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単価・報酬交渉

報酬は税込か税別か|見積・契約・請求で確認することと計算例

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

業務委託の報酬が税込か税別かは、法律で一律に決まっているものではなく、発注側との取り決めで決まります。フリーランスのエンジニアやコンサルの案件では、月額を税別で決めて消費税を上乗せして請求する形がよく見られますが、税込で決める案件もあります。大切なのは、見積・契約書(発注書)・請求書のすべてで「税込」「税別」の表記をそろえることです。

あわせて、インボイス登録の有無や源泉徴収の有無で、受け取る金額が変わるかも確かめておきます。この記事では、2026年10月時点の国税庁・公正取引委員会の資料をもとに、仮の数字で差を整理します。

税込と税別で受け取る金額はどれだけ違うか

消費税の標準税率は10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)です(国税庁)。ITの業務委託の報酬は、この標準税率の対象になります。

以下は仮の数字による計算例です。

契約の書き方本体の金額消費税請求額(振込の目安)
月額50万円(税別)500,000円50,000円550,000円
月額50万円(税込)454,545円45,455円500,000円

同じ「50万円」でも、税別なら55万円、税込なら50万円が請求額になり、5万円の差が出ます。税込の金額から本体を求めるときは、1.1で割ります(500,000 ÷ 1.1 ≒ 454,545円)。端数の処理は請求書の書き方で決まるため、適格請求書の書き方の記事をご覧ください。

この差は、月額だけでなく、精算の超過・控除の金額にもかかります。超過の単価が税別で決まっていれば、超過分にも消費税が加わります。

見積で「税込」と書かなければならない?

店頭の値札や広告などで、消費者に向けてあらかじめ価格を表示する事業者には、消費税を含めた総額を表示する義務があります(総額表示義務)。国税庁の案内では、この義務は消費者に対して価格を表示する場合のものとして説明されています。

フリーランスが企業に出す見積や請求は、消費者向けの価格表示とは場面が違います。そのため、見積を税別で書くこと自体は珍しくありません。ただし、税別で書くなら「税別」と明記し、消費税をどう扱うかが相手に伝わるようにしておくことが大切です。「50万円」とだけ書くと、税込・税別の解釈が分かれ、請求のときに食い違いが起きます。

契約・発注書で確かめること

2024年11月に施行されたフリーランス法では、発注事業者は業務を委託したら直ちに、報酬の額や支払期日などの取引条件を、書面または電子メールなどで明示することとされています(公正取引委員会)。公正取引委員会のQ&Aでも、報酬の額を「〇〇円(税込)」のように示す例が使われています。

また、公正取引委員会のパンフレットでは、業務に必要な諸経費を発注事業者が負担する場合、報酬の額は諸経費を含めた総額が分かるように示す必要があるとされています。交通費などの扱いは交通費・経費の記事で整理しています。

契約や発注書を受け取ったら、次の点を確かめます。

  1. 報酬の額に「税込」「税別」が書かれているか
  2. 精算の超過・控除の単価も、同じ前提で書かれているか
  3. 交通費などの経費を報酬とは別に受け取る場合、その金額が税込か税別か
  4. インボイス登録の有無で、報酬の額が変わる取り決めになっていないか

取引条件の明示について、受け取るべき内容はフリーランス新法の取引条件の明示の記事で解説しています。

インボイス登録の有無で変わること

インボイス登録をしているかどうかで、取引先の消費税の負担が変わるため、報酬の扱いが話題になることがあります。

登録している場合

登録した事業者(適格請求書発行事業者)は、登録番号・税率・消費税額などを書いた適格請求書を出し、受け取った消費税をもとに消費税の申告と納税をします。税別で決めた報酬に消費税を上乗せして受け取る形なら、受け取った消費税は納税のもとになるお金です。使ってしまわないよう、分けて考えておく必要があります。納税の流れは消費税の納税の記事で解説しています。

登録していない場合(免税事業者)

登録していないフリーランスからの仕入れについて、取引先は原則として仕入税額控除を受けられません。ただし経過措置があり、国税庁の令和8年度税制改正の案内によると、控除できる割合は次のように段階的に下がります。

期間控除できる割合
2026年(令和8年)10月1日から2年間70%
2028年(令和10年)10月1日から2年間50%
2030年(令和12年)10月1日から1年間30%
2031年(令和13年)10月1日以降控除できない

控除できない部分は取引先の負担になるため、免税事業者との取引では、報酬の見直しを求められることがあります。経過措置の仕組みは経過措置の記事、登録するかどうかの考え方はインボイス登録の判断の記事で整理しています。

一方的な引き下げには注意

公正取引委員会のフリーランス法Q&Aでは、免税事業者に課税事業者になるよう要請すること自体は問題にならないとしています。一方で、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、応じなければ取引を打ち切るなどと一方的に通告することや、十分に協議しないまま発注側の都合だけで低い価格を設定することは、問題となるおそれがあるとしています。条件の見直しを求められたときは、理由と金額を書面やメールで確かめながら話し合うことが大切です。

源泉徴収がある報酬は、消費税を分けて書く

個人に支払う報酬のうち、原稿料や講演料などは源泉徴収の対象になります(国税庁)。開発の本業とは別に、研修の講師や技術記事の執筆を受けるときに関わってくる話です。システム開発の報酬が対象になるかどうかを含め、対象の範囲は源泉徴収の記事で解説しています。

源泉徴収の対象になる報酬では、税込・税別の書き方が差し引かれる税額に影響します。国税庁によると、源泉徴収の対象になる金額は原則として消費税を含めた額ですが、請求書などで報酬の額と消費税の額がはっきり分かれていれば、報酬の額だけを対象にしてかまいません。

税率は、1回の支払額が100万円以下なら10.21%です(国税庁)。仮に、講師料10万円(税別)に消費税1万円を加えて請求する場合で計算すると、次のようになります。

差し引かれた所得税は確定申告で精算されますが、入金額に差が出るため、請求書では報酬と消費税を分けて書いておくと分かりやすくなります。

見積・契約・請求のチェックリスト

場面確かめること
見積・条件の提示金額に「税込」「税別」を明記したか。精算の単価も同じ前提か
契約書・発注書報酬の額の表記が、合意した前提と一致しているか。経費の扱いと金額の前提は書かれているか
請求書本体の金額・税率・消費税額を分けて書いたか。登録事業者なら登録番号を書いたか
入金の確認振込額が請求額と一致しているか。源泉徴収や振込手数料の差し引きがないか

振込手数料をどちらが負担するかも、契約で決めておく項目です。差し引かれて入金された場合は、契約の取り決めを確かめてください。

よくある質問

金額だけ書かれていて、税込か税別か分からない場合はどうすればよいですか?

そのまま進めず、発注側(エージェント経由なら担当者)に確認してください。フリーランス法では、報酬の額を含む取引条件を書面やメールなどで示すことが発注事業者に求められています。確認した結果は、契約書や発注書の表記に反映してもらうと、請求のときの食い違いを防げます。

免税事業者ですが、請求書に消費税を書いてよいですか?

免税事業者はインボイス(適格請求書)を出すことはできません。報酬の額をどう決め、請求書にどう書くかは、取引先との取り決めによります。登録の有無によって条件が変わるかを事前に確かめ、書き方に迷う場合は税理士や税務署にご相談ください。

税込で契約した報酬を、あとから税別に変えてもらうことはできますか?

すでに決めた条件を変えるには、取引先との合意が必要です。契約の更新の時期に、報酬の見直しの一つとして相談するのが現実的です。進め方は単価交渉のタイミングと伝え方で解説しています。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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