エージェントベストジョブ フリーランスフリーランスのエンジニア・コンサル向け案件紹介

トップ › お役立ち記事 › フリーランス新法・下請法

フリーランス新法・下請法

育児・介護とフリーランス新法の配慮義務|対象になる契約と申出のしかた

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

フリーランス新法(第13条)では、従業員を使う発注者に対し、フリーランスから申出があったときは、妊娠・出産・育児・介護と仕事を両立できるよう、状況に応じた必要な配慮をするよう求めています。6か月以上の業務委託(更新で6か月以上になるものを含む)では義務、それより短い業務委託では努力義務です。

配慮は「申出に応じて」行うものなので、フリーランスの側から事情と希望を伝えることが出発点になります。2026年10月時点の法律と厚生労働省の指針(2026年2月26日改正)をもとに、対象になる契約、発注者がすべきこと、申出の準備を整理します。

配慮義務がかかる発注者と契約

義務を負うのは従業員を使う発注者

第13条の配慮を求められるのは、特定業務委託事業者です。従業員を使用する個人や、役員が2人以上いるか従業員を使用する法人がこれにあたります。従業員のいないフリーランス同士の取引には、この条文はかかりません。発注者の区分はフリーランス新法の要点で整理しています。

6か月以上なら義務、それ未満は努力義務

業務委託の期間発注者に求められること
6か月以上(更新で通算6か月以上になるものを含む)=継続的業務委託申出に応じて必要な配慮をしなければならない(第13条第1項)
6か月未満必要な配慮をするよう努めなければならない(第13条第2項)

指針では、期間の数え方を次のように示しています。

たとえば3か月契約を1回更新して半年続く見込みになった時点で、義務の対象に入ります。契約期間の決め方は契約期間の記事も参考になります。

対象になる「育児」「介護」の範囲

指針では、育児と介護を次のように定めています。

妊娠・出産も対象です。また、いま育児や介護をしていなくても、具体的な予定がある人は申出ができるとされています。出産予定や親の介護の開始が見えている段階で相談してよい、ということです。

一人社長の法人で受けている場合は、その代表者の育児介護等が配慮の対象になります。

発注者がしなければならない4つのこと

申出を受けた発注者がすべきことは、指針で4つの段階に分けて示されています。

  1. 申出の内容を把握する:話し合いなどを通じて、求める配慮の中身と育児介護等の状況をつかむ。プライバシーに関わる情報は共有範囲を必要最低限にする
  2. 選択肢を検討する:希望どおりの対応、またはそれを踏まえた別の対応ができるかを十分に検討する
  3. 伝えて実施する:配慮の内容が決まったら速やかに伝え、実施する
  4. できない場合は理由を説明する:業務の性質や体制から難しい、契約の目的が達成できなくなるなどの理由で配慮できないときは、その旨を伝え、理由をわかりやすく説明する。必要に応じて書面やメールで説明することも含まれる

希望と違う方法でも、フリーランスの意向を十分に尊重したうえで、発注者が対応しやすい方法で配慮することは差し支えないとされています。つまり、希望がそのまま通るとは限りませんが、「検討せずに断る」「理由を言わずに断る」は指針の求める対応ではありません。

指針に挙がっている配慮の例

申出の内容配慮の例
妊婦健診の日に打合せを調整してほしい時間を調整して打合せに参加できるようにする
妊娠に伴う症状で急に対応できなくなる場合を相談したいそうなったときの対応をあらかじめ取り決める
出産で一時的に遠方に住むので、納品を手渡しから郵送にしたい納入方法を変更する
子の急病で作業時間が確保できず、納期を少し延ばせないか納期を変更する
介護のため特定の曜日はオンラインで働きたい一部の業務をオンラインに切り替えられるよう調整する

これらは例示で、実際の対応は個別に検討するものとされています。

客先常駐なら元の発注者との調整も含まれる

仲介会社などから再委託を受け、元の発注者(元委託事業者)の事業所で働いている場合、指針では、申出の内容について元委託事業者に調整を依頼することも配慮に含まれるとしています。契約の相手が仲介会社なら、まず仲介会社に申し出るのが筋です。

申出や配慮を理由にした不利益な扱い

指針が「望ましくない」としている行為

指針は、次の2つを望ましくない取扱いとしています。

不利益な扱いにあたる例・あたらない例

あたると認められる例あたらないと認められる例
介護で特定の曜日が難しくなったが、別の曜日なら業務ができ契約目的も達成できるのに、申出を理由に契約を解除する体調の変化でイベント出演ができず、日程変更も難しく当初の契約目的が達成できないことがはっきりしたため、話し合いのうえで解除する
出産の配慮を受けたことを理由に、実際に提供しなかった業務量を超えて報酬を減らす育児で短い時間で働くことになり、減った業務量に相当する分の報酬を減らす
配慮を受けたことで、発注者の従業員が繰り返し嫌がらせの言動をする話し合いの結果、従来の数量を納められないと分かり、その分の発注量を減らす

ポイントは、稼働や業務量が減った分に見合う報酬の調整は直ちに問題とはされない一方、それを超える減額や、申出そのものを理由にした打ち切りは不利益な扱いにあたり得ることです。指針は、これらの例も限定列挙ではないとしています。

報酬を期日に払わない、理由なく減らすといった行為は、不利益な扱いにあたる場合があるほか、支払期日(第4条)や禁止行為(第5条)の違反になり得ることにも触れています。禁止行為については7つの禁止行為の記事をご覧ください。

申出の前に準備しておくこと

配慮は話し合いで中身が決まるため、発注者が検討しやすい材料を持っていくと話が進みやすくなります。

  1. いつから・いつまで:出産予定日、育児休業にあたる期間、介護が始まる時期など、見通しの範囲で伝える
  2. 何が難しくなるか:「火曜と木曜の午後は対応できない」「月に数日、急な休みが出る可能性がある」など具体的に
  3. 代わりにできること:オンライン対応、作業時間帯の変更、納期の調整、引き継ぎ資料の準備など
  4. 報酬への影響の考え方:稼働を減らすなら、時間単価で精算するのか、月額を見直すのかの案

指針では、プライバシーに属する情報の共有範囲を必要最低限にするよう発注者に求めています。家族の病状など、配慮の検討に必要のない詳細まで伝える必要はありません。

困ったときの相談先

第13条を含む就業環境の整備の章に違反する事実があるときは、厚生労働大臣に申し出て、適当な措置を求めることができます(第17条)。申出をしたことを理由とする不利益な扱いも禁じられています。なお、第18条の勧告の対象として挙げられているのは第12条・第14条・第16条などで、第13条は含まれていません。第13条については、指導・助言(第22条)などで対応されることになります。

申出や相談の窓口の選び方は取引トラブルの相談先の記事にまとめています。個別の事情が配慮義務の対象になるか迷うときは、弁護士や相談窓口にご確認ください。

よくある質問

3か月契約でも配慮を申し出てよいですか?

申し出ることはできます。6か月未満の業務委託でも、従業員を使う発注者には配慮の努力義務があります。また、更新で通算6か月以上になる見込みがあれば、継続的業務委託として配慮の義務の対象になります。

配慮を申し出たら、報酬を減らされても仕方ないのですか?

稼働時間や業務量が減った分に相当する報酬の調整は、指針でも不利益な扱いにあたらない例とされています。一方、実際に提供しなかった業務量を超えて報酬を減らすことは、不利益な扱いにあたると認められる例です。調整後の報酬の計算方法は、記録に残る形で取り決めておきましょう。

まだ妊娠中ではなく、出産の予定が決まった段階でも申し出られますか?

指針では、現に育児介護等をしていなくても、具体的な予定がある人は申出ができるとしています。予定が見えた段階で伝えておくと、発注者も体制の検討を早めに始められます。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

条件に合う案件だけ、知りたい方へ

ご登録は無料です。条件に合う案件だけを、ご本人の了承を得てからご提案します。