インボイス登録の手続き|申請の方法から登録通知・登録後にすることまで
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
インボイス(適格請求書)を発行するには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を出し、審査を経て登録を受けます。登録されると「T」と13桁の数字の登録番号が通知され、国税庁の公表サイトに氏名と登録番号などが載ります。
個人のフリーランスは、e-Taxソフト(WEB版)を使えば、スマートフォンやパソコンから問答形式で申請できます。郵送でも出せます。免税事業者は、申請書に「登録希望日」を書けば、その日から登録を受けられます。登録希望日は、提出日から15日以降の日です。この記事では、国税庁のインボイス制度特設サイトをもとに、申請から登録後にすることまでを整理します(2026年10月時点)。
登録するかどうかの判断はインボイス登録はすべきか、制度の全体像はインボイス制度の基本で解説しています。
申請の前に確かめておくこと
申請書を出す前に、次の3点を確かめておくと、登録後に慌てずに済みます。
- 登録する理由と時期:取引先から求められている時期、最初に登録番号入りの請求書を出す日
- 消費税の計算方法:2割特例・3割特例・簡易課税・一般課税のどれで計算するか
- 報酬の決め方:今の契約の報酬が税込か税別か
申請から登録までの流れ
| 段階 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 準備 | マイナンバーカードと利用者識別番号を用意(e-Taxの場合) | 郵送なら様式を印刷 |
| 2. 申請 | 登録申請書を提出 | 免税事業者は登録希望日を書ける |
| 3. 審査・通知 | 税務署の審査を経て登録番号が通知される | 通知までに一定の期間がかかる |
| 4. 公表 | 公表サイトに登録情報が載る | 屋号などの公表は別の申出が必要 |
| 5. 登録後 | 取引先へ番号を知らせ、請求書を変える | 消費税の申告が必要になる |
1. 申請の方法を選ぶ
e-Taxで申請する
国税庁によると、登録申請は「e-Taxソフト」と「e-Taxソフト(WEB版)」で行えます。e-Taxソフト(WEB版)はダウンロード不要で、問答形式で入力漏れを防げます。スマートフォンやタブレットで申請できるのは、国内の個人事業者に限られます。
準備するものは次の2つです。
- 電子証明書(マイナンバーカードなど)
- 利用者識別番号(e-Taxを使うための16桁の番号。初めて使う場合はe-Taxソフト(WEB版)で取得できる)
e-Taxで申請すると、登録の通知はe-Taxのメッセージボックスの「通知書等」に届きます。事前にメールアドレスを登録しておけば、通知が届いたことをメールで知らせてもらえます。マイナンバーカードでe-Taxを使う準備はe-Taxの記事で解説しています。
郵送で申請する
紙の「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)」を、国税庁の特設サイトから入手して郵送することもできます。郵送先は、納税地を管轄する国税局の業務センターです。税務署ではない点に注意してください。
税理士に代理送信を頼む
税理士に依頼している場合は、税理士がe-Taxで代理送信できます。その場合、登録通知書も税理士が代理で受け取れます。
2. 登録日はいつになるか
登録日は、申請する人の状況で決まり方が違います。
免税事業者は登録希望日を指定できる
国税庁のタックスアンサーによると、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日を含む課税期間中に免税事業者が登録を受けた場合は、登録を受けた日から適格請求書発行事業者になれる経過措置があります。年の途中でも、登録日から課税事業者になる扱いです。
免税事業者は、申請書に登録希望日を書くことで、その日から登録を受けられます。登録希望日は、申請書の提出日から15日以降の日です。国税庁の特設サイトには、登録希望日を確かめるための表も用意されています。
新しく事業を始めた人はさかのぼれる
新たに事業を始めた人は、その課税期間の末日までに申請すれば、課税期間の初日にさかのぼって登録を受けられます。個人事業者の「課税期間の初日」は、事業を始めた日ではなく、事業を始めた年の1月1日です。
3. 登録番号の通知を待つ
申請してから通知を受けるまでには、一定の期間がかかります。国税庁は、通知までの平均的な期間を特設サイトで案内しています。申請の時期や件数によって変わるため、取引先に番号を知らせる期限があるなら、余裕を持って申請することが大切です。
登録日から通知を受けるまでの間に取引をする場合の扱いは、国税庁のインボイスQ&A(問36)で示されています。通知前に請求書を出す必要がある場合は、このQ&Aを確認するか、税務署に相談してください。
4. 公表サイトに載る情報
登録されると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録情報が公表されます。取引先は、このサイトで登録番号が取引の時点で有効かどうかを確かめられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録番号の形 | 個人事業者は「T」+13桁の数字 |
| 13桁の数字 | マイナンバーは使われず、法人番号とも重ならない事業者ごとの番号 |
| 公表される主な情報 | 登録番号、氏名または名称など |
| 屋号・事務所の所在地 | 公表を希望する場合は「公表事項の公表(変更)申出書」を別に出す |
個人事業者の場合、何もしなければ屋号は公表されません。請求書に屋号を使っていて、取引先が屋号で検索することを考えるなら、申出書を出す方法があります。
5. 登録した後にすること
取引先に登録番号を知らせる
登録番号が分かったら、報酬を受け取っている取引先に知らせます。取引先は、請求書の登録番号を公表サイトで確かめたうえで、仕入税額控除の手続きを進めます。
請求書の書き方を変える
登録後の請求書には、登録番号や税率ごとの消費税額など、適格請求書の記載事項を書きます。書き方は適格請求書の書き方にまとめています。
消費税の申告と納税に備える
登録すると課税事業者になり、消費税の申告と納税が必要になります。国税庁によると、個人事業者の12月31日を含む課税期間の消費税の確定申告と納税の期限は、翌年3月31日です。計算方法は、一般課税、簡易課税、令和8年分までの2割特例、令和9年分・令和10年分の3割特例から選ぶことになります。
報酬の税込・税別を確かめる
登録の前後で、報酬を税込で決めているか税別で決めているかによって、手元に残る額が変わります。報酬の表示の考え方は税込・税別の記事で解説しています。
登録内容の変更と取りやめ
登録簿に載っている事項に変更があった場合は「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を出します。登録をやめたい場合は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を出します。どちらの様式も国税庁の特設サイトにあります。
取りやめの届出を出す時期と、登録の効力がなくなる日の関係は、国税庁の特設サイトにある「インボイス発行事業者の登録を取り消す場合などに提出すべき書類」で確かめられます。また、上で触れたとおり、免税事業者が登録した場合は原則として2年間は課税事業者のままです。取りやめを考えるときは、税務署か税理士に時期を確かめてから出しましょう。
登録の時期や、登録後の消費税の計算方法の選び方は、事業の状況で変わります。迷う場合は税理士・税務署にご相談ください。
よくある質問
申請してから登録番号が届くまで、どれくらいかかりますか?
申請の時期や件数によって変わります。国税庁はインボイス制度特設サイトで、通知までの平均的な期間の目安を案内しています。取引先に番号を知らせる期限がある場合は、目安を確かめたうえで余裕を持って申請してください。
登録番号にマイナンバーが使われることはありますか?
ありません。国税庁の公表サイトによると、個人事業者の登録番号は「T」と13桁の数字で、13桁にはマイナンバーを使わず、法人番号とも重ならない事業者ごとの番号が割り当てられます。
年の途中で登録した場合、その年の消費税はどうなりますか?
免税事業者が年の途中で登録を受けた場合は、経過措置により登録日から課税事業者になります。登録日以後の売上について消費税の申告が必要になるのが原則ですが、申告の範囲や計算は状況によって変わるため、税務署か税理士にご確認ください。
参考にした公的情報・資料
- インボイス発行事業者登録申請手続(国税庁 インボイス制度特設サイト)
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)
- No.6601 消費税の確定申告・納付期限(国税庁)
- 登録番号とは(国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト)
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。