RPAエンジニアを目指すには|他の職種からのキャリアチェンジ
公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト
他の職種からRPAエンジニアを目指すことはできます。出発点として多いのは、事務・経理などの業務部門、VBAやマクロの作り手、システム開発者、情報システム部門、業務改善の担当です。どこから来ても、最後に問われるのは「業務を聞き取って自動化の範囲を決め、止まっても戻せるロボットを本番で動かし、ほかの人に引き継いだ経験」があるかどうかです。
この記事では、出発点ごとに生かせる経験と足りない部分、埋める順番、面談で確かめられやすいこと、年代によるルートの違いを整理します。すでにRPAの実務があり、独立の準備を進めたい方はRPAエンジニアがフリーランスになるにはをご覧ください。
RPAエンジニアに求められることを先に押さえる
出発点ごとの話の前に、RPAの案件で求められる力を4つに分けておきます。自分に足りないものがどれかを見るための物差しになります。
| 力 | 中身 | 案件で見られる場面 |
|---|---|---|
| 業務を読む力 | 担当者から手順を聞き取り、判断の分かれ目と例外を見つける | 対象選び、要件の整理 |
| シナリオを組む力 | 繰り返し・条件分岐・変数を使い、部品に分けて読みやすく作る | 開発 |
| 止まっても戻せる設計 | 想定外のときに止める・飛ばす作り、ログ、手作業に戻す手順 | 本番化、保守 |
| 管理と引き継ぎ | 台帳、命名や版のルール、文書を残す | 運用、契約の終わり |
総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(令和7年7月)は、RPAのシナリオ作成はプログラミングより取り組みやすいとされる一方で、繰り返しや条件分岐、変数の扱いなど基礎的な素養が必要になることが多く、基本的な研修を受けただけでは実用的な技術の習得が難しいこともあると述べています。画面で部品を並べられることと、業務で使い続けられるロボットを作れることの間には差がある、と考えておくのが現実的です。必要な力の詳細はRPAエンジニアのスキルの記事で整理しています。
出発点ごとの生かせる経験と足りない部分
| 出発点 | 生かせる経験 | 足りないことが多い部分 |
|---|---|---|
| 事務・経理などの業務部門 | 業務の流れ、現場の困りごと、帳票やシステムの使い方 | シナリオの設計の基礎、例外処理、文書化 |
| VBA・マクロの作り手 | 処理の組み立て、表計算ソフトのデータ操作 | 複数のシステムをまたぐ操作、運用の管理、引き継ぎ |
| システム開発者 | 例外処理、部品化、テストと版の管理 | 業務の担当者との対話、自動化しない判断 |
| 情報システム部門 | アカウント・権限・端末の管理、セキュリティのルール | 自分でシナリオを作り本番に出した経験 |
| 業務改善の担当 | 業務の棚卸し、効果の見積もり、部署をまたいだ調整 | 自分で手を動かす開発の経験 |
事務・経理などの業務部門から目指す
自分たちの業務の流れと、どこで人が判断しているかが分かることが最大の強みです。RPAの案件では、手順書に書かれていない判断を聞き出す力が問われるため、業務側の言葉が分かる人は話が早くなります。
足りないのは、シナリオを組み立てる基礎と、想定外のときの動きを決める設計です。まずは自部署の小さな定型作業を一つ自動化し、例外のときに止まる作り、ログ、手作業に戻す手順まで含めて完成させるところを目標にします。社内で自動化の担当を任される機会があれば、他部署の業務を一つ扱っておくと、初めての業務を理解する経験になります。
VBA・マクロの作り手から目指す
処理を順に組み立てる考え方と、表計算ソフトのデータを扱う力は、そのままシナリオ作成に生きます。ガイドブックは、マクロは作成と管理が属人的になりがちで、人事異動の際に正しく引き継がれないと業務の中身がブラックボックスになることがあると指摘しています。RPAでも同じ問題が起きるため、自分しか分からない作り方から、引き継げる作り方に変えることが、足りない部分を埋める中心になります。
あわせて、表計算ソフトの外にある業務システムやWebの画面を操作する経験を積むと、マクロだけでは難しかった範囲を扱えるようになります。マクロ開発の側の広げ方はVBA・Excelマクロ開発者を目指すにはでも扱っています。
システム開発者から目指す
例外処理、部品化、テスト、版の管理の習慣がある人は、止まりにくいシナリオを自然に設計できます。足りないことが多いのは、業務の担当者と話して「どこまで自動化し、どこを人の判断に残すか」を決める経験です。
開発者は、画面を操作するより、データを直接受け渡したほうが安定する場面を見抜けるのも強みです。一方で、何でもプログラムで解こうとすると、発注側の社内で保守できなくなることがあります。誰が保守するかを踏まえて手段を選ぶ視点を持つと、RPAの案件で評価されやすくなります。Pythonの側から自動化に関わる道はPythonエンジニアを目指すにはも参考になります。
情報システム部門から目指す
ロボット用のアカウント、権限、端末、認証情報の管理に慣れている人は、全社の管理の仕組みづくりの工程で力を発揮しやすい立場です。ガイドブックも、管理台帳や運用のルールを定めて、担当者任せの管理から全体の把握に移ることを求めています。
足りないのは、自分でシナリオを作り、本番に出して保守した経験です。小さな業務でも、聞き取りから開発、本番化、引き継ぎまで一通り担っておくと、開発と管理の両方の話ができるようになります。
業務改善の担当から目指す
業務の棚卸しや効果の見積もり、部署をまたいだ調整の経験は、対象選びの工程でそのまま生きます。ガイドブックは、棚卸しはRPAの導入ありきで行う必要はなく、AIの活用や外部への委託など、RPA以外の改善も含めて考えることを示しています。この視点を持っている人は、自動化しない判断も含めて提案できます。
足りないのは、自分で手を動かす開発の経験です。対象選びだけを担う案件は限られるため、少なくとも小さなロボットを作って本番で動かした経験を持っておくと、案件の幅が広がります。
足りない部分を埋めるときの順番
どの出発点でも、次の順で埋めると無駄が少なくなります。
- 小さな業務を一つ、最後まで作る:対象を絞り、聞き取りから本番化までを一通り経験する。本数より「最後まで」を優先する
- 想定外のときの動きを決める:入力が想定と違う、操作先のシステムが遅い・止まっている、といった場面で止める・飛ばす作りにし、ログを残す
- 引き継げる形にする:命名と部品の分け方をそろえ、仕様と操作方法、手作業に戻す手順を文書にする
- 他人の業務を扱う:自分の部署以外の業務を聞き取って自動化し、初めての業務を理解する経験を積む
- 周辺の手段を一つ持つ:マクロやスクリプト、システムの連携の機能など、画面操作に頼らない方法を一つ扱えるようにする
業務で使う製品とは別に、個人で学ぶ場合は、製品ごとに学習用の版や教材の用意の仕方が違うため、公式サイトで個人が使える範囲と利用の条件を確かめてから始めてください。業務で作ったシナリオや業務のデータを、個人の環境に持ち出すことは避けます。
面談で確かめられやすいこと
キャリアチェンジでRPAの案件に入るとき、面談では次の点がよく確かめられます。答え方の考え方はRPAエンジニアの面談の記事で整理しています。
- 本番で動いたロボットはあるか。止まったとき、どう調べてどう戻したか
- 業務の担当者が手順をうまく説明できなかったとき、どう聞き出したか
- 自動化しないと判断した業務はあるか。その理由は何か
- 作ったロボットを、誰にどう引き継いだか
- 前の職種の経験が、RPAのどの工程で生きるか
社内で作ったロボットの経験も、守秘義務に触れない形に直せばスキルシートに書けます。書き方はRPAエンジニアのスキルシートの記事をご覧ください。
年代によって選びやすいルート
20代から30代前半は、開発の工程から入り、シナリオを作る量を積むルートが選びやすい年代です。社内で自動化の担当に手を挙げる、RPAの開発を受けている部署に移る、といった形で、まず本番化と保守の経験を作ります。
30代後半から40代は、前の職種の経験を軸にするルートが現実的です。業務部門の出身なら対象選びと開発、情報システム部門の出身なら管理の仕組みづくりと開発、というように、強みの工程と開発を組み合わせると、即戦力として見てもらいやすくなります。
50代からは、業務と組織を見てきた経験を生かし、対象選びや管理の仕組みづくり、内製化の支援を中心に据えるルートが考えられます。その場合も、自分でシナリオを読んで直せることは求められやすいため、手を動かす経験は保っておくことをおすすめします。年代ごとに期待される役割はRPAエンジニアは40代・50代でも働けるかで扱っています。
よくある質問
IT業界での経験がなくてもRPAエンジニアを目指せますか?
業務部門で定型作業の多い仕事をしてきた人は、業務を読む力を生かして目指せます。ただ、繰り返しや条件分岐、変数の扱いといった基礎と、想定外のときに止まる作りは身につける必要があります。まずは社内で小さな業務の自動化を担い、本番で動かすところまで経験してから、フリーランスの案件を考えるのがおすすめです。
RPAを目指すなら、先に資格を取ったほうがよいですか?
資格がなくても入れる案件は多くあります。製品の公式の認定やITの基礎の資格は、知識の範囲を伝える材料にはなりますが、面談では本番で動いたロボットの経験が重く見られます。資格の位置付けはRPAエンジニアに資格は必要かで整理しています。
RPAとPower Platformなどのローコードのどちらを目指すか迷っています。
業務の自動化という点では重なる部分が多く、どちらか一方に決める必要はありません。発注側が使っている製品や、操作先のシステムの種類によって合う手段が変わるためです。違いを知りたい場合はPower Platformエンジニアを目指すにはもあわせてご覧ください。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。