20代でフリーランスになる前に考えたいこと|経験の積み方・お金・戻り道
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
20代でフリーランスになる前に考えたいのは、「今の経験で、どの案件に入れるか」と「会社を離れると積みにくくなる経験は何か」の2つです。業務委託の案件は、年齢よりも実務で何をしてきたかで判断されるため、経験年数が浅いうちは入れる案件の幅が狭くなりやすいのが実情です。
一方で、20代は働き方を変えても立て直しやすい時期でもあります。この記事では、独立の前に確かめたい経験の中身、お金と社会保険の切り替え、うまくいかなかったときの戻り道までを整理します。
案件で見られるのは「年数」より「任された範囲」
業務委託の案件では、多くの場合「〇〇の開発経験◯年以上」「要件定義の経験」といった条件が示されます。発注側は、参画した初日からある程度ひとりで動けることを期待しているため、教育を前提にした採用とは見方が違います。
20代の方が確かめておきたいのは、経験年数そのものより、次のような「任された範囲」です。
- 指示された作業だけでなく、設計や実装方針を自分で決めた場面があるか
- テスト、レビュー、リリースなど、開発の前後の工程にも関わったか
- 顧客や他チームと直接やり取りをした経験があるか
- 障害や仕様変更が起きたとき、自分で調べて対応した経験があるか
これらが具体的に話せると、経験年数が短くても「任せられる範囲」を説明しやすくなります。逆に、在籍は長くても担当範囲が狭い場合は、独立前に範囲を広げておくほうが、案件の選択肢が増えます。
| 確かめる点 | 説明しやすい状態 | 独立前に補いたい状態 |
|---|---|---|
| 担当工程 | 設計〜テストまで通して担当した | 実装の一部だけを担当している |
| 判断の経験 | 技術選定や実装方針を提案した | 決まった手順に沿って作業している |
| やり取り | 顧客や他チームと直接調整した | 社内の上長とのやり取りに限られる |
| 直近の技術 | 現場で使われている技術を実務で使った | 学習はしているが実務で使っていない |
経歴の書き方はスキルシートの基本の記事で解説しています。
会社を離れると積みにくくなる経験
20代で独立を考えるときに見落としやすいのが、会社員のうちに積みやすい経験です。業務委託では、契約で決めた業務を行うことが前提になります。そのため、次のような経験は、フリーランスになってからだと機会が限られることがあります。
- 新しい領域への挑戦:経験のない技術や役割を、教わりながら任される機会
- レビューを受ける経験:先輩からコードや設計に指摘をもらい、直していく経験
- チームを持つ経験:後輩の育成や、小さなチームのリーダー
- 社内の上流工程:企画や要件定義の場に、見習いとして同席する機会
もちろん、フリーランスになってから身に付ける方もいます。ただ、20代のうちは「会社で取れるものは取ってから出る」という考え方も選択肢になります。どちらを選ぶかは、今の職場でこれから何を任されそうかによって変わります。
独立前に「副業で試す」という順番もある
いきなり会社を辞める前に、副業として小さな業務委託を受けてみる方法もあります。勤務先が副業を認めているかは就業規則で確認が必要ですが、試せる環境であれば、次のことが事前に分かります。
- 自分で仕事を取り、条件を決める流れに慣れられるか
- 契約書や請求書のやり取りを負担に感じないか
- 会社の仕事と比べて、どんな案件なら続けたいと思えるか
副業での業務委託は副業で業務委託を受けるときの記事で解説しています。
なお、業務委託で仕事を受けるときは、発注側から取引条件を書面やメールなどで示してもらうのが基本です。2024年11月に施行されたフリーランス法では、発注事業者がフリーランスに業務を委託したとき、直ちに取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務が定められています。最初の契約で業務の範囲・報酬・支払期日を確かめる習慣を、20代のうちに付けておくと後々まで役に立ちます。
お金と社会保険の切り替えを先に把握する
会社を辞めてフリーランスになると、社会保険の仕組みが変わります。20代はまだ年金を意識しにくい時期ですが、手続きと支払いは独立した月から始まります。
年金:厚生年金から国民年金の第1号被保険者へ
日本国内に住む20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入していない人は、国民年金の第1号被保険者(または第3号被保険者)になります。会社を退職した場合は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所または町村役場で手続きします(2026年10月時点、日本年金機構)。
国民年金保険料は、令和8年度で月額17,920円です。会社員のときは給与から天引きされていたため、自分で納める負担として意識していない方も多いのですが、独立後は毎月の固定費として見込んでおく必要があります。納付が難しい場合の免除制度もあるため、詳しくは国民年金の記事をご覧ください。
健康保険:国民健康保険か任意継続か
会社の健康保険をやめた場合、国民健康保険に入るか、条件を満たせば元の勤務先の健康保険を任意継続するかを選びます。国民健康保険に加入するときは、14日以内に住んでいる市町村の窓口に届け出ます。保険料の計算は市町村ごとに違うため、国民健康保険の記事で考え方を確かめてください。
「戻り道」を考えておくと判断しやすくなる
20代の独立は、うまくいかなかったときに会社員へ戻る道も比較的考えやすい時期です。戻り道を先に考えておくと、独立するかどうかの判断が落ち着いてできるようになります。
- 何を得たら成功とするかを決めておく(例:特定の技術での実務経験、上流工程への参画など)
- いつ見直すかを決めておく(例:1年後に、案件の内容と収支を振り返る)
- フリーランスの経験をどう説明するかを意識しておく(参画した案件、担った役割、成果を記録しておく)
フリーランス期間に何をしていたかを具体的に説明できれば、その経験は転職でも評価の材料になります。逆に、短い案件を次々に移るだけだと、何が身に付いたのかを説明しにくくなります。正社員に戻る場合の考え方はフリーランスから正社員に戻る記事で解説しています。
独立を決める前のチェックリスト
最後に、20代で独立を考えるときに確かめたい点をまとめます。
- 今の経験で応募できる案件が、どの程度あるか(案件の募集要件を実際に読んで確かめる)
- 担当した工程と役割を、具体的に説明できるか
- 会社にいるうちに積んでおきたい経験が残っていないか
- 国民年金・健康保険・住民税を含めた毎月の支出を見込んでいるか
- 案件が決まらない期間があっても、数か月は生活できる資金があるか
- 見直しの時期と、戻る場合の道筋を考えているか
独立までの準備の全体は独立前の準備の記事、時期の考え方は独立のタイミングの記事にまとめています。
よくある質問
実務経験が2〜3年でもフリーランスになれますか?
なっている方はいます。ただし、入れる案件は経験に合ったものに限られやすく、希望の条件をすべて満たす案件が見つかるとは限りません。経験年数より、担当した工程や判断した場面を具体的に示せるかが大切です。実務経験がない場合の考え方は実務未経験からフリーランスを目指す記事をご覧ください。
20代でフリーランスになると年金は少なくなりますか?
会社員は厚生年金に加入しますが、フリーランスは国民年金の第1号被保険者になり、厚生年金の上乗せがなくなります。そのため、同じ期間を会社員として働いた場合と比べると、将来受け取る年金の仕組みが変わります。iDeCoや小規模企業共済などで自分で備える方法もあるため、iDeCoの記事もあわせてご覧ください。
フリーランスから正社員に戻るのは難しいですか?
戻る方もいます。フリーランスとして参画した案件で担った役割や成果を、具体的に説明できることが大切です。独立する前から、案件ごとに担当範囲と成果を記録しておくと、転職を考えるときにも役立ちます。
参考にした公的情報・資料
- 国民年金保険料(日本年金機構)
- 国民年金に加入するための手続き(日本年金機構)
- 会社を退職したときの国民年金の手続き(日本年金機構)
- 国民健康保険の加入・脱退について(厚生労働省)
- フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)
- フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組(公正取引委員会)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。