業務委託の請求書の出し方|締めから入金までの流れと毎月の手順
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
業務委託の報酬は、締め日に稼働を確定 → 精算額を決める → 請求書を出す(または発注側の支払通知書を確かめる) → 支払期日に入金を確認する、という流れで受け取ります。毎月同じ手順の繰り返しなので、最初の1〜2か月で自分の段取りを決めてしまうと、あとは迷わずに回せます。
この記事では、月額の準委任案件を例に、締めから入金までの各段階でやることと、つまずきやすい点を整理します(2026年10月時点)。
締めから入金までの全体の流れ
月末締めの案件を例にすると、1か月の流れは次のようになります。
| 段階 | 時期の目安 | やること |
|---|---|---|
| 1. 締め | 締め日 | その月の稼働を締め、稼働報告をまとめる |
| 2. 報告・確定 | 締め日の後、数営業日 | 現場の確認を受けて報告を出し、精算額が確定する |
| 3. 請求 | 確定の後、決められた期限まで | 請求書を作って送る。または発注側から届く支払通知書を確かめる |
| 4. 入金 | 支払期日 | 指定口座への入金を確認する |
| 5. 照合・記帳 | 入金の後 | 請求額と入金額を突き合わせ、帳簿に記録し、書類を保存する |
稼働報告の書き方は稼働報告書の記事、締め日と支払日の関係は支払サイトの記事で解説しています。この記事は、3〜5の「請求して受け取るまで」に重点を置きます。
請求書は誰が作るのか:2つの方式
業務委託の請求には、大きく2つの方式があります。参画前に、どちらの方式かを確かめておきます。
| 方式 | 流れ | フリーランスがやること |
|---|---|---|
| 請求書方式 | フリーランスが請求書を作って送る | 金額を計算し、書式を整えて期限までに送る |
| 支払通知書方式 | 発注側(エージェントを含む)が、確定した金額をもとに支払通知書(支払明細書)を作る | 届いた金額と内訳を確かめ、誤りがあれば連絡する |
支払通知書方式では、自分で請求書を作らなくてよい代わりに、届いた内容を確かめることが大切になります。稼働時間、超過・控除の金額、消費税の扱い、源泉徴収の有無などが、自分の計算と合っているかを見ておきます。
インボイス発行事業者として登録している場合、発注側が支払明細書を作る取引での扱いは、適格請求書の書き方の記事で整理しています。
請求書を自分で作るときの手順
1. 金額を計算する
月額報酬に、精算による超過・控除、立て替えた経費などを加減して、請求する金額を出します。税込か税別かは契約の取り決めに合わせます。迷ったら税込・税別の記事で確認できます。
2. 書く項目をそろえる
インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)として登録している場合は、国税庁が示す次の事項を書きます。
- 請求書を作る人の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引の内容
- 税率ごとに分けて合計した対価の額と適用税率
- 税率ごとに分けた消費税額等
- 請求書を受け取る事業者の氏名または名称
このほか、実務では請求書番号、発行日、支払期日、振込先口座、稼働報告との対応(対象月)を書いておくと、相手の経理で処理しやすくなります。登録していない場合でも、取引の内容と金額、対象月、振込先は同じように書きます。源泉徴収の対象になる報酬がある場合は、源泉徴収の記事も参考にしてください。
3. 送り方を確かめて送る
送り方は、PDFをメールで送る、発注側のシステムにアップロードする、郵送するなど、取引先ごとに決まっています。宛先(経理部門か、現場の担当者か)、件名の付け方、ファイル名のルールがある場合もあります。最初の請求のときに確認し、次回からは同じ形で送ります。
請求が遅れても、支払期日は動かないのが原則
請求書を出し忘れたり、期限に遅れたりしたら、支払も遅れるのでしょうか。公正取引委員会のQ&Aと特設サイトでは、請求書が出ていないことを理由に支払期日を過ぎることは認められないとしています。支払期日の上限(給付を受領した日から60日以内、月単位の締めなら条件付きで締めの期間の末日から60日以内)は、従業員を使う発注者に課されたルールです。詳しくは60日ルールの記事で整理しています。
とはいえ、発注側の経理では請求書や報告をもとに支払の準備をしているため、期限に遅れると手続が慌ただしくなります。ルールに頼らず、期限を守って出すのが基本です。
入金を確認し、請求額と照合する
支払期日になったら、口座の入金を確かめ、請求額と照合します。
金額が合わないときに確かめること
| 差の原因 | 確かめること |
|---|---|
| 源泉徴収 | 源泉徴収の対象になる報酬で、所得税等が差し引かれていないか |
| 振込手数料 | 振込手数料が差し引かれていないか |
| 精算の違い | 超過・控除の計算が、自分の報告と違っていないか |
| 消費税 | 税込・税別の扱いや端数の処理が、請求と違っていないか |
| 経費 | 立て替えた経費が、報酬と別の日に支払われる取り決めになっていないか |
振込手数料については、公正取引委員会の特設サイトで、2026年(令和8年)1月1日以降に業務委託した取引では、振込手数料をフリーランスに負担させて報酬から差し引くことは、事前に合意していても報酬の減額にあたるとされています(1か月以上の業務委託が対象)。2025年12月31日以前に業務委託した取引では、事前に書面やメールなどで合意していれば、実費の範囲で差し引くことは減額にあたらないとされていました。差し引かれていたら、委託を受けた時期と契約の内容を確かめて、発注側に問い合わせます。
入金がないとき
支払期日を過ぎても入金がない場合は、まず請求書の送付先や口座情報に誤りがないかを確かめ、記録が残る形で問い合わせます。その後の対処は報酬が支払われないときの記事で順を追って説明しています。
帳簿への記録と書類の保存
入金を確かめたら、売上として帳簿に記録します。発生主義で記帳している場合は、請求した時点(役務の提供が終わった月)に売上を計上し、入金時に売掛金を消し込む形が一般的です。記帳の方法は、使っている会計ソフトや税理士の指示に合わせてください。
あわせて、次の書類を保存します。
- 送った請求書、または届いた支払通知書
- 稼働報告書の控え
- 入金の記録(通帳や明細)
メールで送受信したPDFや、クラウドでやり取りした請求書のデータは、電子帳簿保存法の「電子取引」にあたります。同法では、注文書・契約書・領収書・見積書などに通常書かれる取引情報を電子的にやり取りした場合、そのデータを保存することが求められています。保存の方法は電子帳簿保存法の記事で整理しています。
毎月の手順をチェックリストにする
請求の作業は毎月同じです。次のようなチェックリストを作っておくと、抜け漏れを防げます。
- 締め日:稼働の合計を出し、報告の書式に転記した
- 報告:現場の確認を受け、期限までに提出した
- 請求:金額・対象月・登録番号・振込先を確かめ、決められた方法で送った(支払通知書方式なら、内容を確かめた)
- 入金:支払期日に入金を確認し、請求額と一致した
- 記録:帳簿に記録し、請求書・報告書・入金記録を保存した
複数の案件を掛け持ちしている場合は、案件ごとに締め日と支払日が違うことがあります。案件ごとに行を分けた一覧表を作っておくと、入金の予定と実績を見比べやすくなります。
よくある質問
請求書はいつ出せばよいですか?
取引先が決めた期限に合わせます。月末締めの案件では、稼働報告が確定したあと、翌月の初めの数営業日以内とされることが多くあります。期限が分からない場合は、最初の請求の前に、発注側やエージェントに確かめておきましょう。
エージェント経由の案件では、請求書は誰に出しますか?
契約の相手はエージェントなので、請求書もエージェントに出すのが一般的です。エージェントが支払通知書を作る方式の場合は、届いた内容を確かめて、誤りがあれば連絡します。どちらの方式かは、参画前の案内や契約書で確認できます。
請求書の金額を間違えて送ってしまいました。どうすればよいですか?
気づいた時点で、取引先に連絡し、正しい請求書を出し直すのが基本です。インボイス発行事業者として登録している場合は、修正した適格請求書を交付する必要があります。直し方は適格請求書の書き方の記事で解説しています。
参考にした公的情報・資料
- No.6625 適格請求書等の記載事項(国税庁)
- 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(e-Gov法令検索)
- 2026年 フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)
- フリーランス法に関するQ&A(公正取引委員会)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(公正取引委員会・厚生労働省、令和8年10月1日改正)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。