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公務員は業務委託の副業ができる?国家公務員と地方公務員の許可の違い

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

公務員が報酬を得て業務委託の副業をするには、原則として、国家公務員は内閣総理大臣と所轄庁の長の許可(または人事院の承認)、地方公務員は任命権者の許可が必要です。許可なく始めると、懲戒処分の対象になるおそれがあります。

ただし、許可の考え方は国家公務員と地方公務員で大きく違います。国家公務員は、企業から報酬を得て継続的に仕事をする兼業が原則として認められていません。地方公務員は、営利企業での兼業も一律には禁止されず、各自治体の許可基準で判断されます。この記事では一般職の公務員を前提に、2026年10月時点の法律と国・総務省の資料をもとに違いを整理します。個別の可否は、所属先の人事担当(兼業担当)に必ずご確認ください。

まず全体像:国家公務員と地方公務員の違い

項目国家公務員(一般職)地方公務員(一般職)
根拠の条文国家公務員法第103条・第104条地方公務員法第38条
報酬を得て事業・事務に従事する兼業内閣総理大臣と所轄庁の長の許可(第104条)任命権者の許可
自ら事業を営む(自営)人事院の承認(所轄庁の長に委任)。承認できる事業の類型が決まっている任命権者の許可
企業から報酬を得る兼業原則として認められない一律に禁止せず、基本的な原則を満たせば認めることが可能(総務省通知)
許可の基準国が統一して定める自治体ごとに定める

同じ「公務員」でも、ルールの出どころが違うため、自分がどちらに当たるかを最初に確かめます。

国家公務員の場合

第103条と第104条の2つの制限

内閣人事局の「国家公務員の兼業について(概要)」(令和8年4月)では、国家公務員法の兼業の制限を次の2つに分けて説明しています。

業務委託は第104条の対象になりやすい

人事院のQ&Aでは、同じ法人などから、労働の対価として報酬を得て、事業や事務に継続的または定期的に従事する場合は、雇用契約が結ばれていなくても第104条の兼業に当たるとしています。会社員の副業でよくある「企業と業務委託契約を結び、毎月決まった作業をする」形は、これに当たると考えられます。

そのうえで、内閣人事局の概要では、第104条の兼業が可能な兼業先を、国や地方公共団体、学校法人、社会福祉法人、NPO法人、一般社団・財団法人などの非営利団体とし、営利企業での兼業は原則として認められないとしています。企業から継続して業務委託を受ける形の副業は、国家公務員の場合、許可を得るのが難しいと考えておくのが現実的です。

許可が要らない場合

内閣人事局の概要では、第104条の「兼業」は、報酬を得て事業や事務に継続的または定期的に従事する場合をいい、次のものは当たらないとしています。

ただし、利害関係者から頼まれた講演などは、国家公務員倫理規程による別の手続きが必要になることがあります。単発かどうか、利害関係があるかの判断に迷うときは、受ける前に人事担当に確かめてください。

2026年4月からの自営兼業の見直し

人事院は、2026年4月1日から、自営兼業として承認できる事業に「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」を加えました。それまでは、不動産などの賃貸、太陽光電気の販売、家業を継いだ農業などに限られていました。

人事院の資料に挙がっている例は、ハンドメイド品の販売、スポーツや芸術の教室、地域振興イベントの主催、高齢者を対象にした買い物代行などです。人事院のQ&Aでは、自営を「個人の名義で、広く消費者などを相手に売買などを営む場合」と説明し、アプリなどに登録して定型化されたサービスを個人として提供する形態は、この見直しで承認可能とする事業としては想定していないとしています。企業からの業務委託を自営として承認してもらう道が広がったわけではない点に注意が必要です。

新しい類型の承認には、開業届を出すこと、事業の内容や収入の予定年額を書いた事業計画書などを作ることが求められ、承認は事業を始める前に得る必要があります。

時間の目安

内閣人事局の概要では、第104条の兼業の許可について、勤務時間と重ならないこと、原則として兼業の時間が週8時間以下、1か月30時間以下、勤務日は3時間以下であることを示しています。人事院のQ&Aは、自営兼業の時間もこの範囲内とすることが適当としています。

地方公務員の場合

第38条の許可

地方公務員法第38条では、職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員などを兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得ていかなる事業や事務にも従事することをしてはならないと定めています。業務委託で報酬を得る副業は、この許可の対象です。

許可の基準は自治体ごとに違う

総務省の通知(令和7年6月11日)は、各自治体に、詳しく具体的な許可基準を定め、公表するよう求めています。そのうえで、次のような考え方を示しています。

つまり、地方公務員が企業から業務委託を受ける副業は、国家公務員より認められる余地がありますが、実際に許可されるかは、所属する自治体の許可基準と、担当している職務との利害関係で決まります。許可基準を公表している自治体もあるため、まず自分の自治体の基準を確かめます。

許可が要らない職員もいる

地方公務員法第38条には、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員と、フルタイムの会計年度任用職員を除く)には適用しない、というただし書きがあります。パートタイムの会計年度任用職員などは、この許可の対象から外れます。

ただし、許可が要らない場合でも、信用失墜行為の禁止(第33条)や秘密を守る義務(第34条)などの服務の決まりは残ります。任用の条件で別の定めがあることもあるため、自分の任用の形で何が求められるかは、人事担当に確かめてください。

許可を求めるときに準備するもの

内閣人事局の概要では、国家公務員の第104条の許可の申請に、兼業先での契約条件(日時、報酬額、業務内容など)を書いた委嘱状や契約書の案、移動の経路と時間が分かる資料などを求めています。地方公務員も、自治体ごとの様式で、似た内容を求められることが多いと考えられます。

申請の前に、次の点を整理しておきます。

  1. 発注者の名前と事業の内容、自分の職務との利害関係の有無
  2. 業務の内容と、成果物や作業の範囲
  3. 報酬の額と支払い方
  4. 作業する曜日と時間帯、週・月の時間数
  5. 契約期間と更新の有無

勤務時間中の連絡や会議を求められない条件かどうかも、確かめておきます。副業に使える時間の数え方は副業に使える時間の見積もり方の記事で整理しています。

許可を得たあとに気をつけること

許可や承認には期限が付くことがあります。内閣人事局の概要では第104条の許可は原則として2年を超えない期間、人事院のQ&Aでは新しい類型の自営兼業の承認も2年を超えない期間とされ、続けるには改めて手続きが必要です。異動で職務が変わった場合も、利害関係の判断が変わるため、再度の申請が必要になることがあります。

税金の面では、副業の所得について確定申告が必要になる場合があります。判定の仕方は副業の確定申告の記事をご覧ください。

よくある質問

匿名や家族の名義なら、許可なしで副業をしてもよいですか?

国家公務員の自営について、人事院の運用では、名義が他人であっても本人が営んでいると客観的に判断される場合は自営に当たるとされています。名義を変えても許可の要否は変わらないと考えてください。許可を得ずに始めると、懲戒処分の対象になるおそれがあります。

公務員を辞めてから業務委託を始める場合も、何か制限はありますか?

退職後は兼業の許可の対象ではなくなります。ただし、職務上知った秘密を守る義務は、地方公務員法第34条のように、退職後も続くと定められています。退職後に元の職場と関係のある仕事を受ける場合は、退職に関する決まりも含めて、退職前に人事担当に確かめてください。

許可を申請したら、評価に影響しますか?

許可の申請は、法律で定められた手続きです。総務省の通知では、許可基準を公表して、兼業を希望する職員が申請をためらわずに行えるようにすることが重要だとしています。不安があれば、申請の前に人事担当に、どんな基準で判断されるかを確かめることをおすすめします。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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