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インボイス・消費税

インボイスの記載を間違えたとき|修正した適格請求書の出し方と取引先側の対応

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

交付したインボイス(適格請求書)の記載に誤りがあったら、登録している事業者は、交付した相手に修正した適格請求書を交付します(消費税法57条の4)。直し方は、①誤りを直してすべての記載事項を書き直したものを出す方法と、②元の請求書との関係を明らかにして、修正した箇所だけを示した書類を出す方法などがあります。

取引先のほうで誤りを修正した支払明細書などを作り、確認を求めてくることもあります。その内容を確認すれば、改めて修正した請求書を出さなくても差し支えないとされています。どちらの場合も、最初に出した請求書の写しは保存しておきます。この記事では、2026年10月時点の国税庁のインボイスQ&Aをもとに、直し方を整理します。記載事項そのものは適格請求書の書き方の記事で解説しています。

修正が必要になる誤りの例

国税庁のQ&Aでは、交付した適格請求書(電子データで送ったものを含む)の記載事項に誤りがあったときは、修正したものを交付しなければならないとされています。フリーランスの請求書で起きやすい誤りと、取引先への影響は次のとおりです。

誤りの例取引先への影響
登録番号の数字の写し間違い公表サイトで照合できず、確認の連絡が来る
消費税額の計算や端数処理の誤り取引先が控除する税額がずれる
取引の期間(〇月分)の誤り取引先の帳簿と請求書が合わなくなる
宛名の誤り(グループ会社違いなど)受け取るべき会社の請求書にならない
報酬額の誤り(精算幅の計算違いなど)支払額と消費税額の両方が変わる

登録番号や消費税額は、取引先が仕入税額控除を受けるための記載事項です。取引先が誤りに気づくと、修正版が届くまで支払いの処理を止めることがあります。

修正した適格請求書の2つの出し方

国税庁のQ&Aと資料では、次の2つの方法が例として示されています。

1. すべての記載事項を書き直して出す

誤りを直した請求書を、記載事項をすべて書いた形で出し直します。誤りが複数ある場合や、金額全体が変わる場合に向いています。最初の請求書と区別できるよう、「修正」などと書き、どの請求書を直したものかが分かるようにしておくと、取引先の経理で取り違えが起きにくくなります。

2. 元の請求書との関係を示し、修正箇所だけを出す

最初の請求書の日付や番号を示したうえで、誤っていた箇所と正しい内容だけを書いた書類を出します。誤りが1か所だけのときに手早く対応できます。たとえば次のような書き方です(仮の数字)。

国税庁の記載例でも、当初の請求書と合わせて保存するよう添え書きをしています。修正した書類を出した事業者は、最初に出した請求書の写しと、修正した書類の写しの両方を保存する必要があります。

取引先が先に誤りに気づいた場合

国税庁のQ&Aでは、誤りのある適格請求書を受け取った取引先(買手)は、売手に修正した請求書を求めて、それを保存する必要があるとしています。買手が自分で追記や修正をすることは、原則として認められていません。

ただし、次のような対応もできるとされています。

  1. 取引先が修正した仕入明細書などを作る:買手が誤りを直した仕入明細書などを作り、売手の確認を受けて保存する。この場合、売手は改めて修正した請求書を交付しなくても差し支えない
  2. 取引先が請求書に修正を書き込み、売手が確認する:買手が修正した事項について売手の確認を受ければ、その書類は適格請求書であると同時に、修正事項を明示した仕入明細書などにも当たる

取引先から「こちらで直したので確認してください」と連絡が来たら、直した内容が正しいかを確かめてから確認の返事をします。確認した記録(メールなど)は残しておきます。この方法をとった場合も、売手は最初に出した請求書の写しを保存しておく必要があります。

翌月の請求書でまとめて調整してよいか

毎月請求している取引で、前月分の金額の誤りを翌月の請求書で加減して調整したい、という場面もあります。国税庁のQ&A(問34)では、卸売業者が毎月の請求書で前月の過少請求・過大請求を継続的に調整している事例について、その調整をもって修正した適格請求書の交付があったものとして扱って差し支えないとしています。この場合、当月の請求書の税率ごとの合計額と消費税額は、前月分を加減した後の金額になります。

ただし、これは継続的に同じ方法で調整している取引を前提にした事例です。また、調整の中には単なる誤りの修正だけでなく、値引きなどの「対価の返還等」に当たるものも含まれうるとされ、その部分は適格返還請求書の交付が必要になります(適格請求書と1枚の書類にまとめることはできます)。フリーランスの請求で同じ扱いにできるかは取引の内容によるため、取引先と方法を決めたうえで、税理士か税務署に確認してから使ってください。稼働時間で報酬が増減する契約は精算幅の記事もあわせてご覧ください。

支払いが終わってから誤りが分かったとき

入金の後に誤りが分かった場合も、修正した請求書を出す点は変わりません。そのうえで、お金の動きを取引先と決めます。

請求から入金までの流れは請求書の出し方と入金までの流れの記事、消費税の申告は消費税の納税の記事で解説しています。

誤りを減らすための送付前の確認

修正の手間を減らすには、送る前の確認がいちばんの近道です。毎月の請求書なら、次の5点を送付前に見直す習慣をつけておくと、よくある誤りの多くを防げます。

  1. 登録番号:「T」と13桁が、登録通知書や公表サイトの表示と一致しているか
  2. 宛名:契約の相手方の会社名と一致しているか(グループ会社や部署名の取り違えがないか)
  3. 期間:「〇月分」が、稼働した月と合っているか
  4. 金額:精算幅や日割りの計算を、契約の単価・時間で計算し直したか
  5. 消費税額:税率ごとの合計額に対して1回だけ端数処理しているか

前月の請求書をコピーして作る場合は、期間と金額の書き換え漏れが起きやすくなります。ひな形には毎月変わる欄に色を付けておくなど、書き換える箇所が一目で分かるようにしておくと見落としを減らせます。

写しの保存

国税庁の資料によると、交付した適格請求書の写しは、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します。修正した場合は、最初の請求書と修正した書類の写しをセットで保存しておくと、後から経緯を説明しやすくなります。PDFなどのデータで送った請求書は、送ったデータのまま保存することもできます。データの保存方法は電子帳簿保存法の記事をご覧ください。

よくある質問

PDFでメール送付した請求書の誤りも、修正した請求書が必要ですか?

必要です。国税庁のQ&Aでは、電子データ(電磁的記録)で提供した適格請求書に誤りがあった場合も、修正したものを交付しなければならないとされています。修正版もPDFで送ることができ、最初のデータと修正版のデータを両方保存しておきます。

免税事業者が出した請求書に誤りがあった場合も、同じ手順ですか?

修正した適格請求書を交付する義務は、登録している事業者(適格請求書発行事業者)に課されたものです。免税事業者の請求書は適格請求書に当たらないため、この義務の対象ではありませんが、取引先の支払いや帳簿に関わるため、誤りに気づいたら取引先と相談して訂正した請求書を出しましょう。

取引先から届いた支払明細書の金額が、自分の計算と違っていました。どうすればよいですか?

取引先が作る支払明細書(仕入明細書)は、売手の確認を受けることで、取引先が控除に使える書類になります。違いに気づいたら確認の返事をする前に取引先に連絡し、どちらの計算が正しいかを確かめます。取引先が明細を直したら、直った内容を確認してから返事をし、そのやり取りを記録として残しておきましょう。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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