フリーランスのiDeCo|掛金の上限は2026年12月分から月7.5万円へ、注意点も整理
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランス(国民年金の第1号被保険者)のiDeCoの掛金の上限は、国民年金基金の掛金・付加保険料と合わせて月68,000円です。厚生労働省の案内では、2026年12月分(2027年1月の引き落とし分)から月75,000円に引き上げられます。
掛金は全額が所得控除になり、運用益にも税制上の優遇がありますが、原則として60歳まで引き出せません。手数料もかかるため、生活費や事業の資金とは分けて、続けられる額で使うことが大切です(2026年10月時点)。
掛金の上限と2026年12月の改正
iDeCoの掛金の上限(拠出限度額)は、加入者の区分で違います。2026年12月の改正の前後で、主な区分は次のように変わります。
| 区分 | 2026年11月分まで(月額) | 2026年12月分から(月額) |
|---|---|---|
| 第1号被保険者(自営業者・フリーランスなど) | 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合わせて) | 75,000円(同) |
| 会社員(企業年金がない) | 23,000円 | 62,000円 |
| 会社員(企業年金がある) | 20,000円(企業年金と合わせて55,000円まで) | 企業年金と合わせて62,000円まで |
厚生労働省の案内によると、改正は2026年12月(2027年1月の引き落とし分)からです。iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)でも、施行日は2026年12月1日とされています。
掛金を増やすには手続きが要る
上限が上がっても、掛金は自動では増えません。掛金を増やしたい人は、加入している運営管理機関(金融機関など)で掛金額の変更手続きをします。厚生労働省の案内では、2026年12月分からの変更は2026年9月ごろから受け付ける予定とされ、オンライン手続きのe-iDeCoでは2026年12月1日から24日までの間に手続きできるとされています。
受付の期限や方法は運営管理機関ごとに違い、手続きの内容によっては2026年12月分に反映できない場合があります。加入している運営管理機関の案内をご確認ください。
付加保険料・国民年金基金と合わせた上限
第1号被保険者の上限は、iDeCo単独の額ではありません。国民年金基金の掛金や、国民年金の付加保険料(月400円)と合わせて考えます。
- 国民年金基金に月30,000円を払っている人:改正後のiDeCoの上限は75,000円−30,000円=45,000円
- 付加保険料を払っている人:付加保険料の分だけ上限が減る。iDeCoの掛金は1,000円単位のため、実際に設定できる額は上限より少し低くなる
付加年金と国民年金基金は同時に入れません。付加年金の仕組みは付加年金の記事、国民年金基金は国民年金基金の記事をご覧ください。
加入できる人・できない人
第1号加入者として入れる人
iDeCo公式サイトでは、第1号加入者は20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生とされています。業務委託で働くフリーランスは、多くの場合この区分にあたります。
第1号被保険者でも入れない人
- 国民年金保険料の免除を受けている人(一部免除を含む。障害基礎年金を受給している人など一部を除く)
- 農業者年金の被保険者
国民年金保険料を払えずに免除を受けている期間は、iDeCoに掛金を出せません。国民年金の免除の仕組みは国民年金の保険料と免除の記事で解説しています。
60歳以降と70歳までの加入
60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人などは、第4号加入者として入れます。さらに2026年12月からは、一定の要件を満たせば、60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者でない人も加入できるようになります(第5号加入者)。対象は、iDeCoの加入者・運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移す人のいずれかで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていない人などです。
税金の優遇と注意点
iDeCo公式サイトでは、掛金・運用益・受け取りのそれぞれの段階で税制上の優遇があると説明されています。
- 掛金:国税庁の案内では、個人型確定拠出年金の掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象で、払った全額を所得から差し引ける
- 運用益:運用で得た利益に税制上の優遇がある
- 受け取り:受け取るときにも税制上の優遇措置がある
掛金の所得控除は、本人の所得からしか差し引けません。課税される所得がない人は、所得控除の効果を受けられません。家族の分の掛金を払っても、自分の控除にはできない点に注意が必要です。
所得控除の大きさの目安
たとえば月20,000円を1年間出すと、年240,000円が所得から差し引かれます。改正後の上限の月75,000円なら、年900,000円です。どれだけ税金が下がるかは、その人の所得税率や住民税で変わります。
フリーランスは、経費や青色申告特別控除を差し引いた後の所得に税金がかかります。独立1年目は経費の計上が想定より少なくなったり、反対に売上が少なかったりと、所得が読みにくい時期です。確定申告の結果を見てから、翌年の掛金を見直すと、控除の効果と手元の資金のバランスを取りやすくなります。確定申告の流れは確定申告の記事で解説しています。
掛金の決まりごと
- 月5,000円から、1,000円単位で決める
- 掛金額は1年(12月分から翌年11月分)に1回だけ変えられる
- 掛金を出すのを止めることもできる
- 年1回以上、自分で決めた月にまとめて出す「年単位拠出」も選べる(第1号加入者の場合)
受け取りの仕組み
iDeCoの資産は、老齢給付金として受け取ります。
- 受け取れる年齢:原則60歳から。受け取り始める時期は75歳までの間で選べる
- 加入期間の条件:60歳から受け取るには、通算の加入者等期間が10年以上必要。10年未満の場合は、受け取れる年齢が期間に応じて61歳〜65歳に繰り下がる
- 受け取り方:一時金、5〜20年の有期年金(金融機関によっては終身年金)、またはその組み合わせ
独立が40代・50代の人は、60歳までの加入期間が10年に届かないことがあります。その場合は、受け取れる年齢が遅くなる点を前提に考えましょう。
手数料がかかる
iDeCoには、加入時や毎月の手数料がかかります。手数料の額は運営管理機関によって違います。掛金が少ないと、手数料の割合が相対的に大きくなる点も考えて金額を決めましょう。
小規模企業共済・国民年金基金との使い分け
| 制度 | 受け取るきっかけ | 掛金の上限(月額) | 掛金の控除 |
|---|---|---|---|
| iDeCo | 年齢(原則60歳から) | 2026年12月分から75,000円(国民年金基金・付加保険料と合わせて) | 小規模企業共済等掛金控除 |
| 小規模企業共済 | 廃業・退任など | 70,000円 | 小規模企業共済等掛金控除 |
| 国民年金基金 | 年齢(年金として受け取る) | iDeCoと合わせて上限の範囲内 | 社会保険料控除 |
小規模企業共済はiDeCoとは別の上限で、併用できます。事業をやめたときの退職金を用意したい人は小規模企業共済、年齢で受け取る老後の資金を用意したい人はiDeCo、と目的で分けて考えるとよいでしょう。小規模企業共済の仕組みは小規模企業共済の記事で解説しています。
よくある質問
改正後の上限まで掛金を増やすには、いつまでに何をすればよいですか?
掛金額の変更手続きが必要です。厚生労働省の案内では、2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からの変更は2026年9月ごろから受け付ける予定とされ、e-iDeCoでは2026年12月1日から24日までの間に手続きできます。受付の期限は運営管理機関ごとに違うため、加入している運営管理機関の案内をご確認ください。
国民年金保険料を前納していてもiDeCoに加入できますか?
前納かどうかは、iDeCoの加入資格には関係しません。第1号加入者として加入できないのは、国民年金保険料の免除を受けている人や農業者年金の被保険者などです。免除を受けると、その間は掛金を出せなくなります。
収入が減ったら掛金を止められますか?
止められます。掛金を出すのを止めても、それまでの資産は運用を続けられます。ただし、原則として60歳まで資産を引き出すことはできません。止めている間の手数料の扱いは、運営管理機関でご確認ください。掛金額は1年に1回変更できるため、止める前に減額を検討する方法もあります。
参考にした公的情報・資料
- iDeCoがパワーアップします(厚生労働省)
- iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢が引き上げられます(厚生労働省)
- iDeCoの概要(iDeCo公式サイト・国民年金基金連合会)
- iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等(iDeCo公式サイト・国民年金基金連合会)
- 制度改正について(iDeCo公式サイト・国民年金基金連合会)
- 付加保険料の納付(日本年金機構)
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。