国民年金基金の仕組みとiDeCoとの違い|掛金の上限と選び方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
国民年金基金は、フリーランスや自営業者など国民年金の第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せして受け取る公的な年金です。厚生労働省は、65歳から生涯受け取る終身年金が基本の制度と説明しています。掛金は全額が社会保険料控除の対象です。
iDeCoとの一番の違いは、掛金と受け取る年金額が加入時に決まることと、任意に脱退できないことです。掛金の上限はiDeCoと合わせて月68,000円で、令和8年12月分から75,000円に引き上げられます(2026年10月時点)。
国民年金基金の仕組み
会社員は、国民年金(基礎年金)に加えて厚生年金を受け取ります。フリーランスの公的年金は、原則として国民年金だけです。この差を埋めるために作られたのが国民年金基金で、厚生労働省は「第1号被保険者のための公的な年金制度」と位置づけています。
主な特徴は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入できる人 | 20歳以上60歳未満の第1号被保険者など |
| 年金の型 | 1口目は終身年金(A型・B型)。2口目以降は終身年金か確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型) |
| 掛金の決まり方 | 選んだ型と口数、加入時の年齢、性別で決まる |
| 掛金の上限 | iDeCoと合わせて月68,000円(令和8年12月分から75,000円) |
| 掛金の税金 | 全額が社会保険料控除 |
| 受け取る年金の税金 | 公的年金等控除の対象。遺族一時金は非課税 |
| 脱退 | 任意の脱退・中途解約はできない |
年金の型は「1口目」と「2口目以降」で選ぶ
国民年金基金は口数制です。1口目は、終身年金のA型かB型を選びます。A型は保証期間があり、年金を受け取る前や保証期間中に亡くなると遺族一時金が出ます。1口目は、あとから減らしたり型を変えたりできません。
2口目以降は、終身年金(A型・B型)か、受け取る期間が決まった確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型)から選びます。確定年金の年金額は、終身年金の年金額(1口目を含む)を超えないように組む決まりがあります。加入時の年齢によって選べない型もあるため、国民年金基金の案内でご確認ください。
加入できる人・できない人
国民年金基金の案内による加入資格は次のとおりです。
加入できる人
- 日本国内に住む20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人
- 海外に住み、国民年金に任意加入している人
加入できない人
- 厚生年金に入っている会社員(第2号被保険者)と、その被扶養配偶者(第3号被保険者)
- 国民年金保険料の免除を受けている人(一部免除・学生納付特例・納付猶予を含む。産前産後期間・育児期間の免除などは例外)
- 農業者年金の被保険者
業務委託で働くフリーランスは、多くが第1号被保険者として加入できます。保険料を払えずに免除を受けると、その時点で基金の資格を失う点に注意が必要です。国民年金保険料と免除の仕組みは国民年金の記事で解説しています。
掛金の上限と2026年12月の引き上げ
掛金の上限は月額68,000円です。iDeCoにも入っている場合は、iDeCoの掛金と合わせて68,000円以内に収めます。
国民年金基金の案内では、政令の改正により、令和8年12月分の掛金から上限が75,000円に引き上げられます。令和8年12月分の掛金は、令和9年2月の月初に引き落とされます。令和8年11月分までは68,000円のままです。iDeCo側の上限の変更と時期はiDeCoの記事で整理しています。
掛金の払い方と増減
- 掛金は、指定した金融機関の口座から振り替えて納める
- 4月から翌年3月までの1年分をまとめて前納すると、0.1か月分が割り引かれる
- 加入後も、口数単位で増やしたり減らしたりできる(1口目は減らせない。前納した期間は減らせない)
掛金の額は、型・口数・加入時の年齢・性別で決まります。同じ口数でも人によって金額が違うため、具体的な金額は国民年金基金の掛金月額表やシミュレーションで確かめてください。
付加年金とは同時に入れない
国民年金には、月400円の付加保険料を納めて年金を増やす「付加年金」もあります。日本年金機構の案内では、国民年金基金の加入員は付加保険料を納められません。基金に入ると、付加年金はやめることになります。
付加年金は少額で始められ、iDeCoとは同時に加入できます(拠出限度額の範囲内で)。付加年金の仕組みは付加年金の記事をご覧ください。
iDeCoとの違い
| 比べる点 | 国民年金基金 | iDeCo |
|---|---|---|
| 年金額 | 加入時に型と口数で決まる | 運用の結果で変わる |
| 受け取り方 | 終身年金が基本(確定年金も組み合わせられる) | 一時金・有期年金など |
| 掛金の控除 | 社会保険料控除 | 小規模企業共済等掛金控除 |
| 掛金の上限 | 合わせて月68,000円(令和8年12月分から75,000円) | 同左 |
| やめられるか | 任意の脱退はできない | 掛金を止めることはできる。資産は原則60歳まで引き出せない |
| 手数料 | ― | 加入時・毎月の手数料がかかる |
どちらも掛金の全額が所得控除になり、税金の面では似ています。違いは、年金額が決まっているか、運用で変わるかです。
- 生きている限り受け取れる年金を、金額が分かる形で用意したい人は国民年金基金
- 運用で増やす可能性を取りたい人、掛金を止める余地を残したい人はiDeCo
選ぶときは、次の順で考えると整理しやすくなります。
- 毎月払い続けられる額を決める:案件が途切れた月でも払える額にする
- 終身で受け取りたい部分を決める:国民年金だけでは足りないと感じる分を、国民年金基金の1口目で用意するかを考える
- 残りをiDeCoや小規模企業共済に回す:運用で増やす部分や、廃業時に受け取る部分に分ける
- 付加年金をやめるかを確かめる:国民年金基金に入るなら付加年金とは併用できない
上限の範囲で両方を組み合わせることもできます。たとえば国民年金基金に月30,000円を払っている人は、改正後のiDeCoの上限は75,000円−30,000円=45,000円です。
税金の扱い
国税庁の「No.1130 社会保険料控除」では、国民年金基金の加入員が負担する掛金は社会保険料控除の対象です。その年に払った全額を所得から差し引けます。確定申告では、国民年金基金から届く控除証明書を使います。
国民年金基金の案内では、課税所得が約400万円の人が年30万円の掛金を払った場合、所得税と住民税が合わせて約9万円軽くなる試算が示されています(目安)。実際の効果は、その人の所得や控除の状況で変わります。
受け取る年金は、公的年金等控除の対象として課税されます。払う時期と受け取る時期で税金の扱いが変わる、と考えておくとよいでしょう。
法人化したり会社員に戻ったりしたら
会社員になったり、自分の会社から役員報酬を受けて厚生年金に入ったりすると、第1号被保険者ではなくなり、国民年金基金の資格を失います。それまでに払った掛金は引き出せず、将来の年金として受け取ります。
また、国民年金保険料を滞納した期間は、基金の年金を受け取れません。その期間の基金の掛金は返されますが、国民年金保険料は2年前までさかのぼって納められるため、滞納に気づいたら早めに納めましょう。法人化の考え方は法人化のタイミングの記事で解説しています。
よくある質問
国民年金基金とiDeCoは両方に入れますか?
入れます。ただし、掛金の上限は両方を合わせて月68,000円(令和8年12月分からは75,000円)です。国民年金基金の掛金を先に決め、残りの範囲でiDeCoの掛金を決めることになります。
国民年金基金の掛金はあとから減らせますか?
2口目以降は口数単位で減らせます。1口目は減らせず、前納した期間も減口できません。払うのが難しくなりそうなときは、早めに加入している国民年金基金にご相談ください。
国民年金保険料の免除を受けたら、基金はどうなりますか?
保険料の免除(一部免除・納付猶予などを含む)を受けると、国民年金基金の加入資格を失います。それまでの掛金は将来の年金として扱われます。産前産後期間の免除や、法定免除の人が納付を申し出た期間などは例外があるため、詳しくは国民年金基金でご確認ください。
参考にした公的情報・資料
- 国民年金基金制度(厚生労働省)
- 加入資格(国民年金基金)
- 給付の種類(国民年金基金)
- 掛金について(国民年金基金)
- 加入のメリット(国民年金基金)
- 掛金上限額の引き上げについて(国民年金基金)
- 付加保険料の納付(日本年金機構)
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。