転職活動と案件探しを並行するときの注意点|返事の期限と約束の守り方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
転職活動と案件探しは並行して進められます。大切なのは、どちらに決まっても、すでにした約束を守れる順番で進めることです。そのために、優先する条件を先に決め、返事の期限を見比べ、正社員の内定承諾と案件の参画合意を同時にしないことが要点になります。
並行する理由は人によって違います。正社員に戻るか迷っている、収入の空白を作りたくない、両方を比べてから決めたい、などです。この記事では、進め方の違いと、つまずきやすい場面の対応を整理します。正社員に戻るときの評価のされ方は正社員に戻る記事で解説しています。
並行する前に、優先する条件を決めておく
両方から良い返事が来てから考え始めると、返事の期限に追われて決めることになります。並行を始める前に、次のことを書き出しておきます。
- 何を一番大事にするか:収入の安定、仕事の内容、働く場所や時間、長く同じ組織にいること
- どちらに決まれば、もう一方をやめるか:例として「希望の職種で内定が出たら、案件探しは止める」
- いつまでに決めるか:手元の資金で待てる期間から、決める期限を置く
基準が決まっていると、返事を迫られたときに迷う時間が短くなります。働き方の向き不向きはフリーランスと正社員の比べ方の記事、収入の比べ方は年収と単価の比べ方の記事を参考にしてください。
正社員の選考と案件の選考は、進み方が違う
並行するときに困りやすいのは、二つの選考の進み方の違いです。
| 項目 | 正社員の選考 | 業務委託の案件の選考 |
|---|---|---|
| 選考の回数 | 書類と複数回の面接が多い | 面談の回数は少なめのことが多い |
| 決まるまでの期間 | 比較的長くかかる | 短く決まることがある |
| 返事を求められる時期 | 内定から一定の期限を置くことが多い | 面談の通過後、早めに求められることが多い |
| 開始の時期 | 入社日は退職や引継ぎを見込んで決める | 開始日が近い募集が多い |
案件の選考は短く進むことがあるため、正社員の選考の途中で案件の参画が決まる、という順番になりやすくなります。この違いを知らずに進めると、「案件に参画した直後に本命の内定が出た」という状況が起きます。
窓口に何を伝えるか
案件紹介サービスの担当者に
転職活動もしていることを、担当者に伝えておくほうが進めやすくなります。伝えないまま参画すると、短期間で終えることになったときに、担当者も発注側も想定していなかった調整が必要になります。伝えるときは、次のように具体的にします。
正社員の転職も並行して考えています。選考中の企業が1社あり、◯月中に結果が出る見込みです。それまでは、開始日が◯月以降の案件を中心にご紹介いただけると助かります。
転職先の面接で
面接で今の働き方や今後を聞かれたら、案件探しを並行していることを隠す必要はありません。ただし、「正社員でなくてもよい」と受け取られると、入社の意思を疑われることがあります。正社員を選ぶ理由と、並行している事情を分けて話します。
日程と準備を詰め込みすぎない
並行すると、面接と面談の数が増え、それぞれの準備も別々に必要になります。正社員の面接では志望の理由や長く働く考えを、案件の面談では直近の業務ですぐ担えることを聞かれやすく、話す内容の重心が違います。
- 同じ日に面接と面談を重ねるのは、できるだけ避ける
- 予定表に、どちらの選考か、どの書類を出したかを書いておく
- 今の仕事がある場合は、その稼働を削ってまで日程を入れない
数をこなすことより、一つずつの準備を落とさないほうが、結果として早く決まりやすくなります。面談の答え方はよく聞かれる質問の記事を参考にしてください。
返事の期限が重なったとき
「承諾」は二つ同時にしない
正社員の内定を承諾することも、案件への参画に合意することも、どちらも相手との約束です。民法では、契約は申込みに対する承諾で成立し、法令に特別の定めがある場合を除いて書面などの方式は必要ないとされています(民法第522条、2026年10月時点でe-Gov法令検索にて確認)。書面にする前でも、承諾の返事をした時点で約束が成立していると見られる場合があります。
両方に承諾してからどちらかを断ると、断られた側では採用や参画の準備がやり直しになります。どう扱われるかは個別の事情によりますが、相手との関係は損なわれやすくなります。
期限をそろえる相談をする
返事の期限がずれているときは、期限を延ばしてもらえないか、早めに結果を出してもらえないかを相談します。
- 案件側には「別の選考の結果が◯日に出るため、◯日まで返事を待っていただけないか」と伝える
- 転職先には、選考の進み具合を聞き、結果が出る時期を確かめる
延長が難しい場合は、事前に決めた優先順位で判断します。返事を引き延ばすために、どちらかに「前向きです」とだけ伝え続けるのは避けます。迷っている理由と、返事ができる日を伝えるほうが、相手も予定を立てられます。複数の選考が重なったときの進め方は複数の面談の記事、辞退の伝え方は辞退の記事で解説しています。
参画したあとに内定が出たとき
案件に参画してから内定が出た場合は、入社日と今の案件の契約期間を見比べます。
- 今の案件の契約期間がいつ満了するかを確かめる
- 入社日を満了日のあとにできないか、転職先に相談する
- 難しい場合は、途中で終えることについて案件の窓口に相談する
入社日を満了日に合わせられれば、今の案件は「更新しない」で終えられます。途中で終える場合は、契約書の解約条項によって扱いが変わります。終えるときの伝え方と時期は案件を自分から終える記事、途中解約の仕組みは中途解約の記事をご覧ください。
入社後も業務委託を続けたいとき
正社員として入社したあとも、業務委託の仕事を少し続けたいと考える人もいます。その場合は、入社前に転職先の就業規則で副業・兼業がどう扱われているかを確かめます。
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、モデル就業規則でも副業・兼業についての規定を設けています(厚生労働省「副業・兼業」のページで2026年10月時点で確認)。ただし、実際に認められるか、届出が必要かは、会社ごとの就業規則によります。内定の段階で、人事の窓口に確かめておくと、入社後に慌てずに済みます。
続ける場合は、稼働の時間や業務委託側との取り決めも見直す必要があります。両立のしかたは正社員と業務委託の掛け持ちの記事で整理しています。
書類は目的ごとに分けて作る
並行していると、案件用のスキルシートと、転職用の職務経歴書を両方用意することになります。二つは読み手が違います。
- スキルシート:案件ごとの役割、担当工程、使った技術を、すぐ任せられるかの判断材料として並べる
- 職務経歴書:フリーランスの期間も含めて、経歴の流れと、組織でどう貢献してきたかを伝える
書き方は違っても、期間や役割などの事実は、両方で食い違わないようにします。フリーランス期間の書き方は職務経歴書の記事をご覧ください。
よくある質問
転職活動をしていることを、案件の面談で話すべきですか?
面談で聞かれた場合は、事実を隠さずに伝えるほうが、あとで行き違いが起きにくくなります。ただ、面談の場で詳しく話すより、先に担当者へ伝え、どう扱うかを相談しておくほうが進めやすくなります。
短期の案件なら、転職活動の合間に受けてもよいですか?
受けることはできます。ただし、短期の予定でも延長を打診されることがあり、そのときに断る理由をあらかじめ伝えておくと話がこじれません。開始日と終了日がはっきりしているかを、合意の前に確かめます。
内定を承諾したあとで、案件のほうを選びたくなりました。
まず、内定先に早く正直に相談してください。承諾のあとでも事情が変わることはありますが、連絡が遅れるほど相手の負担は大きくなります。どう扱われるかは事情によるため、不安があれば専門家に相談してください。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。