フリーランスの確定申告の流れ|期限と準備するもの
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスの確定申告は、1月1日から12月31日までの1年分の所得と税額を計算し、翌年2月16日から3月15日までに税務署へ申告する手続きです。所得税の納付期限も、原則として同じ3月15日です。令和8年分(2026年分)なら、申告期間は2027年2月16日(火)から3月15日(月)までになります(2026年10月時点)。
準備するものは、1年分の帳簿、請求書・領収書、控除を受けるための証明書です。1月から帳簿を付けておけば、申告の作業は「決算書を作って申告書に写す」ところまで短くできます。
令和8年分の確定申告の期限と日程
国税庁は、確定申告の期間を「原則として翌年2月16日から3月15日まで」としています。税務署から納付書は届かないため、自分で計算した税額を期限までに納めます。
| 項目 | 令和8年分(2026年分)の日程 | 補足 |
|---|---|---|
| 所得税の申告期間 | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月) | 期限日が土日祝なら翌日 |
| 所得税の納付期限 | 2027年3月15日(月) | 振替納税を選ぶと引き落としは後日 |
| 消費税の申告・納付期限(課税事業者のみ) | 2027年3月31日(水) | 個人事業者は3月31日まで延長されている |
| 還付申告 | 2027年1月1日から5年間 | 青色申告特別控除(55万円・65万円)を受けるなら3月15日まで |
還付申告は確定申告期間と関係なく、翌年1月1日から5年間出せます。ただし、国税庁は、期限内の提出が条件になっている特例を使う場合は期限までに出す必要があるとしています。青色申告特別控除の55万円・65万円はその代表です。報酬から源泉徴収されていて「還付になるから急がなくてよい」と考えると、控除が10万円に減ることがあります。
確定申告が必要になるフリーランス
国税庁の説明では、1年間の所得の合計が所得控除の合計を上回り、その差に対する税額が配当控除と住宅ローン控除の合計を超える人は、確定申告が必要です。業務委託で報酬を受け取るフリーランスは、年末調整を受けないため、所得が出ていれば申告することになります。
会社員の副業の場合は、給与以外の所得が20万円以下なら申告不要とされる場合があります。ただし、住民税の申告は別に必要なことがあるため、副業の確定申告の記事も確認してください。
1年間の準備:帳簿と書類をそろえる
確定申告で一番時間がかかるのは、申告書の作成ではなく、1年分の取引の整理です。次の書類を、年の途中から集めておくと楽になります。
- 売上の記録:請求書の控え、入金が確認できる通帳や明細
- 経費の記録:領収書、レシート、クレジットカードの明細、オンライン購入の注文履歴
- 帳簿:日付・取引先・金額・内容を記録したもの(青色申告で55万円・65万円の控除を受けるなら複式簿記)
- 源泉徴収された税額がわかるもの:取引先から届く支払調書、または請求書と入金額の差
- 所得控除の証明書:国民年金・国民年金基金の控除証明書、生命保険料・地震保険料の控除証明書、iDeCoや小規模企業共済の掛金証明書、医療費の明細など
青色申告では、帳簿と書類を原則7年間保存します(請求書・見積書など一部の書類は5年間)。紙で受け取った領収書も、電子で受け取った請求書も、保存のルールがあります。電子データの保存は電子帳簿保存法の記事でまとめています。
経費にできるものの範囲はフリーランスエンジニアが経費にできるもの、自宅の家賃や通信費の扱いは家事按分の記事で解説しています。
申告書を作るまでの5つのステップ
1. 1年分の売上と経費を集計する
帳簿を締めて、売上の合計と経費の合計を出します。売上は入金日ではなく、原則として業務を行い請求できるようになった年に計上します。12月の稼働分を翌年1月に請求して2月に入金される場合も、その年の売上です。
2. 決算書(収支内訳書)を作る
青色申告の人は「青色申告決算書」、白色申告の人は「収支内訳書」を作ります。青色申告で55万円・65万円の控除を受ける場合は、損益計算書に加えて貸借対照表も必要です。
3. 所得控除を計算する
所得から差し引ける控除を確認します。国民健康保険料・国民年金保険料・国民年金基金の掛金は、その年に支払った全額が社会保険料控除になります。経費ではなく所得控除として申告書に書く点に注意してください。
4. 税額を計算し、源泉徴収税額を差し引く
課税所得に税率をかけて所得税額を出し、復興特別所得税を加えます。取引先が報酬から源泉徴収した税額は、ここで差し引きます。源泉徴収税額のほうが多ければ還付、少なければ差額を納めます。源泉徴収の仕組みは源泉徴収の記事で解説しています。
5. 申告書を出して納める
申告書の出し方は、e-Taxでの送信、税務署への持参、郵送があります。青色申告で65万円の控除を受けるには、e-Taxでの送信か優良な電子帳簿の保存が条件です。e-Taxの手順はe-Taxの記事をご覧ください。
令和8年分で変わる点:基礎控除の引き上げ
令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除が引き上げられました。国税庁のQ&Aによると、この改正は2026年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます(2026年10月時点)。
| 合計所得金額 | 改正前 | 令和8年分以後 |
|---|---|---|
| 2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
上の表は本来の基礎控除の金額です。これとは別に、所得が少ない人には上乗せの特例があり、合計所得金額が132万円以下なら令和8年分の基礎控除は104万円になります。上乗せ額は所得の区分ごとに違うため、自分の金額は国税庁の「No.1199 基礎控除」の表で必ずご確認ください。
会社員は年末調整で改正後の控除が反映されますが、フリーランスは確定申告で反映させます。申告書作成の画面や様式が改正に対応しているかも、申告の時期に確かめておきましょう。
所得税以外に届く税金と連動するもの
確定申告の内容は、税務署から市区町村や都道府県に伝わり、次の税金の計算にも使われます。申告書に書いた内容がそのまま住民税や事業税の通知につながります。
| 税金・保険料 | 決まり方 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 住民税 | 確定申告の所得をもとに市区町村が計算 | 6月ごろに通知 |
| 個人事業税 | 確定申告の事業所得をもとに都道府県が計算 | 8月ごろに通知(東京都の場合) |
| 国民健康保険料 | 前年の所得をもとに市区町村が計算 | 時期は市区町村による |
| 予定納税 | 前年の所得税額が一定額以上だと、翌年の税金を一部前払い | 税務署から通知が届く |
詳しくは住民税の記事、個人事業税の記事、予定納税の記事で解説しています。独立した翌年は、確定申告の後に住民税・事業税・国民健康保険料の通知が続けて届くため、納税資金を分けて取っておくと安心です。
青色申告にするなら承認申請の期限に注意
青色申告で申告するには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を出しておく必要があります。国税庁によると、期限は次のとおりです。
- 青色申告をしたい年の3月15日まで
- その年の1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内
期限を過ぎると、その年は白色申告になります。青色申告の控除の条件や、令和9年分からの改正は青色申告の記事で解説しています。
個別の所得の区分や控除の判断に迷う場合は、税理士・税務署にご相談ください。
よくある質問
確定申告の期限に間に合わなかったらどうなりますか?
期限後でも申告はできますが、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。また、青色申告の55万円・65万円の控除は期限内に申告することが条件のため、期限後の申告では控除の上限が10万円になります。気づいた時点でできるだけ早く申告し、詳しくは税務署にご相談ください。
赤字の年も確定申告は必要ですか?
所得がなければ申告義務がない場合もあります。ただし、青色申告をしていれば、事業の赤字(純損失)を翌年以後3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できます。この繰越しを受けるには申告が必要なため、赤字の年も申告しておくことが大切です。
源泉徴収されていれば確定申告しなくてもよいですか?
報酬から差し引かれた源泉徴収税額は、あくまで所得税の前払いです。実際の税額は、経費や所得控除を差し引いた所得から計算するため、確定申告で精算します。多くの場合は払いすぎた分が還付されますが、所得が多い年は追加で納めることもあります。
参考にした公的情報・資料
- No.2020 確定申告(国税庁)
- No.2030 還付申告(国税庁)
- No.2070 青色申告制度(国税庁)
- No.2072 青色申告特別控除(国税庁)
- 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(国税庁)
- No.1199 基礎控除(国税庁)
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
- No.6601 消費税の確定申告・納付期限(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。