国民年金を払い忘れたとき|2年以内の納付と、免除・猶予を受けた期間の追納
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
国民年金保険料を払い忘れた月は、納付期限から2年以内であれば、後から納められます。2年を過ぎると時効になり、原則として納められません。過去の分を5年・10年さかのぼって納められた「後納制度」は、平成30年(2018年)9月30日で終わっています。
一方、免除や納付猶予の承認を受けた期間は、10年以内なら「追納」で後から納められます。承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。払い忘れ(未納)と免除・猶予では、後から納められる期間がまったく違う点を押さえておきましょう(2026年10月時点)。
「未納」と「免除・猶予」で後から納められる期間が違う
保険料を納めていない月には、大きく分けて2つの状態があります。
| 状態 | 後から納められる期間 | 将来の年金への反映 |
|---|---|---|
| 未納(払い忘れ・手続きなし) | 納付期限から2年以内 | 2年を過ぎると反映されない |
| 免除 | 追納の承認を受けた月の前10年以内 | 追納しなくても一部が反映される |
| 納付猶予・学生納付特例 | 追納の承認を受けた月の前10年以内 | 追納しないと年金額に反映されない |
払えないまま何もしないと「未納」になり、2年の期限が過ぎれば取り戻せません。払えない時期に免除や納付猶予を申請しておけば、あとで収入が戻ったときに10年の範囲で追納できます。免除・猶予の種類と所得の基準は国民年金の記事で解説しています。
払い忘れた月は2年以内に納める
国民年金保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日です。期限を過ぎても、納付期限から2年以内であれば納められます。たとえば2026年4月分なら、納付期限は2026年5月末日(土日祝日などの場合は翌営業日)で、そこから2年以内が納められる期間です。
未納の月を見つける
未納の月があるかどうかは、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。独立した直後や、引っ越しの前後は手続きが重なり、納付書を見落としやすい時期です。見込み額の調べ方とあわせて年金の見込み額の記事で解説しています。
納付書が手元にないとき
納付書をなくした場合は、年金事務所に再発行を頼めます(江東区の案内による)。引っ越したあとも、納付書は基礎年金番号で管理されているため、旧住所に届いた納付書を使えます。引っ越しのときの手続きは引っ越しの手続きの記事にまとめています。
放置すると督促や差押えの対象になる
日本年金機構は、納付期限までに納められていない人に納付を案内します。支払う能力があるのに納めない状態が続くと、次の順で手続きが進みます。
- 納付勧奨(日本年金機構の職員や、委託された民間事業者からの電話・文書による案内)
- 最終催告状の送付
- 督促状の送付(世帯主や配偶者など、連帯して納める義務のある人にも送られる)
- 督促状の期限を過ぎると、財産の差押えの対象になり、延滞金もかかる
また、未納の期間があると、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があります。老後の年金だけの問題ではない点に注意が必要です。
免除・猶予を受けた期間は10年以内に追納できる
免除、納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間の保険料は、追納の承認を受けた月の前10年以内の分を納められます。追納した月は、保険料を納めた月として年金額に反映されます。
一部免除の期間は、減額された残りの保険料を納めていないと追納できません。残りを納めていない一部免除の月は、未納と同じ扱いになります。
3年度目以降は加算額がつく
承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。令和8年度中に追納する場合の月額は、日本年金機構によると次のとおりです。
| 免除などを受けた年度 | 全額免除・納付猶予・学生納付特例 | 半額免除 |
|---|---|---|
| 平成28年度 | 16,850円 | 8,420円 |
| 令和元年度 | 16,950円 | 8,470円 |
| 令和4年度 | 16,990円 | 8,490円 |
| 令和5年度 | 16,770円 | 8,380円 |
| 令和6年度 | 16,980円 | 8,490円 |
| 令和7年度 | 17,510円 | 8,750円 |
令和6年度と令和7年度の額には、まだ加算額が含まれていません。表にない年度や、4分の3免除・4分の1免除の額は、日本年金機構の追納制度のページで確かめられます。追納できるのは10年以内の分なので、古い年度の月から順に追納できなくなっていきます。
追納するとどれだけ増えるか
日本年金機構によると、1年分を追納すると、老後の年金は年間で次のように増えます。
- 全額免除の期間:約1万円
- 納付猶予・学生納付特例の期間:約2万円
全額免除の期間は、追納しなくても年金額の一部が反映されています。納付猶予と学生納付特例の期間は、追納しないと年金額に反映されないため、追納したときの増え方が大きくなります。
追納の手続き
追納は、年金事務所に「国民年金保険料 追納申込書」を出して申し込みます。
- 提出先:近くの年金事務所(街角の年金相談センターでは手続きできない)
- 提出方法:窓口または郵送
- 本人確認:窓口ではマイナンバーカードを見せる。郵送ではマイナンバーカードの表裏のコピーなどを添える
- 申込書の作成:ねんきんネットで作れるが、電子申請はできないため、印刷して出す
- 納め方:日本年金機構から届く納付書で、金融機関・郵便局、コンビニエンスストア、Pay-easy、スマートフォンアプリから納める
追納では、口座振替やクレジットカードは使えません。原則として古い期間の分から納めます。免除の期間と、納付猶予・学生納付特例の期間の両方がある場合は、どちらから納めるかを年金事務所に相談します。老齢基礎年金を受け取れる人は追納できません。
追納の期限の直前に申し込むと、納付書が届くまでの間に期限を過ぎてしまうことがあります。余裕をもって申し込みましょう。
納める順番の考え方
未納と、免除・猶予の期間の両方がある場合は、期限の短いほうから考えると取りこぼしを防げます。
- 2年の時効が近い未納の月:期限を過ぎると納められなくなるため、最初に納める
- 10年の期限が近い免除・猶予の月:古い年度から追納できなくなる
- 加算額がつく前の月:承認の翌年度から数えて2年度目までに追納すれば加算額がつかない
一度に納めるのが難しい場合は、今の保険料を毎月納めながら、過去の分を少しずつ埋めていく方法もあります。今月分を払えない状態なら、新たな未納を作らないよう、先に免除や納付猶予の申請を検討しましょう。
払い忘れを繰り返さないために
毎月の納付書で払っていると、案件の立ち上がりや繁忙期に支払いが抜けやすくなります。口座振替やクレジットカード納付に切り替えると、毎月の手間がなくなり、払い忘れを防げます。まとめて前納すると割引もあります。納め方と前納の割引額は国民年金の記事で一覧にしています。
後から納めた保険料も社会保険料控除になる
2年以内に納めた過去の月の保険料も、追納した保険料も、納めた年の社会保険料控除の対象です。国税庁は、自分や生計を一にする家族の負担すべき社会保険料を払った場合に控除できるとしています。まとめて納めた年は控除の額も大きくなるため、確定申告で漏れなく書きましょう。
よくある質問
3年前の払い忘れに気づきました。今から納められますか?
納付期限から2年を過ぎた月は時効になり、原則として納められません。後納制度も終わっています。60歳までに納付月数が足りない場合は、60歳以降に国民年金に任意加入できる場合があります。60歳以降の選択肢は年金の見込み額の記事でも触れています。個別の記録は年金事務所でご確認ください。
追納と、今月分の保険料のどちらを先に払うべきですか?
今月分を払わないと新たな未納になり、2年の時効が進みます。追納の期限は10年と長いため、まず今の保険料を納め続け、余裕のある分を追納にあてる考え方が一般的です。今月分も払えない場合は、免除や納付猶予の申請を検討してください。
付加保険料も払い忘れた分を後から納められますか?
付加保険料の納付期限や、期限を過ぎたときの扱いは、通常の保険料と同じとは限りません。付加年金の仕組みは付加年金の記事で解説しています。払い忘れに気づいたら、年金事務所に扱いをご確認ください。
参考にした公的情報・資料
- 国民年金保険料の後納制度(日本年金機構)
- 国民年金保険料の追納制度(日本年金機構)
- 国民年金保険料(日本年金機構)
- 国民年金保険料の強制徴収(日本年金機構)
- 国民年金の住所変更(江東区)
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。