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業界別の案件

建設業界の経験をスキルシートで伝える書き方|立場・工種・領域・現場の範囲の示し方

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

建設業の経験をスキルシートで伝えるには、取引先の立場(発注者・元請・専門工事会社)、工種(土木・建築・設備)、担当した領域、現場や拠点の範囲、システムを使った人の5つをそろえて書きます。「建設会社向けシステム開発」とだけ書くと、読み手は何を任せられるかを判断できません。

一方で、建設業の経験には、工事名や現場の場所、図面、金額など、書いてはいけない情報が多く含まれます。この記事では、伝わる書き方と、書かない線の引き方をあわせて紹介します。スキルシートの全体の構成や基本の型はスキルシートの書き方の記事をご覧ください。

建設業の案件で読み手が知りたいこと

建設業の案件のスキルシートを読むのは、建設会社の情報システム部門やDXの推進部門、その会社を支援するSIerのPM・リーダーであることが多く、読み手自身が工事の流れを知っています。そのため、次の点をシートから読み取ろうとします。

5つの領域の中身は建設業のIT案件の記事で整理しています。シートでは、この言葉を使って自分の位置を示すと、読み手と認識をそろえやすくなります。

プロジェクト欄に足したい5つの項目

基本の型(期間・概要・役割・体制・担当工程・技術)に、建設業では次の項目を足します。

項目書き方のポイント例
取引先の立場発注者・元請・専門工事会社・設計事務所など元請(総合建設業)
工種土木・建築・設備など、大きなくくりで建築(事務所・集合住宅が中心)
領域どの領域を担当し、どの領域と連携したか施工管理を担当。原価管理システムへ出来高を連携
範囲対象の支店や現場の数、利用者の数を大まかに全国の現場のうち、1支店の現場で先行展開
利用者誰が、どこで、どの端末で使ったか現場の技術者がタブレットで入力し、支店で集計

立場と工種を書いておくと、それだけで「どの業務知識を持っているか」がかなり伝わります。業務知識の中身は建設業の業務知識の記事で解説しています。

パッケージと独自システムを区別する

施工管理や原価管理は、パッケージやクラウドサービスを使う場合と、会社独自に作り込んだシステムの場合があります。パッケージなら製品名と関わった範囲(設定・開発・保守)を書き、独自システムなら「自社開発の原価管理システム(長年使われてきたシステム)」のように書きます。

BIM/CIMの経験は「何に使ったか」まで書く

BIM/CIMの経験は、ソフトの名前だけでなく、モデルを何に使ったかを書くと伝わり方が変わります。国土交通白書2025では、令和6年度に3次元設計、BIM/CIM積算、デジタルデータを使った監督・検査の試行が始まったと説明されています。モデルの作成、数量の算出、図面との整合、検査や納品のデータなど、自分が関わった用途を書き分けます。

記入例(架空)

期間:(例)約1年。うち自分の参画は要件定義から展開後3か月まで
概要:(例)元請の建設会社における施工管理アプリの導入と原価管理システムとの連携
立場・工種:元請。建築工事が中心
領域:施工管理。現場で入力した出来高を原価管理システムに渡す連携を担当
範囲:全国の支店のうち、1支店の現場で先行展開し、その後ほかの支店に展開
役割:要件定義と基本設計のリーダー。メンバー4名
主な担当:現場ごとに違っていた出来高の入力の単位を、工事部門と経理部門の間で合意した。電波の届きにくい現場でも入力できるよう、一時保存と後送りの仕様を決めた
利用者:現場の技術者(タブレット)、支店の工事管理の担当者(PC)
技術:(例)モバイルアプリ、クラウドのデータベース、原価管理システムとのAPI連携

これは項目の埋め方を示すための架空の例です。実際の経験に置き換えて書いてください。

「主な担当」には誰と何を決めたかを書く

建設業の案件では、本社・支店・現場、元請と協力会社など、関わる人が多いため、誰と何を決めたかを書くと、調整の力が伝わります。

書き方例
伝わりにくい原価管理システムの要件定義を担当
伝わりやすい(例)工事部門と経理部門で費目の分け方が違っていたため、両方の集計に使えるコード体系の案を示し、合意した

途中で変わったときの扱いを書くのも効果的です。設計変更で契約金額が変わったとき、専門工事会社が途中で入れ替わったとき、工程が遅れたときにシステムでどう扱ったかは、実際に関わった人でないと書けません。

スキル一覧の書き方

スキル一覧には、技術と並べて、業務の項目を書く欄を設けると、建設業の経験が見えやすくなります。

業務の項目は、「経験あり」とだけ書くより、「要件定義から担当」「保守で改修を担当」のように、関わり方を添えると判断しやすくなります。施工体制台帳のように建設業法に根拠のある書類(第24条の8)に関わった場合は、法令上の書類を扱うシステムに関わったことが伝わるよう、書類の名前をそのまま書いて構いません。

書かないことの線を引く

建設業の経験で特に注意したいのは、工事を特定できる情報です。一般的なスキルシートで避ける社名や案件名に加えて、次のような情報は書きません。

書かない情報代わりの書き方
工事名、現場の住所、建物や構造物の名前「都市部の大規模な建築工事」「道路の改良工事」など大きなくくり
請負金額、実行予算、原価や利益の値「工事ごとの予算と実績を管理する仕組み」
入札や見積の金額、積算の単価「積算のデータを原価管理に渡す仕組み」
図面、3次元モデル、現場の写真「3次元モデルから数量を出す仕組み」
協力会社の名前、作業員の情報「協力会社と作業員の情報を管理する仕組み」
現場のネットワーク構成や入退場の運用の詳細「現場と本社のシステムの連携」

公共工事の中には、工事名や発注者が公表されているものもあります。それでも、自分がどの工事に関わったかは取引先との契約で秘密とされていることがあるため、公表されているからといって書いてよいとは限りません。

個人の情報を扱った経験の書き方

労務・安全の領域では、作業員の資格や就業の記録などを扱います。国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)を、技能者の資格や現場での就業履歴などを登録・蓄積する仕組みと説明しています。こうしたデータとの連携に関わった経験は書いてかまいませんが、扱った人数を細かく書いたり、データの項目を具体例つきで書いたりはせず、「技能者の資格と就業履歴のデータを社内システムと連携」程度にとどめます。

組み合わせで特定されないようにする

工種、規模、地域、時期を組み合わせると、社名や工事名を書かなくても特定されることがあります。たとえば、ある地域で同じ時期に行われた大規模な工事が限られている場合、それだけで分かってしまいます。提出前に、組み合わせたときに特定されないかを読み返します。ぼかし方の型はスキルシートと守秘義務の記事、契約上の秘密の範囲は秘密保持契約の記事で整理しています。

現場や施工管理の実務経験の書き方

建設会社で現場の技術者として働いた経験は、ITの案件でも強みになります。システムを使う側の目線を持っているからです。書くときは、職種の名前だけでなく、次のように「何を管理していたか」を書きます。

実務経験とITの経験をつなげて書くと、「現場の言葉が分かるエンジニア」として読み手に伝わります。PMとしての実績の見せ方はPMのスキルシートの記事も参考になります。

面談で口頭で伝えるときのコツ

面談では、シートに書いた1つのプロジェクトについて、「どの立場の会社で、どの領域を担当し、誰と、何をどう決めたか」を2〜3分で話せるように準備しておきます。工事名や金額を聞かれた場合は、「取引先の秘密にあたるため、仕組みの説明にとどめます」と断ってかまいません。線を引いて話せること自体が、情報管理への意識として受け止められます。

面談でよく聞かれる質問への準備は面談の質問の記事をご覧ください。

よくある質問

工事名を書かないと、経験の規模が伝わらないのではないですか?

読み手が知りたいのは、工事そのものより、どの立場の会社で、どの領域の、どんな判断をしたかです。「全国の支店のうち1支店で先行展開」「利用者は現場の技術者と支店の担当者」のように範囲と利用者を書けば、規模感は十分に伝わります。

公共工事に関わった経験は、発注者の名前を書いてもよいですか?

発注者が公表されている工事でも、自分の関わりを書いてよいかは、取引先との契約によります。迷う場合は「国の直轄土木工事」「自治体の発注工事」のような大きなくくりで書き、具体的な名前は避けるのが無難です。

BIMソフトの操作経験しかありませんが、どう書けばよいですか?

操作経験も立派な経験です。ソフトの名前に加えて、モデルを何のために作ったか(設計の検討、数量の算出、関係者との合意など)と、モデルのデータを誰に渡したかを書くと、IT案件で生かせる経験として伝わりやすくなります。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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