなっているか」を知り、迷ったときに自分で決めずに確かめることです。この記事では、2026年10月時点で経済産業省とIPAの公式ページで確認できた内容をもとに、3つのルールと実務での注意点を整理します。個別の判断が必要な場合は、取引先の担当部門や専門家にご相談ください。

工場のセキュリティ:経済産業省のガイドライン

ガイドラインが作られた背景

経済産業省は、ガイドラインの掲載ページで、工場システム(産業制御システムやそれを構成する機器、接続されるシステム)はインターネットなどにさらされない前提で設計されてきたと説明しています。そのうえで、IoT化や自動化、工場のDXが進み、外部のネットワークやクラウド、サプライチェーンとつながる機会が増えたことで、新たなリスクが増えているとしています。インターネットにつながる機会が少ない工場でも攻撃を受ける例があり、どの工場も攻撃を受ける可能性があると認識する必要がある、という立場です。

ガイドラインの位置づけと構成

このガイドラインは、業界団体や企業が自ら対策を企画・実行するときに参照する考え方とステップを「手引き」として示したものです。2026年10月時点の掲載ページには、本編のVer1.0とVer1.1、別冊「スマート化を進める上でのポイント」、Appendix「工場セキュリティの重要性と始め方」などが掲載されています。

本編の対策の進め方は、大きく3つのステップで構成されています。

ステップ中身
ステップ1法令などの内外の要件、業務、保護対象を整理し、重要度を決め、ゾーン(区域)と結びつける
ステップ2対策の方針を決め、想定する脅威に対して、システム構成面と物理面の対策を対応づける
ステップ3対策を実行し、計画や運用方針を見直し続ける(ライフサイクルでの対策、サプライチェーン対策を含む)

付録には、チェックリストや調達仕様書のテンプレート(記載例)も含まれています。

フリーランスの作業にどう表れるか

ガイドラインそのものは取引先が対策を考えるための手引きであり、外部の作業者に直接の義務を課すものではありません。ただし、取引先がこの考え方で対策を決めていると、作業のルールとして次のような形で表れることがあります。

ステップ3にサプライチェーン対策が含まれているように、外部から関わる立場の人も対策の範囲に入り得ます。工場のIoTやデータ活用の案件では、情報系と工場のネットワークの境目をまたぐ設計になるため、こうしたルールを前提に計画を立てる必要があります。

IPA(情報処理推進機構)も、制御システムのセキュリティについて、リスク分析ガイド(第2版)、スマート工場化でのシステムセキュリティ対策事例の調査報告書、産業用制御システム向けの侵入検知製品の導入手引書などを公開しています。制御系に関わる案件に入る前に目を通しておくと、取引先のルールの意図が分かりやすくなります。

技術の提供:安全保障貿易管理

外為法は技術の提供も対象にしている

経済産業省は、武器や軍事に転用できる貨物・技術が、懸念のある国やテロリストなどに渡ることを防ぐため、国際的な枠組みと協調して輸出などの管理を行っており、日本では外為法にもとづいて実施していると説明しています。

対象はモノの輸出だけではありません。外為法第25条第1項は、政令で定める特定の技術を、特定の外国で提供することを目的とする取引や、特定の外国の非居住者に提供することを目的とする取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならないと定めています。同条では、技術を記録した文書や記録媒体の輸出、電気通信による技術情報の送信についても、許可を受ける義務を課すことができる仕組みになっています。

「みなし輸出」の管理

国内での技術の提供でも、相手によっては管理の対象になります。経済産業省の「みなし輸出管理」のページによると、この運用を明確にする省令・通達の改正が行われ、2022年(令和4年)5月1日に施行されています。詳細は経済産業省の資料で確認できます。

フリーランスが気をつけたい場面

製造業の案件では、設計データ、製造の技術情報、設備の仕様などを扱うことがあります。その中に規制の対象になる技術が含まれるかどうか(該非判定)は、取引先が判断するものです。経済産業省も、該非判定は行っていないと案内しています。フリーランスとして気をつけたいのは、次のような場面です。

こうした場面では、自分で問題ないと判断せず、取引先の担当者に確かめてから進めます。外為法の解釈が必要な場合は、取引先の輸出管理の担当部門や、経済産業省の窓口、専門家に確認するのが確かです。

情報の管理:不正競争防止法の営業秘密

営業秘密の3つの要件

経済産業省は、営業秘密を、不正競争防止法で定義された「有用性」「秘密管理性」「非公知性」の3つの要件を満たす情報と説明しています。秘密情報が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合、営業秘密として管理されていれば、民事上・刑事上の措置をとることができます。

製造業では、図面、製造の条件、原価のデータ、取引先や仕入先の情報など、営業秘密として管理される情報が多くあります。経済産業省は、営業秘密として保護を受けるための最低限の水準の対策を示す「営業秘密管理指針」(2025年3月改訂)や、漏えいを防ぐ対策例をまとめた「秘密情報の保護ハンドブック」(2024年2月改訂)、従業員の目線での留意点を説明した「知っておきたい営業秘密」を公開しています。

契約上の秘密とあわせて考える

フリーランスが守る秘密は、法律上の営業秘密だけではありません。業務委託契約や秘密保持契約で、より広い範囲の情報が秘密とされていることがあります。契約上の秘密の範囲や、実績として話せる範囲は秘密保持契約の記事、スキルシートに書いてよい範囲は製造業のスキルシートの記事で扱います。

3つのルールを実務に落とすチェックリスト

参画の前後で、次の点を確かめておくと安心です。

  1. 取引先の規程を読む:情報セキュリティの規程、工場の入場のルール、機器の持ち込みのルール。取引先の規程に従う必要があるかの考え方は取引先の規程の記事で整理しています
  2. 作業の端末を確かめる:貸与PCを使うか、自分のPCを使うか、工場のネットワークにつないでよい端末はどれか。貸与PCの注意点は貸与PCの記事をご覧ください
  3. リモートの範囲を確かめる:設備側のシステムに自宅から接続してよいか。自宅で作業するときの対策は自宅のセキュリティの記事にまとめています
  4. 海外との関わりを確かめる:海外の拠点やメンバーと技術情報をやり取りするか。やり取りする場合のルールは誰に聞けばよいか
  5. 終了時の扱いを確かめる:資料の返還・廃棄の方法と、実績として話してよい範囲

自動車業界に固有のルールは自動車業界の規制の記事で扱います。

よくある質問

工場のセキュリティのガイドラインは、フリーランスにも守る義務がありますか?

ガイドラインは、業界団体や企業が対策を企画・実行するための手引きとして示されたもので、外部の作業者に直接の義務を定めたものではありません。ただし、取引先がこれを参考に社内のルールを決めている場合、契約や取引先の規程を通じて、そのルールに従うことが求められます。どのルールが適用されるかは、取引先にご確認ください。

自分が扱う技術が輸出管理の対象かどうかは、どう判断すればよいですか?

規制の対象かどうかの判断(該非判定)は、技術を持つ取引先が行うものです。経済産業省も該非判定は行っていないと案内しています。フリーランスとしては、技術情報を海外に送ったり、海外にいる人に見せたりする前に、取引先の担当部門に確かめることが大切です。

前の案件で覚えた製造の知識を、次の案件で使ってもよいですか?

一般的な業務の考え方や、自分で身につけた技術は使えますが、前の取引先の図面や製造条件、原価のデータなど、秘密として管理されていた情報を使うことは避けてください。どこまでが一般的な知識で、どこからが秘密かの判断に迷う場合は、契約の内容を確かめ、必要に応じて専門家にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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