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法人口座の開設|準備する書類と、審査で確かめられること

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

法人口座は、会社の設立登記が終わり、登記事項証明書が取れるようになってから申し込みます。金融機関は、犯罪収益移転防止法にもとづいて、会社の名称と本店所在地、取引の目的、事業の内容、実質的支配者、手続きをする人の本人確認を行います。

書類をそろえても、事業の実態が伝わらないと開設まで時間がかかったり、確認のための追加資料を求められたりします。フリーランスが一人で会社を作った場合に準備しておきたいものと、つまずきやすい点を整理します(2026年10月時点)。

法人口座を作るタイミング

法人口座は、設立登記が完了してから申し込むのが基本です。会社の名称と本店の所在地は、登記事項証明書で確認されるためです。

設立の手続きと口座の関係は、次の順になります。

段階口座の扱い
設立登記の前出資金は、発起人(自分)の個人口座に払い込む
設立登記の申請登記事項証明書は完了後に取れる
登記の完了後登記事項証明書・会社の印鑑証明書を取って、法人口座を申し込む
口座の開設後取引先に振込先の変更を届け出る。社会保険料や税金の口座振替を登録する

設立登記の手順と期限は法人設立の流れの記事で解説しています。登記の完了から口座ができるまでの間にも、年金事務所や税務署への届出は進めておけます。

確かめられる項目と書類

犯罪収益移転防止法で確認される事項

警察庁(JAFIC)の「犯罪収益移転防止法の概要」と全国銀行協会のQ&Aをもとに、法人が口座を開くときに確認される事項を整理すると、次のようになります。

確認される事項主な確認方法
法人の名称と本店の所在地登記事項証明書、印鑑登録証明書など
取引を行う目的申告(口頭やチェックリスト)
事業の内容登記事項証明書、定款などの書類
実質的支配者申告(氏名・住居・生年月日)
手続きをする人(代表者など)本人確認書類。代表者以外が手続きするときは、代理する権限を示す書類

全国銀行協会は、窓口での確認には本人確認書類の原本の提示が必要で、コピーは使えないとしています。また、公的な証明書がない場合は取引ができないことがあるとしています。

準備しておくもの

実際に申し込むときは、上の確認事項に合わせて次のものを用意します。金融機関によって、必要な書類の種類や「発行から何か月以内」といった条件が違うため、申し込む先の案内で必ずご確認ください。

  1. 登記事項証明書(履歴事項全部証明書など):名称・本店・事業の目的・代表者が分かる
  2. 会社の印鑑証明書:会社の名称と本店の確認に使われる
  3. 定款の写し:事業の内容を確かめるために使われることがある
  4. 代表者の本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証など
  5. 会社の実印と、口座用の届出印
  6. 事業の実態が分かる資料:取引先との契約書、事業のWebサイト、事務所の賃貸借契約書など(求められた場合)

実質的支配者とは誰か

実質的支配者は、会社の事業経営を実質的に支配できる立場にある個人のことです。警察庁の資料では、株式会社なら議決権を持つ割合をもとに判断し、自然人までさかのぼって確認します。

一人で会社を作ったフリーランスの場合は、ほとんどが自分自身です。警察庁の資料にも、新しく設立した株式会社の口座開設を代表者自身が行い、その代表者が単独で議決権の50%超を持っている場合は、その代表者だけが実質的支配者になるという例が載っています。

合同会社は、議決権の割合で決める株式会社とは判断の基準が違います。社員が自分一人なら、自分が実質的支配者になるのが一般的な考え方ですが、出資者が複数いる場合などは、申し込む金融機関に確かめてください。

実質的支配者リストを使う方法(株式会社のみ)

法務省は、株式会社の申出により、登記所が実質的支配者の情報を記載した一覧(実質的支配者リスト)を保管し、認証文付きの写しを交付する制度を設けています。

交付された写しは、銀行などに提出して使えます。警察庁の資料でも、株式会社の実質的支配者の確認の方法として、株主名簿の写しを添付して作られた実質的支配者リストが挙げられています。

開設に時間がかかる・追加の確認が入る理由

金融機関ごとにリスクを評価している

金融庁のパンフレットによると、金融機関は法令にもとづき、取引ごとにマネー・ローンダリングのリスクを評価し、リスクに応じて情報を集めることが求められています。評価の仕方は金融機関ごとに違うため、同じ書類をそろえても、追加の質問や資料を求められることがあります。

設立したばかりの会社は、取引の実績を示すものが少なく、事業の内容が書類だけでは伝わりにくいことがあります。次の点を説明できるようにしておくと、確認がスムーズに進みやすくなります。

登記した事業目的と、口座の申込みで説明する事業の内容が食い違っていると、確認に時間がかかる原因になります。目的の書き方は定款の事業目的の記事で解説しています。

開設後も確認の連絡が来る

金融庁は、口座開設のときだけでなく、その後も金融機関が定期的に顧客の情報や取引の目的を確認することがあるとしています。金融機関から「お客様情報確認」「お取引目的確認」などの書類が届いたら、開封して回答してください。金融庁は、金融機関が暗証番号やインターネットバンキングのパスワードを聞くことはないとしています。こうした情報を求める連絡は、金融機関をかたる詐欺を疑ってください。

個人事業で使っていた口座の扱い

法人を作っても、個人事業で使っていた事業用口座をすぐに閉じる必要はありません。法人化する前に個人として稼働した分の報酬は、個人の売上です。支払期日が法人化の後になっても、個人の口座に入金され、個人事業の確定申告に含めます。

そのため、次の点を分けて記録しておくと、個人と法人の境目で迷いにくくなります。

個人事業の分の入金がすべて終わり、確定申告の準備がそろってから、個人の事業用口座をどうするかを決めれば足ります。

口座ができた後にやること

  1. 取引先に振込先の変更を届け出る:契約名義を個人から法人に移す手続きとあわせて行う。手順は法人化後に契約を切り替える記事で解説している
  2. 役員報酬の支払い口座を決める:法人口座から代表者の個人口座へ毎月同じ額を振り込む。役員報酬の決め方は役員報酬の記事を参照
  3. 社会保険料・税金の口座振替を登録する:法人の社会保険料は会社の口座から納める
  4. 会計ソフトと明細を連携する:法人の決算に向けて、入出金の記録をそろえておく

個人事業のときに事業用口座とカードを分けていた考え方は、法人になっても同じです。事業用の口座とカードの分け方の記事も参考にしてください。

よくある質問

設立登記の前に法人口座を作ることはできますか?

会社の名称と本店所在地は登記事項証明書などで確認されるため、登記の完了後に申し込むのが基本です。設立前の出資金の払込みは、発起人の個人口座で行います。

自宅を本店にしていても法人口座は作れますか?

自宅を本店にしている会社でも申し込めます。ただし、事業の実態を確かめるために、事業の内容や拠点について質問されることがあります。本店の決め方は事業の住所の記事をご覧ください。

口座の開設を断られた場合、理由を教えてもらえますか?

金融機関は、審査の理由を説明しないことがあります。登記した目的と事業の説明が合っているか、事業の実態を示す資料が足りているかを見直し、別の金融機関に申し込む方法もあります。会社の書類の整え方に不安がある場合は、司法書士や税理士にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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