子育てしながらフリーランスとして働く|案件選びと保育・年金・新法の制度
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
子育てをしながらフリーランスとして働くときは、稼働日数・時間帯・リモートの可否を先に決め、案件を選ぶ条件にすることが出発点です。決めた条件は、面談で伝えるだけでなく、契約や稼働の取り決めとして残しておくと、参画後の行き違いを防げます。
制度の面では、保育所の利用では自営業や業務委託の仕事も就労として扱われることが多いものの、必要な就労時間の基準や提出書類は市区町村によって違います。国民年金には出産前後と育児期の保険料の免除があり、フリーランス新法には発注側の配慮の決まりがあります。順番に整理します(2026年10月時点)。
案件選びは「時間の制約」を条件にする
子育て中は、保育の時間や送り迎え、子どもの急な体調不良など、自分では動かせない時間があります。案件を探す前に、次の4点を決めておくと、合わない案件に時間を使わずに済みます。
| 決めておくこと | 確かめたい点 |
|---|---|
| 稼働日数 | 週5日か、週3〜4日か。月の稼働時間の幅はどれくらいか |
| 時間帯 | 始業・終業の時刻、定例会議の時間帯、夕方以降の対応の有無 |
| 場所 | フルリモートか、出社の頻度はどれくらいか |
| 急な休みへの対応 | 当日の連絡方法、作業の引き継ぎ、休んだ時間の扱い |
週3日などの働き方は週3日の業務委託案件の記事、在宅中心の案件の探し方はフルリモート案件の記事で扱っています。
会議の時間帯は面談で確かめる
稼働日数やリモートの条件が合っていても、夕方の定例会議や、日中の決まった時間に出席が求められる打ち合わせがあると、保育の時間と重なることがあります。案件票には書かれていないことが多いため、面談で会議の時間帯と頻度を確かめておきます。
在宅で働く環境も整えておく
フルリモートの案件でも、オンライン会議の最中に子どもの声が入る、作業に集中できる時間が細切れになる、といったことが起こります。会議に出る部屋を決めておく、集中が必要な作業は保育の時間に寄せる、など、家の中での段取りを先に考えておくと、稼働の見通しを立てやすくなります。
また、業務用のPCを家族と共用にしない、画面や書類を家族が見られる場所に置かない、といった情報の扱いも、取引先から求められることがあります。環境づくりは自宅を仕事場にするときの記事で整理しています。
準委任と請負で「休んだとき」の影響が違う
業務委託の多くは、稼働した時間に応じて報酬が決まる準委任の形です。子どもの体調不良などで稼働が減ると、月の稼働時間の幅を下回り、報酬が差し引かれることがあります。精算の仕組みは精算幅の記事をご覧ください。
一方、成果物の完成に対して報酬が支払われる請負の形では、時間の融通は利きやすいものの、納期に間に合わせる責任を負います。どちらが合うかは、仕事の内容と家庭の状況で変わります。違いは準委任契約と請負契約の違いの記事で整理しています。
保育所の利用と就労の扱い
自営業・業務委託も「就労」に含まれる
保育所などを利用するには、市区町村から「保育の必要性」の認定を受けます。子ども・子育て支援法施行規則では、その事由の一つとして、1か月に48時間から64時間までの範囲で、市町村が定める時間以上労働することを常態とすることが挙げられています。条文は会社員に限っておらず、市区町村の案内でも、自営業や自宅での仕事を就労に含めている例が多く見られます。
ただし、何時間を基準にするか、自宅で働く場合をどう扱うか、どんな書類で就労を示すかは、市区町村によって違います。同じ時間働いていても、自治体によって認定の区分や利用の優先順位の付け方が変わることがあります。
就労を示す書類は自治体に確かめる
会社員は勤務先が就労証明書を書きますが、フリーランスの場合は、自分で記入する様式を使う自治体や、業務委託の契約書、確定申告書の写し、稼働の予定表などの追加書類を求める自治体があります。必要な書類と記入の仕方は、お住まいの市区町村の保育の担当窓口で確かめてください。
申込みの時期に契約書や稼働の実績がそろっていないと、書類の準備に時間がかかることがあります。独立の時期と保育の申込みの時期が近い場合は、早めに窓口に相談しておくと安心です。
案件が途切れたときの扱いも確かめる
施行規則では、求職活動(起業の準備を含む)を継続的に行っていることも、保育の必要性の事由の一つとして挙げられています。ただし、案件の切れ目が保育の認定にどう影響するか、どんな手続きが必要かは、市区町村の運用によって違います。案件が途切れたときの動き方は案件が途切れたときの記事で解説しています。
就労の要件を問わない通園の仕組み
こども家庭庁は、就労の要件を問わず、月に一定の時間までの利用枠の中で保育所などを使える「こども誰でも通園制度」を、2026年度から子ども・子育て支援法にもとづく給付として全国の自治体で実施するとしています。対象になる子どもの年齢や利用できる時間、受け付けている施設は、自治体の案内で確かめてください。
国民年金の保険料の免除
フリーランスとして国民年金の第1号被保険者になっている場合、出産と育児の時期に保険料が免除される仕組みがあります(2026年10月時点、日本年金機構の案内による)。
| 制度 | 対象と期間 | 届出 |
|---|---|---|
| 産前産後期間の免除 | 出産する第1号被保険者。出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠は6か月間) | 出産予定日の6か月前から届出でき、出産後も届け出られる |
| 育児期間の免除 | 1歳になるまでの子を養育する第1号被保険者の実父母・養父母。2026年10月から開始。所得の要件はない | 要件を満たした日以降、速やかに届け出る(届出が不要な場合もある) |
どちらも、免除された期間は保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。育児期間の免除は、父母がともに第1号被保険者であれば、それぞれが対象になります。届出は、住民登録をしている市区町村の国民年金の窓口や、マイナポータルなどで行えます。
会社員の育児休業給付は雇用保険の制度のため、雇用保険に入っていないフリーランスは対象になりません。国民健康保険の扱いなど、出産・育児の時期に使える制度は出産・育児で使える制度の記事で整理しています。
フリーランス新法の育児・介護への配慮
フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の第13条は、従業員を使う発注者に対して、育児や介護と両立しながら働けるよう、フリーランスからの申出に応じて必要な配慮をすることを定めています。政令で定める期間以上の継続的な業務委託では義務、それ以外の業務委託では努力義務です。
配慮の例としては、打ち合わせの時間帯の調整や、オンラインでの参加、納期の見直しなどが考えられます。申出の流れや、対象になる契約の期間は育児・介護とフリーランス新法の記事で詳しく解説しています。
配慮は、申し出ることで話し合いが始まる仕組みです。参画中に事情が変わったときは、困ってから伝えるより、見通しが分かった段階で、必要な調整を具体的に伝えるほうが進めやすくなります。
よくある質問
子育て中で週3日しか働けなくても、案件はありますか?
週3〜4日で参画できる案件もあります。ただし、週5日の案件より数は限られ、役割や業務の範囲が絞られていることが多い傾向があります。稼働日数に加えて、会議の時間帯や急な休みへの対応も条件として先に整理しておくと、合う案件を探しやすくなります。
保育所の申込みで、フリーランスの就労証明はどうすればよいですか?
様式や添付書類は市区町村によって違います。自分で記入する様式を使う自治体や、業務委託の契約書、確定申告書の写し、稼働の予定表などを求める自治体があります。お住まいの市区町村の保育の担当窓口で、必要な書類を確かめてください。
出産の前後に案件を休むことはできますか?
会社員の産前産後休業のような制度はないため、契約の期間や更新の時期を調整して、休む期間を作ることになります。参画中の場合は、契約の終わり方や再開の見通しを早めに発注側と話し合います。長く休むときの案件の調整は長期休暇を取りたいときの記事をご覧ください。
参考にした公的情報・資料
- 子ども・子育て支援法施行規則(e-Gov法令検索)
- こども誰でも通園制度について(こども家庭庁)
- 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度(日本年金機構)
- 国民年金保険料の育児免除制度(日本年金機構)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。