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業界別の案件

広告・メディア業界の案件で気をつけたい規制とセキュリティのルール|外部送信・個人関連情報・ステマ

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

広告・メディアの案件で押さえておきたいルールは、電気通信事業法の外部送信規律、個人情報保護法の個人関連情報の規定、景品表示法のステルスマーケティングの規制、デジタルプラットフォームの取引透明化法の4つです。どれも直接の義務を負うのはサイトの運営者や広告主、プラットフォームの事業者ですが、その仕組みを作り、動かすのはエンジニアです。

フリーランスが現場で求められるのは、法令の解釈ではなく、利用者の情報がどこへ流れているかを把握し、決められた手続きを省かないことです。この記事では、2026年10月時点で総務省・個人情報保護委員会・消費者庁の公式ページとe-Gov法令検索で確かめた内容と、それが現場の作業にどうつながるかを整理します。個別の判断が必要な場面では、発注側の法務部門や弁護士などの専門家に確かめてください。

電気通信事業法の外部送信規律:タグで送る情報の公表

何を求めているか

総務省によると、外部送信規律は2022年の電気通信事業法の改正で設けられ、2023年6月16日に施行されました。規定は電気通信事業法第27条の12です。

条文は、一定の電気通信役務を提供する事業者が、利用者の端末に指令を送り、端末に記録された利用者に関する情報を外部に送信させる場合に、あらかじめ次の事項を利用者に通知するか、利用者が容易に知り得る状態に置くことを求めています。総務省のページは、公表する事項として次の3つを挙げています。

  1. 送信される利用者に関する情報の内容
  2. 情報を取り扱う者の氏名または名称
  3. 情報の利用目的

広告の計測タグや、アプリに組み込む情報収集用のSDKは、この「外部に送信させる指令」の典型です。総務省のFAQは、タグやSDKのような情報収集モジュールを通じた送信、Cookieに保存されたIDを通じた送信を規律の対象として説明し、Cookieを使わない送信も対象になりうるとしています。

例外と対象の範囲

条文は、通知・公表が要らない場合として、サービスの提供に必要な情報、事業者が自ら端末に送った識別子を自らに送信させる場合、利用者の同意がある場合、利用者の求めに応じて送信や利用を停止する措置(オプトアウト)を講じてその内容を公表している場合などを定めています。

対象となるサービスの範囲にも注意が必要です。総務省のページとFAQは、SNS、検索サービス、ニュース配信サイトやまとめサイトなどのホームページの運営を対象の例に挙げています。一方で、自社の商品を自社のサイトで販売する場合や、企業が自社のサービスを紹介するページ、採用ページなどは、原則として対象外と説明しています。同じ会社の中でも、対象となるサービスやページだけに規律がかかる点が、案件で混乱しやすいところです。

現場の作業にどうつながるか

通信事業者の側の規制は通信業界の規制の記事で扱います。

個人情報保護法の個人関連情報:閲覧履歴を渡すとき

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人関連情報を、生存する個人に関する情報で、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも当たらないもの(法第2条第7項)と説明しています。該当する例として、Cookieなどの端末識別子を通じて収集されたWebサイトの閲覧履歴、商品の購買履歴やサービスの利用履歴、位置情報、興味・関心を示す情報などが挙げられています。

広告の案件で関わるのは、法第31条の第三者提供の制限です。ガイドラインは、提供先が個人関連情報を個人データとして取得することが想定されるときは、あらかじめ本人の同意が得られていることなどを確かめずに提供してはならないとしています。ここでの「個人データとして取得する」とは、提供先が手元の個人データに受け取った情報を結び付けて使う場合などを指すと説明されています。提供した側には、確認の記録を作成し、原則3年間保存する義務もあります。

同じ委員会のQ&Aには、Cookieなどの端末識別子や、タグを通じた閲覧履歴の提供に関する問答がまとめられています。

現場で気をつけたいのは、次の点です。

フリーランス自身が事業者として守ることは個人情報保護法の記事、個人情報を扱う業務の契約で確かめることは個人情報を扱う業務の契約の記事で扱っています。

景品表示法のステルスマーケティング規制:広告であることを隠さない

消費者庁によると、広告であるのに広告であることを隠す表示(いわゆるステマ)は、2023年10月1日から景品表示法の不当表示として規制されています。景品表示法第5条第3号は、内閣総理大臣が指定する表示を不当表示として禁じており、ステマはこの指定にあたります。

消費者庁のページは、規制の対象は商品やサービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象外と説明しています。事業者が第三者に依頼・指示して行わせた表示も、事業者の表示として扱われます。SNSの投稿やレビューだけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌なども対象です。一方、広告ではない個人の感想や、テレビのCMのように広告と分かるものは対象外です。

エンジニアの作業に関わるのは、次のような場面です。

表記の文言や位置の決定は、発注側の判断です。仕組みの変更で表記が消えたり見えにくくなったりしないよう、改修の前後で確かめる手順を持っておくと安心です。

デジタルプラットフォームの取引透明化法:大規模な広告の取引の場に

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(令和2年法律第38号)は、大規模なデジタルプラットフォームを経済産業大臣が指定し、取引条件の開示(第5条)、取引の相手方との相互理解を進めるための体制や手続きの整備(第7条)、毎年度の報告書の提出(第9条)などを求める法律です。

対象の事業の区分と規模は政令で定められています。政令は、物販のオンラインモールのほか、デジタル広告について次の2つの区分を置いています。

区分中身
第2号検索や投稿による交流の場を提供し、そこで広告を表示する事業で、表示する広告を主として競りにより決定するもの
第3号他の事業者の広告枠に、広告を表示させる役務を提供する事業で、表示する広告を主として競りにより決定するもの

義務を負うのは指定された大規模な事業者ですが、取引の条件の変更や開示の内容は、そのプラットフォームを使う広告主や広告会社、メディアの業務にも影響します。プラットフォームの仕様や規約の変更に合わせた改修が案件の中に出てくるのは、こうした背景もあります。取引の流れそのものは業務知識の記事で扱っています。

現場で気をつけたいセキュリティの5つの行動

規制の中身を踏まえて、広告・メディアの案件でフリーランスが気をつけたい行動をまとめます。具体的な決まりは参画先の規程が優先します。

  1. タグとSDKの変更は手続きを通す:送信先や送信する情報が変わる変更は、決められた承認を経てから行う
  2. 広告アカウントとAPIの鍵を丁寧に扱う:広告媒体の管理画面の権限やAPIの認証情報は、広告費の支出に直結する。個人の端末やチャットに残さず、必要な範囲の権限だけを使う
  3. 利用者のデータを持ち出さない:閲覧履歴や会員の情報を、許可された環境の外にコピーしない。検証には加工したデータを使う
  4. 表記や公表の内容を壊さない:広告表記や外部送信の公表ページに関わる改修では、変更の前後で表示を確かめる
  5. 異常はすぐに報告する:配信の誤り、意図しない送信、数字の急な変化に気づいたら、決められた経路ですぐに伝える

よくある質問

フリーランスのエンジニアも外部送信規律の義務を負いますか?

規律の義務を負うのは、対象のサービスを提供する事業者です。ただし、タグの設置や設定を担うのはエンジニアであることが多く、実務では、決められた手続きに沿って作業し、送信先の変更を発注側に伝えることが求められます。契約上の責任の範囲は、契約書と参画先の決まりで確かめてください。

Cookieを使わない計測なら、規制はかかりませんか?

そうとは限りません。総務省のFAQは、Cookieを使わない送信も外部送信規律の対象になりうると説明しています。また、個人関連情報の規定は、情報の種類と提供先での使われ方で判断されます。計測の方式を変えるときは、発注側の担当者に確かめてください。

規制の解釈に迷ったときはどうすればよいですか?

自分で結論を出さず、発注側の担当者や法務部門に確かめてください。フリーランスとしての契約上の責任に関わる場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。総務省・個人情報保護委員会・消費者庁のページには、FAQやQ&Aが掲載されているので、背景を知る資料として役に立ちます。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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