VBA・Excelマクロ開発者を目指すには|他の職種からのキャリアチェンジ
公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト
VBA・Excelマクロ開発者を目指すルートは、業務部門で自分の作業を自動化してきた人、社内SE・情報システム部門、ほかの言語の開発者、RPAやPower Platformの担当者など、いくつもあります。どこから来ても、フリーランスの案件で問われるのは他人が作ったマクロを読み解いて直し、他人が使える形で引き渡せるかです。
出発点によって、すでに持っている強みと足りない部分は違います。この記事では、出発点ごとに生かせる経験と足りない部分、埋める順番、面談で確かめられやすいことを整理します。独立の手順そのものはVBA・Excelマクロ開発者がフリーランスになるにはで扱っているので、ここでは「どこから、何を足して目指すか」に絞ります。
VBA開発者の案件で求められることを先に押さえる
フリーランスのVBA開発者に求められることは、大きく次の4つです。
| 求められること | 中身 |
|---|---|
| 読み解いて直す力 | 作った人がいないマクロやAccessのデータベースを読み、壊さずに直す |
| 業務を聞き取る力 | 手作業の流れと例外を担当者から聞き、仕様に落とす |
| 今の環境で動かす力 | 64ビット版のOffice、マクロのブロック、利用者ごとの環境の違いに対応する |
| 引き渡す力 | 仕様・操作手順・直した記録を残し、作った人がいなくても使える形にする |
新しいマクロを書けることは出発点にすぎません。案件の多くは改修や引き継ぎで、他人のコードと業務の両方を相手にする仕事だと考えておくと、何を足せばよいかが見えやすくなります。必要な技術の全体像はVBA・Excelマクロ開発者に必要なスキルで整理しています。
出発点ごとの生かせる経験と足りない部分
業務部門で自分の作業を自動化してきた人
経理、営業事務、購買、人事などで、自分や部署の作業をマクロにしてきた人は、もっとも多い出発点です。
- 生かせる経験:業務の流れと例外を知っている。利用者の困りごとが分かる。業務の言葉で話せる
- 足りない部分:他人が書いたコードを読む経験、エラー処理や設定の外出しなど壊れにくい作り方、仕様書や手順書を書く経験、他部署や他社の業務を聞き取る経験
自分用のツールは、自分が使い方を知っているため、壊れにくさや説明が後回しになりがちです。まずは部署の外の人に使ってもらうツールを一つ作り、手順書を付けて引き渡す経験を積むことをおすすめします。
社内SE・情報システム部門から目指す人
社内のPCやOfficeの管理、業務システムの運用を担ってきた人です。
- 生かせる経験:Officeの版の管理、ファイルサーバーや権限の仕組み、社内の決まりに沿った配布の考え方、各部署との調整
- 足りない部分:まとまった量のコードを書いて直す経験、Accessやデータベースとの連携の実装
マクロのブロックや信頼できる場所など、配布とセキュリティの仕組みに詳しいことは、VBAの案件で強みになります。社内で使われているマクロの棚卸しや改修を自分で担う機会を作ると、実装の経験を補えます。社内SEとしてのキャリアは社内SE・情報システムのキャリアチェンジも参考になります。
ほかの言語の開発者から目指す人
Java、C#、Pythonなどで業務システムを作ってきた人です。
- 生かせる経験:設計、テスト、バージョン管理、コードの読み解き。エラー処理や構造の整理
- 足りない部分:Excelの仕組み(ブック・シート・セル範囲、イベント、計算の挙動)、Officeの版や32ビット版・64ビット版の違い、利用者が業務部門の担当者であることを前提にした説明
言語としてのVBAはすぐに書けても、Excelのオブジェクトの扱いや、利用者が自分で開いて操作する前提の作りに慣れるには時間がかかります。速さや保守のしやすさを重んじるあまり、利用者が読めない作りにしないことも大切です。
RPAやPower Platformの担当者から目指す人
RPAのロボットや、Power AutomateやPower Appsで業務を自動化してきた人です。
- 生かせる経験:業務の自動化の要件定義、処理の流れの設計、例外の洗い出し、利用部門との合意
- 足りない部分:コードとしてのVBAの読み書き、Excel・Accessの内部の処理
自動化の手段を比べられることは、「この処理はVBAで残すべきか」を問われる場面で強みになります。隣の職種の動きはRPAエンジニアのキャリアチェンジやPower Platformエンジニアのキャリアチェンジで扱っています。
足りない部分を埋めるときの順番
出発点が違っても、次の順で埋めると効率がよくなります。
- 他人のコードを読んで直す:社内に残っている古いマクロを一つ選び、処理の流れを書き出してから直してみる
- 壊れにくく作る:エラー処理、シート名やファイルの場所の設定を外に出す作り、処理の途中経過の記録を身につける
- 今の環境で動かす:64ビット版のOfficeで動くかを確かめる。Microsoft Learnでは、Office 2019とMicrosoft 365から64ビット版が既定になり、Windows APIを呼ぶDeclare文にはPtrSafeが必要と説明されています(2026年10月時点)
- 配り方を知る:インターネットから取得したファイルのマクロが既定でブロックされる仕組みと、信頼できる場所やデジタル署名で扱う方法を理解する(Microsoft Learn、2026年10月時点)
- 書き残す:仕様、操作手順、直した記録を、作った人がいなくても分かる形で書く
- 隣に一歩広げる:AccessとのデータのやりとりやSQL、Office スクリプトやPower Automateとの使い分けに触れる
1と5を飛ばして実装の技術だけを増やすと、案件で求められる「引き継げる形で納める」経験が育ちにくくなります。
面談で確かめられやすいこと
他の職種から来た人の面談では、次の点がよく確かめられます。
- 他人のマクロを直した経験:どんな状態のツールを、どう読み解き、何を直したか
- 業務の聞き取り:利用者の手作業の流れと例外を、どう聞き出して仕様にしたか
- 環境の違いへの対応:利用者の端末で動かなかったとき、何を確かめて直したか
- 引き渡しの形:手順書や仕様書を、誰に向けてどこまで書いたか
- VBAで作らない判断:ほかの手段のほうが向いていると考えた場面があるか
経験の伝え方はVBA・Excelマクロ開発者のスキルシートで、架空の例とともに整理しています。
年代によって選びやすいルート
20代・30代前半は、会社員のうちに社内のマクロの改修や引き継ぎを任せてもらい、他人のコードを読む経験を重ねる時期です。ほかの言語の開発に携わりながらVBAの案件にも関わり、両方を持っておくと、後で選べる道が広がります。
30代後半から40代は、業務部門や社内SEとして培った業務の知識と調整の経験が強みになります。特定の業務(経理の締め、受発注、在庫など)のツールに強いことを打ち出すと、案件側も任せる姿を思い描きやすくなります。
50代は、長く使われてきたツールの背景を知っていることが、古いツールの読み解きや棚卸しで生きます。一方で、今の版での動作や配布の決まりに合わせられるかは見られやすいため、直近の環境での経験を一つ作っておくことをおすすめします。年代ごとの考え方はVBA・Excelマクロ開発者は40代・50代でも働ける?で整理しています。
よくある質問
IT業界での経験がなくてもVBA開発者を目指せますか?
業務部門で自分や部署の作業をマクロにしてきた経験があれば、目指す道はあります。ただ、フリーランスの案件では他人が使う前提の作りや引き渡しが求められるため、会社員のうちに部署の外の人に使ってもらうツールを作り、手順書を付けて引き渡す経験を積むことをおすすめします。未経験からの考え方は未経験からフリーランスエンジニアになれるかも参考になります。
資格を取ってから目指したほうがよいですか?
資格がなくても案件に入ることはでき、評価の中心は直した経験と引き渡しの形です。Excelの機能やVBAの文法を体系的に確かめる目的で資格を使うのはよい方法ですが、取得そのものより、業務のファイルで何をしたかを話せるようにしておくほうが、面談では伝わりやすくなります。
VBAから始めて、ほかの職種に広げることはできますか?
広げやすい方向はいくつかあります。Accessやデータベースの経験を深めてデータの扱いへ、Office スクリプトやPower Automateへ、業務の自動化全体の設計へ、といった道です。広げ方はVBA・Excelマクロ開発者の将来性で整理しています。
参考にした公的情報・資料
- 64 ビット Visual Basic for Applications の概要(Microsoft Learn)
- インターネットからのマクロは、Office で既定でブロックされます(Microsoft Learn)
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