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物流業界の案件で気をつけたい規制とルール|2024年問題・改正物流効率化法・個人情報

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

物流の案件で押さえておきたいルールは、トラックドライバーの時間外労働の上限規制と改善基準告示(いわゆる物流の2024年問題の出発点)、改正物流効率化法、改正貨物自動車運送事業法、そして届け先などの個人情報の扱いの4つです。前の3つは荷主や物流事業者が守るルールで、IT案件では、システムの要件や作る機能の背景として表れます。

大事なのは、条文を覚えることより、取引先が「なぜその機能やデータを求めているか」を理解し、制度の解釈が必要な場面では自分で決めずに確かめることです。この記事では、2026年10月時点で厚生労働省・国土交通省・個人情報保護委員会の公式ページで確認できた内容をもとに整理します。個別の判断が必要な場合は、取引先の担当部門や専門家にご相談ください。

ドライバーの労働時間のルール(2024年4月から)

時間外労働の上限規制

厚生労働省によると、2024年4月から、自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用されています。特別条項付きの36協定を結ぶ場合の、年間の時間外労働の上限は年960時間です。

一般の業種とは違う点もあります。厚生労働省のページでは、自動車運転の業務には、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内とする規制や、時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月までとする規制は適用されないと説明されています。

改善基準告示

ドライバーには、上限規制とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)があります。厚生労働省の荷主向けのページによると、2024年4月1日以降のトラック運転者の主な基準は次のとおりです。

項目基準
1年の拘束時間原則3,300時間以内(労使協定により3,400時間以内)
1か月の拘束時間原則284時間以内(労使協定により310時間以内、年6か月まで)
1日の休息期間継続11時間を基本とし、9時間を下回らない

宿泊を伴う長距離の運送には例外も設けられています。細かな条件は厚生労働省の資料で確かめてください。

IT案件への表れ方

これらのルールを守る義務を負うのは、ドライバーを雇う運送事業者です。IT案件では、配車の計画で拘束時間や休息を考慮する機能、運行の実績から労働時間を把握する機能などの要件として表れます。厚生労働省は荷主向けのページで、荷主に求められることとして、配車システムの導入などによる積載効率の向上、トラック予約受付システムの導入などによる荷待ち時間の短縮、荷待ち・荷役の時間の把握などを挙げ、1運行あたりの荷待ち・荷役等の時間を2時間以内にするという国の目標も示しています。

計算の規則を実装する場面では、どの基準をどう判定するかを取引先の労務の担当者が決め、その仕様にもとづいて作るのが基本です。判定の規則を自分の解釈で決めないようにします。

改正物流効率化法

法律の名称と施行の段階

2024年5月15日に公布された改正法(令和6年法律第23号)により、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の名称は「物資の流通の効率化に関する法律」に変わりました。国土交通省の解説では「物流効率化法」と呼ばれています。

時期中身
2025年4月1日すべての荷主・物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に、物流効率化の取組の努力義務。国が判断基準を定め、指導・助言、調査・公表を行う
2026年4月一定規模以上の事業者を特定事業者に指定し、中長期計画の作成と定期報告を義務づけ。特定事業者のうち荷主などには物流統括管理者の選任を義務づけ

国土交通省の改正法のポータルでは、特定事業者の指定の基準として、荷主と連鎖化事業者は年度の取扱貨物の重量9万トン以上、貨物自動車運送事業者等は保有する事業用自動車150台以上、倉庫業者は年度の保管量70万トン以上が示されています。計画にもとづく取組が不十分な場合は、勧告・命令などの対象になります。

判断基準で示された取組

努力義務の中身として、国土交通省のポータルでは、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、実効性の確保の4つの分野が挙げられています。例として、トラック予約受付システムの導入、パレットの標準化、タグの導入による検品の効率化、事前出荷情報の活用、取組の状況や効果の把握、物流データの標準化などが示されています。

IT案件への表れ方

バースの予約、入荷予定のデータの受け渡し、到着と荷役の時刻の記録、定期報告のためのデータの集計などは、この制度と結びついた案件です。届出や計画の提出などは、原則としてe-Govの電子申請で行うと案内されています。システムで集める数字の定義(荷待ち時間をいつからいつまでと数えるかなど)は、国の示す算定方法と取引先の判断にもとづいて決めるもので、IT側が独自に決めるものではありません。

改正貨物自動車運送事業法

同じ改正で、トラック運送の取引のルールも変わりました。国土交通省によると、2025年4月1日から次の規定が施行されています。

2026年4月1日以降は、貨物利用運送事業者にも、真荷主との書面の交付や実運送体制管理簿の作成などが課されています。配車や協力会社の管理、運賃の計算を扱う案件では、書面の作成や管理簿のための情報を、どのシステムのどのデータから作るかが要件になることがあります。

届け先などの個人情報の扱い

物流のシステムには、個人宅への配送であれば、届け先の名前・住所・電話番号などの個人情報が大量に入っています。取引先が個人データの取扱いを外部に委託する場合、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、委託元が委託先に必要かつ適切な監督を行うことを求め、委託先の選定、委託契約、取扱状況の把握を挙げています。フリーランスが本番のデータに触れる案件では、契約や取引先の規程を通じて、データの扱いのルールが細かく決められることがあります。

個人情報保護法の全体像は個人情報保護法の記事、委託先として求められることは個人情報を扱う業務の記事で整理しています。

ルールを実務に落とすチェックリスト

参画の前後で、次の点を確かめておくと安心です。

  1. 取引先の規程を読む:情報セキュリティの規程、倉庫への入場のルール、機器の持ち込みのルール。取引先の規程に従う必要があるかの考え方は取引先の規程の記事で整理しています
  2. 作業の端末を確かめる:貸与PCを使うか、本番データに触れてよい端末はどれか。注意点は貸与PCの記事をご覧ください
  3. リモートの範囲を確かめる:自宅から本番環境に接続してよいか。自宅での対策は自宅のセキュリティの記事にまとめています
  4. 数字の定義の出どころを確かめる:労働時間や荷待ち時間の計算の規則を、誰がどの資料にもとづいて決めるか
  5. 倉庫での安全のルールを確かめる:フォークリフトなどが動く場所での立ち入りの範囲や服装の決まり
  6. 終了時の扱いを確かめる:資料やデータの返還・廃棄の方法と、実績として話してよい範囲。秘密の範囲は秘密保持契約の記事で扱います

小売の店舗や本部に固有のルールは流通・小売業界の規制の記事をご覧ください。

よくある質問

物流の2024年問題の規制は、フリーランスのIT人材にも関係しますか?

時間外労働の上限規制や改善基準告示は、運送事業者に雇われるドライバーの労働時間のルールで、IT案件のフリーランスが直接守る義務を負うものではありません。ただし、配車や運行管理のシステムでは、これらの基準を踏まえた機能が求められます。基準の判定の仕方は、取引先の担当者が決めた仕様にもとづいて作ります。

改正物流効率化法の特定事業者にあたるかどうかは、どう判断すればよいですか?

特定事業者にあたるかは、取扱貨物の重量や保有車両の台数などの基準にもとづいて、事業者自身が判断し届け出るものです。IT案件の立場で判断するものではありません。集計の仕組みを作る場合は、基準となる数字の定義を取引先に確かめ、国土交通省の資料を参照してください。

配送データに個人情報が含まれる場合、どんな契約になることが多いですか?

個人データの取扱いの委託として、安全管理の方法、目的外利用の禁止、再委託の制限、終了時の返却や廃棄、事故が起きたときの報告などが契約や誓約書に入ることが多くあります。条項の意味が分からない場合は署名の前に取引先に確かめ、必要に応じて専門家にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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