付加年金とは|月400円で年金を増やす仕組みと、入れない人・iDeCoとの関係
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
付加年金は、国民年金の保険料に月400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に「200円×付加保険料を納めた月数」が毎年加算される仕組みです。年金を受け取り始めてから2年で、払った付加保険料を上回る計算になります。
対象はフリーランスなどの国民年金第1号被保険者で、国民年金基金に入っている人や、保険料の免除・納付猶予を受けている人は納められません。iDeCoとは同時に使えますが、掛金の上限に付加保険料の分が含まれる点に注意が必要です(2026年10月時点)。
付加年金の仕組みを数字で見る
日本年金機構の案内をもとに、付加年金の基本を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 付加保険料 | 月額400円(定額保険料に上乗せ) |
| 増える年金(年額) | 200円×付加保険料を納めた月数 |
| 元が取れる目安 | 受け取り始めて2年 |
| 納付期限 | 納付対象月の翌月末日(過ぎても2年間は納付できる) |
| 申出の窓口 | 市区役所・町村役場、年金事務所(個人は電子申請も可) |
40年間納めた場合の例
日本年金機構の例では、20歳から60歳までの40年間(480か月)付加保険料を納めると、次のようになります。
- 納めた付加保険料:400円×480か月=192,000円
- 増える年金:200円×480か月=年96,000円
- 老齢基礎年金(令和8年度の満額847,300円)と合わせて年943,300円
払った額は192,000円で、毎年96,000円が上乗せされるため、受け取り始めて2年で払った額と同じになり、3年目からは払った額を上回ります。
独立後に始めた場合の例
付加保険料は、国民年金の第1号被保険者である期間にしか納められません。会社員から独立した人は、独立してからの月数で考えます。たとえば35歳で独立し、60歳まで25年間(300か月)納めた場合は次のとおりです。
- 納めた付加保険料:400円×300か月=120,000円
- 増える年金:200円×300か月=年60,000円
月数が短くても、受け取り始めて2年で払った額を上回る関係は変わりません。
独立した年齢ごとの目安
60歳まで第1号被保険者として付加保険料を納め続けた場合の計算です。途中で会社員に戻ったり、免除を受けたりした月は含みません。
| 独立した年齢 | 納める月数 | 納める付加保険料の合計 | 増える年金(年額) |
|---|---|---|---|
| 30歳 | 360か月 | 144,000円 | 72,000円 |
| 40歳 | 240か月 | 96,000円 | 48,000円 |
| 50歳 | 120か月 | 48,000円 | 24,000円 |
どの年齢でも、増える年金の年額は納めた合計のちょうど半分です。このため「受け取り始めて2年で元が取れる」という関係になります。
納められる人・納められない人
納められる人
- 国民年金の第1号被保険者(自営業者・フリーランスなど)
- 65歳未満の任意加入被保険者
納められない人
- 国民年金基金の加入員
- 保険料の免除(法定免除・全額免除・一部免除)、納付猶予、学生納付特例を受けている人(産前産後免除の人は納められる)
- 第2号被保険者(会社員・公務員など)と第3号被保険者(その被扶養配偶者)
付加保険料だけを単独で納めることはできず、定額の国民年金保険料とあわせて納めます。
国民年金基金・iDeCoとの関係
国民年金に上乗せする制度は、付加年金のほかに国民年金基金やiDeCoがあります。組み合わせ方には決まりがあります。
| 組み合わせ | 可否 |
|---|---|
| 付加年金+国民年金基金 | できない(国民年金基金の加入員は付加保険料を納められない) |
| 付加年金+iDeCo | できる(ただし掛金の上限に付加保険料の分が含まれる) |
| 国民年金基金+iDeCo | できる(掛金は合わせて上限の範囲内) |
iDeCoと同時に使うときの上限
第1号被保険者のiDeCoの掛金には上限があり、国民年金基金の掛金や付加保険料と合わせて考えます。厚生労働省の案内では、2026年12月分(2027年1月の引き落とし分)から、第1号被保険者の上限が月額68,000円から75,000円に引き上げられます。国民年金の付加年金に加入している人は、付加保険料(月額400円)を、上限を考えるときの他制度の掛金として確かめるよう案内されています。
iDeCoの掛金は1,000円単位で決めるため、付加保険料を納めている人は、iDeCoに回せる額が上限より少なくなります。上限いっぱいまでiDeCoに拠出したい人は、付加年金とどちらを優先するかを考える必要があります。具体的な上限額は、加入しているiDeCoの運営管理機関でご確認ください。iDeCoの仕組みはiDeCoの記事、国民年金基金は国民年金基金の記事で解説しています。
申出・やめるときの手続き
始めるとき
- 書類:国民年金被保険者関係届書(申出書)
- 窓口:住所地の市区役所・町村役場、または近くの年金事務所
- 電子申請:個人はマイナポータルなどから申請できる
- 開始月:申し出た月の分から(郵送の場合は窓口で受け付けた月の分から)
さかのぼって納めることはできません。たとえば令和8年4月に申し出た場合は、令和8年4月分からが対象です。退職して国民年金に切り替える手続きのときに、あわせて申し出ておくと、独立した月から付加保険料を納められます。退職後の手続きは退職後の手続きの記事にまとめています。
やめるとき
やめるときも、同じ国民年金被保険者関係届書(申出書)を、市区町村の窓口か年金事務所に出します。日本年金機構の案内では、申し出た月の前月から、付加保険料を納める人ではなくなるとされています。国民年金基金に加入する場合は、付加保険料をやめる必要があります。
納め方
付加保険料は、定額の国民年金保険料とあわせて、納付書・口座振替などで納めます。前納すると割引があり、金額は日本年金機構の前納の案内で確認できます。納付期限は納付対象月の翌月末日で、期限を過ぎても2年間は納められます。
税金の扱い
付加保険料は国民年金の保険料の一部です。その年に払った額は、ほかの国民年金保険料とあわせて社会保険料控除の対象になります。確定申告では、日本年金機構から届く控除証明書などをもとに、1年分の合計を書き入れます。
控除を受けると、その年の所得税と翌年度の住民税の計算のもとになる所得が下がります。月400円と額は小さいものの、払った分だけ控除が増える点は国民年金保険料と同じです。受け取るときの税金の扱いは、税務署や税理士にご確認ください。
付加年金が向いている人・向かない人
向いている人
- 国民年金保険料を毎月きちんと納めていて、少額から年金を増やしたい人
- 国民年金基金に入る予定がない人
- iDeCoの掛金を上限まで使う予定がない人
検討が必要な人
- 国民年金基金への加入を考えている人(併用できない)
- iDeCoを上限いっぱいまで使いたい人(付加保険料の分だけ枠が減る)
- 近いうちに法人化して厚生年金に入る予定の人(納められる期間が短い)
付加年金は、払う額も増える額も小さい制度です。老後の備え全体の中で、国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済とどう組み合わせるかを考えて使うのがよいでしょう。小規模企業共済は小規模企業共済の記事で解説しています。
よくある質問
付加年金は何歳から受け取れますか?
付加年金は老齢基礎年金に加算して支給されます。老齢基礎年金を受け取り始めるときに、あわせて受け取る仕組みです。受け取り始める時期の考え方は、日本年金機構の老齢基礎年金の案内や年金事務所でご確認ください。
会社員の配偶者の扶養に入っている場合も付加保険料を納められますか?
納められません。会社員などに扶養される配偶者は第3号被保険者で、付加保険料を納められるのは第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者です。フリーランスとしての収入が増えて扶養から外れ、第1号被保険者になったときに申し出ることができます。
付加保険料を納め忘れた月はどうなりますか?
付加保険料の納付期限は納付対象月の翌月末日ですが、期限を過ぎても2年間は納めることができます。ただし、申し出る前の月の分をさかのぼって納めることはできません。納め忘れが続く場合は、口座振替を使うと払い忘れを防げます。
参考にした公的情報・資料
- 付加保険料の納付(日本年金機構)
- 国民年金保険料(日本年金機構)
- 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)
- iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢の引き上げ(厚生労働省)
- 付加年金(付加保険料)(鹿児島市)
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。