フリーランスの年金の見込み額の調べ方|ねんきん定期便・ねんきんネット・シミュレーター
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスが将来の年金の見込み額を調べる方法は、主に3つです。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」、条件を変えて詳しく試算できる日本年金機構の「ねんきんネット」、登録なしで使える厚生労働省の「公的年金シミュレーター」です。
注意したいのは、50歳未満の人に届くねんきん定期便の金額は「これまでの加入実績に応じた年金額」で、これから納める分は含まれていない点です。独立して国民年金だけになった人は、定期便の数字と、60歳まで納め続けた場合の額を分けて見ると、老後の準備に必要な額をつかみやすくなります(2026年10月時点)。
3つの調べ方の違い
| 方法 | 手間 | 分かること | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ねんきん定期便 | 届くのを待つだけ | 加入期間、保険料の納付額、年金額(年齢で内容が違う) | 年に1回、記録と金額を確かめる |
| ねんきんネット | 登録が必要 | 全期間の記録、条件を変えた詳しい見込額、電子版の定期便 | 働き方や受け取り開始の年齢を変えて比べる |
| 公的年金シミュレーター | 登録不要 | 働き方を入力した簡易な試算 | まず大まかな額を知りたい |
公的年金シミュレーターについて、厚生労働省は簡易な試算が目的で、実際の年金額とは一致しないことがあるとしています。より正確に確かめたいときは、ねんきんネットの利用をすすめています。
ねんきん定期便で見るところ
年齢によって書いてあることが違う
日本年金機構の案内では、ねんきん定期便は年齢によって形式と内容が違います。
| 区分 | 形式 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 50歳未満(35歳・45歳以外) | ハガキ | 直近13か月の納付状況、加入期間、これまでの加入実績に応じた年金額 |
| 35歳・45歳 | 封書 | 上記に加え、全期間の加入履歴と月別状況 |
| 50歳以上(59歳以外) | ハガキ | 直近13か月の納付状況、加入期間、老齢年金の種類と見込額 |
| 59歳 | 封書 | 上記に加え、全期間の加入履歴と月別状況 |
50歳未満の金額は「今までの分」だけ
50歳未満の定期便にある「これまでの加入実績に応じた年金額」は、その時点までに納めた分で計算した額です。30代で独立した人の定期便の額が少なく見えるのは、これから納める期間が入っていないためです。
50歳以上の定期便の「老齢年金の種類と見込額」は、令和8年度の様式では、60歳未満の人について現在の加入条件が60歳まで続くと仮定して計算されています。会社員から独立した人は、独立後の国民年金の加入が60歳まで続く前提の額になります。
35歳・45歳・59歳の封書は記録の確認に使う
封書の定期便には、全期間の加入履歴が載ります。転職や独立のときの切り替えで、加入の記録が抜けていないか、未納の月がないかを確かめるよい機会です。記録に漏れや誤りがありそうなときは、年金事務所に問い合わせます。
ねんきんネットで条件を変えて試算する
ねんきんネットは、マイナポータルと連携するか、ユーザIDを取得して使います。年金の見込額の試算には2つの方法があります。
- かんたん試算:現在の加入条件が60歳まで続くと仮定して、クリックだけで試算する
- 詳細な条件で試算:今後の働き方、年金を受け取り始める年齢、未納分を今後納めた場合などを自分で設定して試算する
フリーランスにとって便利なのは、詳細な試算です。たとえば「50歳で会社員に戻る」「未納の期間を追納する」「受け取りを70歳まで遅らせる」といった条件を入れて比べられます。75歳以上の人は使えず、共済組合の加入期間がある人は試算に制約があります。
ねんきんネットでは、電子版のねんきん定期便も確認でき、PDFで保存できます。
公的年金シミュレーターで大まかにつかむ
公的年金シミュレーターは、IDやパスワードなしで使えます。ねんきん定期便に印刷された二次元コードを読み取ると、入力を省けます。
厚生労働省によると、2026年4月から、老齢年金の試算に加えて、障害年金とiDeCoの試算機能が追加され、試験運用されています。働き方の変化に合わせてグラフを見ながら試算できるため、「何歳まで今の働き方を続けるか」を考えるときの目安にできます。
国民年金の期間は自分でも概算できる
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480か月)の納付状況で決まります。令和8年4月分からの満額は年847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの方)です。会社員だった期間(厚生年金の加入期間)も、20歳から60歳までの分は納付済みの期間に数えます。
おおまかな計算は次のとおりです。
- 老齢基礎年金 ≒ 847,300円 ×(納付済みの月数+全額免除の月数×1/2 など)÷ 480
| 例 | 計算 | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 480か月すべて納付 | 847,300円×480÷480 | 847,300円 |
| 未納が24か月ある | 847,300円×456÷480 | 約80.5万円 |
| 全額免除が12か月(追納なし) | 847,300円×(468+12×1/2)÷480 | 約83.7万円 |
一部免除の期間は、減額された保険料を納めていないと未納の扱いになります。納付猶予や学生納付特例の期間は、追納しなければ年金額に反映されません。付加保険料を納めた期間があれば、200円×納めた月数が上乗せされます。
会社員だった期間がある人は、これとは別に老齢厚生年金があります。こちらは給与と加入期間で決まるため、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめてください。
見込み額を老後の準備に使う
見込み額が分かったら、老後の生活費と比べて、足りない分をどう準備するかを考えます。進め方は次のとおりです。
- 受け取り始める年齢を決める:65歳を基準に、繰上げ・繰下げをした場合の額もねんきんネットで出しておく
- 年金以外の収入を見込む:60代も業務委託で働くなら、稼働日数と報酬の見込みを立てる
- 足りない分を積み立てる:iDeCo・小規模企業共済・預貯金などで、何歳までにいくら用意するかを決める
年金の見込み額は、今後の加入状況や経済の動きによって変わります。ねんきん定期便が届くたびに数字を更新し、準備の計画を見直すと、ずれを小さくできます。老後資金の考え方は老後資金の記事で扱っています。
見込み額が少なかったときにできること
未納と免除の期間を埋める
免除や納付猶予を受けた期間は、追納が承認された月の前10年以内の分であれば、後から納められます。日本年金機構によると、1年分追納すると、全額免除の期間なら年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増えます。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。
免除と追納の手続きは国民年金の記事で解説しています。
上乗せの制度を使う
フリーランスが国民年金に上乗せする方法には、次のものがあります。
付加年金と国民年金基金は同時に入れないなど、組み合わせには制限があります。
60歳以降の選択肢を考える
60歳までに納付月数が480か月に届かない人は、60歳以降に国民年金に任意加入できる場合があります。受け取りを66歳以降に遅らせる繰下げで、年金額を増やす方法もあります。60代の働き方との組み合わせは60代のフリーランスの記事で扱っています。
よくある質問
ねんきん定期便の金額が少なくて不安です。これがそのまま受け取る額ですか?
50歳未満の定期便の額は、これまでの加入実績に応じた額で、これから納める分は入っていません。60歳まで納め続けた場合の額は、ねんきんネットのかんたん試算や公的年金シミュレーターで確かめられます。
会社員だった期間の年金はどうなりますか?
厚生年金に加入していた期間は、老齢基礎年金の計算で納付済みの期間に数えられ、あわせて老齢厚生年金の対象になります。独立したあとも記録は残るため、ねんきん定期便やねんきんネットで期間と見込額を確かめてください。
ねんきんネットとマイナポータルは何が違いますか?
ねんきんネットは日本年金機構のサービスで、年金記録の確認や見込額の試算ができます。登録の方法として、マイナポータルと連携する方法と、ユーザIDを取得する方法の2つがあります。どちらで登録しても、年金の見込額の試算に使えます。
参考にした公的情報・資料
- 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています(日本年金機構)
- 令和8年度「ねんきん定期便」50歳以上の方(令和8年10月以降送付分)(日本年金機構)
- 「ねんきんネット」による年金見込額試算(日本年金機構)
- 公的年金シミュレーター利用のご案内(厚生労働省)
- 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額(日本年金機構)
- 国民年金保険料の追納制度(日本年金機構)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。