取引先から登録番号を聞かれたときの対応|登録済み・未登録・申請中で答え方を分ける
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
取引先から登録番号を聞かれたら、まず自分が「登録済み」「未登録」「申請中」のどれに当たるかで答え方を分けます。登録済みなら「T」+13桁の番号を伝え、公表サイトに出る氏名と請求書の名義をそろえておきます。未登録ならその旨をそのまま伝え、番号に似た英数字は書きません。申請中なら、登録日と通知の見込みを伝えます。
取引先が番号を求めるのは、受け取った請求書で消費税の仕入税額控除を受けるためです。この記事では、2026年10月時点の国税庁の公表サイトとインボイスQ&Aをもとに、聞かれたときの対応を整理します。制度の全体像はインボイス制度の基本の記事で解説しています。
取引先が登録番号を確かめる理由
インボイス制度では、取引先(課税事業者)が仕入税額控除を受けるには、登録を受けた事業者が交付した適格請求書などの保存が要件になります。取引先は、請求書に書かれた登録番号を国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で検索し、その番号が取引の時点で有効かを確かめます。
国税庁は、検索しても該当する情報がない場合や、請求書と違う情報が表示される場合は、番号が誤っている可能性があるため、まず相手に確認するよう案内しています。登録番号を聞かれたり、番号の確認の連絡が来たりするのは、この確認の流れの一部です。
登録していない事業者からの仕入れについても、取引先は経過措置により一定の割合を控除できる期間があります。割合の変わり方は免税事業者からの仕入れの経過措置の記事をご覧ください。
状況別の答え方
| 自分の状況 | 伝えること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 登録済み | 登録番号(T+13桁)、公表サイトに出る氏名 | 請求書の名義と公表情報をそろえる |
| 未登録(免税事業者) | 登録していないこと、登録の予定があればその時期 | 番号に似た英数字を書かない |
| 申請中 | 申請したこと、登録希望日、通知の見込み | 通知が来るまで番号を推測で書かない |
登録済みの場合
登録番号は、税務署から届く「適格請求書発行事業者の登録通知書」に書かれています。e-Taxで通知を受け取った人は、e-Taxで確認できます。番号が分からなくなった場合は、国税局(所)のインボイス登録センターに問い合わせる方法が国税庁のQ&Aで案内されています。
番号を伝えたら、次の点もあわせて確かめておくと、取引先の確認がスムーズに進みます。
- 公表される情報:氏名、登録番号、登録年月日(取消し・失効があればその年月日)。個人事業者の住所や屋号は、申出をしない限り公表されません
- 旧姓・通称:住民票に併記された旧姓や外国人の通称で公表したい場合は、「公表事項の公表(変更)申出書」を出します
- 屋号で請求している場合:国税庁は、電話番号などで発行者を特定できれば、請求書の名称は屋号でもよいとしています。ただし、公表サイトの検索では屋号が表示されないため、取引先から問合せを受けることがあります。その場合は、申出書で「主たる屋号」を公表する方法があります
登録番号は事業者ごとに1つです。13桁の数字にマイナンバーは使われていません。登録の手続きと通知の流れはインボイス登録の手続きの記事、屋号の付け方は屋号の記事で解説しています。
未登録(免税事業者)の場合
登録していなければ、「適格請求書発行事業者の登録は受けていない」と伝えれば足ります。国税庁のQ&Aによると、免税事業者も、適格請求書に当たらない請求書や領収書はこれまでどおり発行できます。免税事業者が請求書に消費税相当額を書いても、適格請求書と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の対象にはならないとされています。
一方、登録していない人が、適格請求書と誤認されるおそれのある書類を交付することは禁止され、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。国税庁は、登録番号に似た英数字や、自分のものではない登録番号を自分の番号として書いた書類を例に挙げています。取引先の書式に登録番号の欄があっても、空欄のままにするか「登録なし」と書きます。
申請中の場合
申請してから通知が届くまでの期間は時期によって違い、国税庁はインボイス制度特設サイトで目安を案内しています。取引先には、申請したことと登録希望日を伝え、通知が届いたら番号を知らせると伝えておきます。
登録日から通知が届くまでの間に請求書を出した場合、国税庁のQ&Aでは、通知を受けた後に登録番号など足りない記載事項を書面などで取引先に知らせれば、すでに出した請求書と合わせて適格請求書の記載事項を満たせるとされています。知らせる書面には、どの請求書についての連絡かが分かるように書きます。
書面やフォームで回答を求められたとき
取引先によっては、取引先登録の書類やWebフォームで、登録状況を回答するよう求められます。回答するときは次の点を確かめます。
- 番号:「T」を含めて14文字になっているか。数字の桁を写し間違えていないか
- 氏名:公表サイトの表記と同じか。屋号だけで回答すると、取引先の照合で一致しないことがある
- 登録年月日:年の途中で登録した場合、登録日より前の取引は適格請求書の対象にならない。どの取引から番号を書くかを取引先と確かめる
- 未登録の場合:「登録予定」と書くなら、実際に申請するかどうかを決めてから書く
登録するかどうかをまだ決めていないなら、その時点の状況だけを答え、判断は別に行います。判断の考え方はインボイス登録の判断の記事で整理しています。
登録を求められたとき
公正取引委員会のQ&Aによると、取引先が免税事業者に課税事業者になるよう要請すること自体は、独占禁止法上問題になるものではありません。ただし、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、それにも応じなければ取引を打ち切るなどと一方的に通告することは、独占禁止法や取適法(中小受託取引適正化法)上、問題になるおそれがあるとされています。
価格の見直しを求められたら、根拠の説明を求め、書面やメールで記録を残しておきます。報酬の交渉の進め方は報酬交渉の記事をご覧ください。個別の取引が問題に当たるかの判断は、公正取引委員会の相談窓口や専門家にご相談ください。
番号を伝えた後に生じる義務
登録している事業者は、取引先(課税事業者)から求められたら、適格請求書を交付し、その写しを保存する義務があります。請求書の記載事項は適格請求書の書き方の記事にまとめています。
登録をやめた場合は、公表サイトに登録の取消年月日が載ります。取りやめる場合は、取引先が控除の扱いを切り替えられるよう、時期を前もって伝えておくと、後からの問合せを減らせます。
よくある質問
公表サイトで自分の住所は公表されますか?
個人事業者の場合、住所は申出をしなければ公表されません。法定の公表事項は、氏名、登録番号、登録年月日などです。主たる屋号や事務所の所在地の公表を希望する場合に、申出書を出します。
取引先ごとに違う登録番号が付きますか?
付きません。登録番号は事業者ごとに1つで、どの取引先にも同じ番号を伝えます。個人事業者の番号は「T」と13桁の数字で、13桁にはマイナンバーを使わず、法人番号とも重ならない番号が割り当てられます。
免税事業者ですが、取引先の請求書の書式に登録番号欄があります。どう書けばよいですか?
空欄のままにするか、「登録なし」などと書いて、登録していないことが分かるようにします。番号らしい英数字を書くと、適格請求書と誤認されるおそれのある書類として禁止の対象になりえます。書式の扱いに迷う場合は、取引先の経理担当に確かめたうえで、税務署にもご確認ください。
参考にした公的情報・資料
- 登録番号とは(国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト)
- 登録番号に関する情報(国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト)
- インボイスQ&A 問4 登録申請から登録通知までの期間及び自らの登録番号の確認方法(国税庁)
- インボイスQ&A 問19 適格請求書発行事業者の情報の公表方法(国税庁)
- インボイスQ&A 問20 適格請求書発行事業者公表サイト(国税庁)
- インボイスQ&A 問21-2 公表サイトの検索結果とレシート表記が異なる場合(国税庁)
- インボイスQ&A 問26-2 免税事業者の交付する請求書等(国税庁)
- インボイスQ&A 問36 登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱い(国税庁)
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)
- 免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A(公正取引委員会)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。