VBA・Excelマクロ開発者のフリーランスの将来性とキャリアの広げ方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
VBA・Excelマクロ開発者の仕事は、新しいマクロを作ることから、組織の中で動いているツールを棚卸しし、どれを残し、どれを直し、どれを別の仕組みへ移すかを判断することへと重心が移りつつあります。Microsoftは、インターネットから取得したファイルのマクロを既定でブロックし、クラウドで動く自動化にはOffice スクリプトを位置づけています。一方で、VBAはデスクトップのOffice向けの仕組みとして、2026年10月時点でも説明されています。
VBAの仕事がすぐになくなるわけではありません。ただ、長く使われてきたツールほど、版の変化やセキュリティの強化の影響を受けます。この記事では、Microsoftの公式情報から読み取れる変化と、経験に応じた広げ方を整理します。
Microsoftの公式情報から見える変化
マクロは「既定でブロック」が前提になった
Microsoft Learnによると、Windows版のOffice(Access、Excel、PowerPoint、Project、Publisher、Visio、Word)では、インターネットから取得したファイルに含まれるVBAマクロが既定でブロックされます。Access・Excel・PowerPoint・Visio・Wordでは、最新チャネルのバージョン2206で2022年7月27日に展開が始まり、半期エンタープライズ チャネルでは2023年1月10日にこの変更が入っています。
マクロを動かすには、信頼できる場所に置く、信頼された発行元のデジタル署名を使う、組織のポリシーで管理するといった方法がとられます。同じページでは、組織に対して、マクロを使っている部署とファイルを洗い出し、使い続けるための手順を決めるよう求めています(2026年10月時点)。
ここから読み取れるのは、マクロを作る人には、組織の決まりに沿って安全に配布し、動かす仕組みまで考えることが求められているということです。
Officeのサポート期限が次々に来ている
Microsoftのライフサイクルのページでは、次の日付が示されています(2026年10月時点)。
| 製品 | サポートの終了 |
|---|---|
| Office 2016・Office 2019(Excel・Accessを含む) | 2025年10月14日 |
| Office 2021・Office LTSC 2021(Excel・Accessを含む) | 2026年10月13日 |
| Office LTSC 2024 | 2029年10月10日(メインストリームの終了日。米国太平洋時間) |
サポートが終わった版を使い続ける組織では、新しい版への入れ替えが進みます。入れ替えのたびに、これまでのマクロが新しい版で同じように動くかを確かめる仕事が生まれます。
クラウドでの自動化はOffice スクリプトが担う
Microsoft Learnでは、VBAマクロはデスクトップ向けに、Office スクリプトはプラットフォームをまたぐクラウド向けの仕組みとして設計されていると説明されています。VBAはExcel on the webでは動かず、Power Automateのコネクタもありません。Office スクリプトはExcel on the webでも動き、Power Automateから実行できます。
一方で、同じページでは、デスクトップのExcelの機能をより広くカバーしているのはVBAだとも説明されています。Office スクリプトはExcelでしか使えず、Excelのイベントにも対応していません。使うには、Microsoft 365の法人向けなどのライセンスとOneDrive for Businessが必要です(2026年10月時点)。
公式の説明を見る限り、VBAとOffice スクリプトは得意な場面が違う仕組みとして並べられていると読み取れます。
Windowsの側でも古い部品の整理が進む
Windowsの非推奨機能の一覧では、VBScriptが2023年10月に非推奨とされ、将来のWindowsでは、オンデマンド機能として提供された後、オペレーティングシステムから削除される予定と説明されています(2026年10月時点)。VBAのツールの中には、VBScriptの部品を呼び出しているものもあります。こうした依存を洗い出せる人が求められる場面は、今後も出てきます。
VBAの仕事はどう変わるか
| これまで中心だった仕事 | 重みが増している仕事 |
|---|---|
| 手作業をマクロに置き換える | 組織の中のマクロを棚卸しし、使われ方と依存先を洗い出す |
| 作ったファイルをメールや共有フォルダで配る | 信頼できる場所や署名など、組織の決まりに沿った配布を設計する |
| 動かなくなったら直す | 版の入れ替えの前に影響を調べ、32ビット版・64ビット版の違いを含めて直す |
| 何でもVBAで作る | VBA・Office スクリプト・Power Automate・RPAなどから、業務に合う手段を選ぶ |
どの変化にも共通しているのは、「作れる」より「組織の中のツールをどう扱うかを決められる」ことが問われるという点です。作った人がいなくなったツールの引き継ぎは、その入口になる仕事です。
選択肢を広げる4つの方向
1. 棚卸しと移行の判断を担う側へ
組織の中に散らばったマクロとAccessのデータベースを洗い出し、どれを残し、どれを直し、どれを移すかを決める役割です。マクロのブロックや版の入れ替えへの対応は、組織全体で進める必要があるため、全体を見渡せる人が求められます。社内のIT全体の管理と重なる部分が多く、社内SE・情報システムの将来性とつながりやすい方向です。
2. Office スクリプトとPower Automateへ
クラウドに置いたブックを、決まった時刻やメールの受信をきっかけに処理するといった自動化は、Office スクリプトとPower Automateの得意な場面です。VBAで業務の自動化をしてきた経験は、何を自動化するかを決めるところで生きます。Power Platform全体の動きはPower Platformエンジニアの将来性で扱っています。
3. データの扱いを深める側へ
Accessで管理してきたデータを、より大きなデータベースへ移す、集計を別の仕組みに任せるといった方向です。テーブルの設計やSQLの経験は、ツールの種類が変わっても生きます。スクリプト言語でデータを処理する方向はPythonエンジニアの将来性も参考になります。
4. 業務の自動化全体を設計する側へ
画面の操作を自動化するRPA、生成AIを組み合わせた自動化など、手段が増えるほど、どれを選ぶかを決める役割の価値が上がります。RPAエンジニアの将来性や、DXコンサルタントの将来性で扱っている内容とも重なります。
将来に向けて今からできること
- 担った仕事を種類で整理する:新規開発・改修・引き継ぎ・移行のどれを、どの規模で担ったかを書き出す
- 配布とセキュリティを理解する:マクロのブロックの仕組み、信頼できる場所、デジタル署名を説明できるようにする
- 64ビット版と版の違いに強くなる:古いマクロを新しい環境で動かす経験を1つ作る
- 隣の技術を小さく試す:使える環境があるうちに、Office スクリプトやPower Automateで1つ自動化してみる
- 公式の情報を追う:Microsoft Learnのマクロのブロックやライフサイクルのページを定期的に確かめる
生成AIの広がりがエンジニアの仕事全体に与える影響は、生成AIの普及でフリーランスエンジニアの仕事はどう変わるか、キャリアの組み立て方はフリーランスのキャリアプランの立て方でも扱っています。
よくある質問
VBAは今後使えなくなりますか?
2026年10月時点で確認したMicrosoft Learnのページでは、VBAはデスクトップのOffice向けの仕組みとして説明されており、Office スクリプトとは役割を分けて紹介されています。ただ、マクロの既定のブロックや、VBScriptの非推奨など、周りの環境は変わり続けています。使えるかどうかより、安全に動かし続けるために何が要るかを追っておくことが大切です。
Office スクリプトを覚えれば、VBAの経験は要らなくなりますか?
要らなくなるとは言えません。Office スクリプトはExcelでしか使えず、Excelのイベントにも対応していないため、AccessやほかのOffice製品と連携するツールや、デスクトップならではの処理は、VBAで扱われる場面が残ります。両方を知り、業務に合うほうを選べることが、今後の強みになります。
40代・50代からでも役割を広げられますか?
広げやすい方向の一つです。長く使われてきたツールの背景や、業務の流れを知っていることは、棚卸しと移行の判断で生きます。関係する部署の合意を取りながら進める場面も多いため、これまでの調整の経験を具体的に話せるようにしておきましょう。年代ごとの考え方は40代のフリーランス・50代のフリーランスの記事も参考になります。
参考にした公的情報・資料
- インターネットからのマクロは、Office で既定でブロックされます(Microsoft Learn)
- 2025 年のサポート終了(Microsoft Learn)
- 2026 年のサポート終了(Microsoft Learn)
- Office LTSC 2024(Microsoft Learn)
- Office スクリプトと VBA マクロの違い(Microsoft Learn)
- Office スクリプトのプラットフォームの制限、要件、およびエラー メッセージ(Microsoft Learn)
- Windows クライアントの非推奨機能(Microsoft Learn)
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