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Web制作・デザインWebデザイナーのフリーランスの将来性とキャリアの広げ方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
Webデザイナーの仕事は、見た目を整えて形にする仕事から、多くの人が使えるページであることと、公開後の成果を説明できることが求められる仕事へと移りつつあります。法律の改正で事業者の合理的配慮の提供が義務になり、Webのアクセシビリティの国内規格も改正に向けた動きが進んでいます。画像や文章を作る生成AIが広がり、作業の一部は速く安くなる一方、権利の確認や判断の説明はデザイナーに残ります。
広げる方向は、アクセシビリティの専門性、成果に責任を持つ改善の役割、前後の工程(設計・実装・進行)への広がりの3つが中心です。この記事では、2026年10月時点で公式に確かめられる動きをもとに、今後の役割と広げ方を整理します。
公表されている3つの動き
1. 事業者の合理的配慮の提供が義務になった
内閣府によると、障害者差別解消法の改正法は2024年(令和6年)4月1日に施行され、事業者による合理的配慮の提供が義務になりました。法律では、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があった場合に、負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な配慮をすることが事業者に求められています(第8条第2項)。また、配慮を的確に行うための環境の整備に努めることも定められています(第5条)。
条文はWebサイトを名指しして特定の規格への適合を求めているわけではありません。ただ、企業がWebサイトでの情報提供を見直すきっかけにはなっており、アクセシビリティに配慮したデザインを求める発注は今後も続くと考えられます。自社のサイトが法律上どこまでの対応を求められるかは個別の判断が要るため、取引先には専門家への相談をすすめるのが適切です。
2. 国内規格JIS X 8341-3の改正が予定されている
国や自治体のWebサイトのアクセシビリティは、総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(2024年版)で、JIS X 8341-3:2016に基づいた取組の手順が示されています。総務省は2026年8月に、今後改正が予定されているJIS X 8341-3を踏まえてガイドラインを改定するための研究会を開きました(2026年10月時点)。
国際的な指針であるW3CのWCAGは、2.2が2023年10月に勧告され、2024年12月に更新されています。W3Cの案内では、国際規格ISO/IEC 40500:2025は2023年10月版のWCAG 2.2と同じ内容とされています。国内規格の改正がどの版にそろえる形になるか、いつ公示されるかは、日本産業標準調査会や総務省の発表で確かめる必要があります。
デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は、2025年10月にデジタル社会推進標準ガイドラインに編入されています。発注する側の担当者が読む資料でもあるので、デザイナーも目を通しておくと、取引先と同じ言葉で話せます。
3. 生成AIと著作権の考え方が示された
文化庁は、文化審議会の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)を公表し、その後「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)も出しています。画像の生成や加工にAIを使う場面が増えるなかで、生成したものを納品物に使ってよいか、既存の作品に似ていないかを確かめる責任は、使う側に残ります。契約との関係はAIを使った業務と契約の記事で整理しています。
Webデザイナーの役割はどう変わるか
生成AIやテンプレートの広がりで、バナーの量産や定型的なページ作りは、短い時間で形にできるようになっています。そのぶん、次の役割の比重が増していきます。
- 使える人を広げる:色だけに頼らない、文字が読める、操作できる、といった品質をデザインの段階で作り込む
- 成果を説明する:公開後の数値を見て、何を直すべきかを判断し、依頼者に説明する
- 決まりをつくる:AIや複数のデザイナーが作っても見た目がそろうよう、色・文字・部品の決まりを整える
- 権利を確かめる:素材、フォント、AIの生成物を、利用条件に沿って使っているかを確かめる
作業の速さだけで比べられる仕事は条件が下がりやすく、判断と説明を伴う仕事は代わりが見つかりにくい、という差が広がっていくと考えられます。
選択肢を広げる3つの方向
1. アクセシビリティに強いデザイナーへ
コントラストや代わりの説明、操作のしやすさをデザインの段階で作り込み、確認まで担えるデザイナーは、まだ多くありません。WCAGの達成基準を読み、どの基準がデザインで決まり、どれが実装で決まるかを説明できるようになると、公共や大企業の案件にも入りやすくなります。
国の機関のサイトでは、JIS X 8341-3:2016に基づいて試験を行い、その結果をサイト上で公表している例があります。こうした公表の形式を一度読んでおくと、発注する側がどの基準をどう確かめているのかがつかめ、デザインの段階で何を準備しておけばよいかを考えやすくなります。
2. 成果に責任を持つ改善の役割へ
LPやバナーの運用で、数値を見て直すことを続けると、作る人から改善を任される人へ役割が広がります。アクセス解析や比較のテストの進め方を学び、改善の計画を自分から出せるようになることが一歩目です。
3. 前後の工程へ広げる
デザインの前後の工程に広げる道もあります。
- 設計の側へ:ユーザー調査や画面の操作設計に広げる。UI/UXデザイナーの将来性を参考にしてください
- 実装の側へ:HTML・CSSやCMSでの構築に広げる。WordPressの将来性で整理しています
- 進行の側へ:要件の整理や制作の管理に広げる。Webディレクターの将来性をご覧ください
どの方向に進む場合も、デザインの判断を説明できることが土台になります。
経験の段階に応じた広げ方
制作の経験が浅い時期
まずは種類の違う媒体を経験し、目的から考えて作る習慣をつけます。アクセシビリティの基本(コントラスト、色だけに頼らない表示、押せる部分の大きさ)を、日々の制作で意識するところから始めると、次の段階で差がつきます。
一つの媒体を任される時期
公開後の改善まで関わる案件を選び、数値と判断を結びつけて話せる実績をつくります。アクセシビリティでは、WCAGの達成基準のうちデザインに関わるものを一通り確かめた経験があると、方針を決める段階に進みやすくなります。
方針を決める時期
デザインの決まりを整え、ほかのデザイナーやAIが作っても品質がそろう仕組みをつくる役割に進みます。取引先の担当者と、アクセシビリティや成果の目標を最初に決める場に出られると、任される範囲がさらに広がります。
よくある質問
生成AIが広がると、Webデザイナーの仕事はなくなりますか?
定型的なバナーやページを形にする作業は速くなり、その部分の条件は下がりやすくなると考えられます。一方で、目的に合っているか、多くの人が使えるか、権利に問題がないかを判断して説明する仕事は残ります。作業の速さより、判断と説明を前に出せるよう経験を積むことが大切です。
アクセシビリティを学ぶには、何から始めればよいですか?
W3CのWCAGのうち、コントラスト、色の使い方、代わりの説明、押せる部分の大きさなど、デザインで決まる達成基準から読み始めると、日々の制作にすぐ生かせます。デジタル庁の導入ガイドブックは、発注する側の考え方を知るのに役立ちます。
障害者差別解消法の改正で、すべての企業サイトが規格への対応を義務づけられたのですか?
改正で義務になったのは、障害のある人から申し出があった場合の合理的配慮の提供で、条文はWebサイトを特定の規格に合わせることを名指しで求めてはいません。ただし、個別の状況によって求められる対応は変わるため、取引先のサイトについての判断は、専門家に確かめることをおすすめします。
参考にした公的情報・資料
- 障害を理由とする差別の解消の推進(内閣府)
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov法令検索)
- みんなの公共サイト運用ガイドライン(総務省)
- 「みんなの公共サイト運用ガイドライン改定に関する研究会」の開催(総務省)
- ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック(デジタル庁)
- WCAG 2 Overview(W3C Web Accessibility Initiative)
- ウェブアクセシビリティ方針・試験結果の公表例(内閣府)
- AIと著作権について(文化庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。