引っ越したときの国民健康保険・国民年金・住民税の手続き|フリーランスの届出先と期限
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスが市区町村をまたいで引っ越すときは、国民健康保険を旧住所の市区町村でやめ、新住所の市区町村で14日以内に入り直すのが基本です。国民年金は、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば原則として届出は要りません。
住民税は1月1日に住んでいた市区町村がその年度分を課税するため、年の途中で引っ越しても、その年度は旧住所の市区町村に納めます。税務署への届出は任意で、確定申告は提出するときの住所地の税務署に出します。細かな扱いは市区町村ごとに違うため、ここでは複数の自治体の案内を例に整理します(2026年10月時点)。
引っ越しで必要な手続きを一覧で見る
会社員なら勤務先が進めてくれる手続きも、フリーランスは自分で済ませます。窓口と期限を先に並べておきます。
| 手続き | 窓口 | 期限・扱い |
|---|---|---|
| 転出届 | 旧住所の市区町村 | 引っ越しの前にあらかじめ届け出る |
| 転入届 | 新住所の市区町村 | 転入した日から14日以内 |
| 国民健康保険の脱退 | 旧住所の市区町村 | 転出届とあわせて手続きする(新宿区などの例) |
| 国民健康保険の加入 | 新住所の市区町村 | 14日以内(千葉市などは転入届と同時にできる) |
| 国民年金 | 届出は原則不要 | マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合 |
| 住民税 | 届出は不要 | その年度分は1月1日の住所地に納める |
| 税務署 | 届出は任意 | 書類の送付先を変えたいときに申出書を出せる |
同じ市区町村の中で住所が変わる場合は「転居届」になり、期限は転居した日から14日以内です。国民健康保険を市区町村から抜けて入り直す手続きは、市区町村をまたぐ場合に必要になります。
国民健康保険は旧住所でやめて新住所で入り直す
市区町村の国民健康保険は、住んでいる市区町村で加入します。引っ越すと旧住所の資格はなくなり、新住所で新しく加入します。国民健康保険法では、住所を移した日に別の都道府県に住所を持った場合、その日に資格を失うと定めています。新住所の側では、住所を持った日から資格を取得します。
旧住所の市区町村ですること
転出届を出すときに、国民健康保険をやめる手続きもします。新宿区の案内では、区外へ転出するときは資格確認書を持っている場合に提示し、返すことになっています。転出したあとに旧住所の国民健康保険を使うと、市区町村が負担した医療費を返すよう求められます。
新住所の市区町村ですること
厚生労働省は、国民健康保険に入るときや抜けるときは14日以内に市区町村の窓口へ届け出るよう案内しています。千葉市の例では、転入届と同時に手続きでき、次のものを持っていきます。
- 前の住所地で発行された転出証明書
- 前年の所得が分かるもの
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど。スマートフォンのマイナンバーカード機能では確認できない)
- 口座振替にするなら金融機関のキャッシュカード
マイナ保険証を持っていない人には資格確認書が交付されます。千葉市では、世帯主などが窓口で届け出た場合はその場で受け取れ、それ以外は世帯主に郵送されます。
保険料は月割で、両方の市区町村で精算される
保険料は月単位で計算されます。川崎市の例では、9月15日に国民健康保険を抜けると、その年度の保険料は4月から8月までの5か月分です。抜けた月の分はかからず、払いすぎていれば還付されます。新住所では、加入した月からの分が計算されます。
新住所の保険料は、新住所の市区町村の料率で計算し直されます。同じ所得でも、市区町村によって保険料は大きく変わります。料率の違いは国民健康保険の記事で例を挙げています。
新住所で前年の所得の書類を求められるのは、保険料の所得割と、低所得世帯の軽減の判定に使うためです。所得が分からないままだと、軽減の対象になるはずの世帯でも判定が遅れることがあります。確定申告書の控えなど、前年の所得が分かる書類を引っ越しの荷物とは分けて手元に置いておきましょう。軽減の仕組みは国民健康保険料の軽減と減免の記事で解説しています。
国民年金はマイナンバーが結びついていれば原則届出不要
国民年金の第1号被保険者は、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば、住所変更の届出は原則として要りません。江東区の案内によると、結びついているかどうかは「ねんきんネット」や年金事務所で確かめられます。
ただし、日本年金機構の登録住所が新しい住所に変わるまでには時間がかかります。郵便局の転居・転送サービスを使うと、通知の受け取り漏れを防げます。
納付書は基礎年金番号で管理されているため、引っ越しで新しく発行されることはなく、旧住所に届いた納付書をそのまま使えます。なくした場合は年金事務所に再発行を頼みます。口座振替やクレジットカード納付の扱い、免除を申請している途中の扱いが気になる場合は、年金事務所か新住所の市区町村の国民年金の窓口にご確認ください。
配偶者が会社員で第3号被保険者になっている場合は、配偶者の勤務先を通じた届出が必要になることがあります。
住民税はその年度分を1月1日の住所地に納める
住民税は、毎年1月1日に住んでいた市区町村が、前年の所得をもとにその年度分を課税します。港区の案内では、1月2日以降に引っ越した場合、その年度の住民税は全額を前の住所地に納め、翌年度から新しい住所地に納めます。
フリーランスの住民税は、市区町村から届く納税通知書で自分で納める普通徴収が基本です。引っ越したあとも、その年度の残りの分は旧住所の市区町村の納付書で納めます。住民票を移さずにいると、両方の市区町村から課税される二重課税が起こる場合があるため、転入届は期限内に出しましょう。住民税の計算と納め方は住民税の記事で解説しています。
税務署:届出は任意、申告は提出するときの住所地へ
所得税の確定申告書は、提出するときの納税地を所轄する税務署に出します。納税地は原則として住所地です。引っ越した場合は、新しい住所を書いた申告書を出せば納税地が変わります。
年の途中で、税務署から届く書類の送付先も新しい住所にしたいときは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を出せます。国税庁は「提出することができます」としており、出さなくても申告はできます。自宅とは別に事業所を納税地にしている場合など、個別の扱いは税務署にご確認ください。
請求書や契約書に書いている住所、名刺やWebサイトの表記をどう変えるかは、事業用住所の記事で整理しています。
引っ越しの前後でやることの順番
市区町村の窓口に何度も行かずに済むよう、次の順で進めると漏れが減ります。
- 引っ越しの前:旧住所の市区町村で転出届と国民健康保険の脱退を済ませ、資格確認書を返す
- 引っ越しの前:郵便局の転居・転送サービスを申し込む
- 転入から14日以内:新住所の市区町村で転入届と国民健康保険の加入を同時に済ませる
- 転入後:ねんきんネットなどで、マイナンバーと基礎年金番号が結びついているかを確かめる
- 転入後:取引先、金融機関、クレジットカードなどの登録住所を変える
- 次の確定申告:新しい住所を書いた申告書を、新住所を所轄する税務署に出す
旧住所から届く住民税の納付書や国民健康保険料の精算の通知は、転送された郵便で届くことがあります。届いた書類は捨てずに、納付期限を確かめてください。
よくある質問
引っ越してから2週間を過ぎてしまいました。国民健康保険はどうなりますか?
期限を過ぎても加入の手続きはできます。ただし、保険料は資格を取得した日にさかのぼってかかります。届け出るまでにかかった医療費の扱いも含めて、気づいた時点で新住所の市区町村の窓口で手続きし、扱いをご確認ください。細部は市区町村ごとに違います。
国民年金の免除を受けている途中で引っ越しました。申請し直す必要はありますか?
引っ越しだけで免除がなくなるとは限りませんが、承認の期間や翌年度の申請の扱いは個別に確認が必要です。年金事務所か、新住所の市区町村の国民年金の窓口でご確認ください。免除の仕組みは国民年金の記事で解説しています。
1月に引っ越しました。住民税はどちらの市区町村に払いますか?
1月1日に住んでいた市区町村が、その年度分を課税します。1月2日以降に引っ越した場合は、その年度の住民税は旧住所の市区町村に納め、翌年度から新住所の市区町村に納めます。1月1日の時点でどちらに住んでいたかで決まるため、転入届の日付も確かめておきましょう。
参考にした公的情報・資料
- 住民基本台帳法(e-Gov法令検索)
- 国民健康保険法(e-Gov法令検索)
- 国民健康保険の加入・脱退について(厚生労働省)
- 他の市町村から転入したとき(千葉市)
- 国民健康保険の届出(新宿区)
- 国民健康保険料の計算(よくある質問・川崎市)
- 国民年金の住所変更(江東区)
- 転出入で住所を変更した場合の住民税の納付先(港区)
- No.2029 確定申告書の提出先(納税地)(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。