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単価・報酬交渉

業務委託の交通費・経費は誰が負担する?契約での決め方と税金の扱い

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

業務委託の交通費や経費を、発注側とフリーランスのどちらが負担するかは、法律で一律に決まっているわけではなく、契約で決めます。よくあるのは「報酬に含まれる(自己負担)」「実費を報酬とは別に支払う」「出張など一部だけ別に支払う」の3つの形です。どの形かによって手元に残る額や請求のしかたが変わるため、参画前に契約書や発注書で確かめておくことが大切です。

会社員の通勤手当のように、決まった仕組みがあるわけではありません。この記事では、負担の決め方の種類、契約で確かめる点、税金の扱いを、2026年10月時点の公正取引委員会・国税庁の資料をもとに整理します。

交通費・経費の負担は3つの形がある

形内容気をつけること
報酬に含む月額の報酬の中に交通費などを含め、別には支払わない出社の頻度が増えるほど手元に残る額が減る
実費を別に支払うかかった交通費などを、報酬とは別に請求して受け取る上限、対象の範囲、請求の方法と締め日を確かめる
一部だけ別に支払う通勤の交通費は報酬に含め、遠方への出張や宿泊だけ別に支払うどこからが「出張」かの線引きを確かめる

フリーランスのエンジニアやコンサルの準委任案件では、常駐先への通勤の交通費は報酬に含め、発注側の指示による出張の費用だけ別に支払う形がよく見られます。ただし、案件によって大きく違うため、「この案件ではどうか」を個別に確かめる必要があります。

交通費以外の経費

交通費のほかにも、誰が負担するかを決めておきたい費用があります。

特にソフトウェアやクラウドの利用料は、参画後に「自分のアカウントで使ってほしい」と言われて自己負担になることがあります。業務に必要な費用は、参画前に負担の範囲を確かめておきます。

フリーランス法で求められる「報酬の額」の示し方

2024年11月に施行されたフリーランス法では、発注事業者は業務を委託したら直ちに、報酬の額や支払期日などの取引条件を、書面または電子メールなどで明示することとされています。

公正取引委員会のパンフレットでは、フリーランスの業務に必要な諸経費を発注事業者が負担する場合、「報酬の額」は諸経費を含めた総額が把握できるように明示する必要があるとされています。つまり、交通費などを発注側が負担するなら、その分も含めて受け取る金額が分かるように示されるべき、ということです。

委託の時点で金額が分からない場合

出張の回数が決まっていないなど、委託の時点で経費の額が分からないこともあります。公正取引委員会のQ&A(問39)では、諸経費の扱いを記載することが難しい正当な理由があり、「別途協議」としてもフリーランスが不利益を受けない場合には、そのような記載も可能とされています。ただし、具体的な金額を示せるようになったら、速やかに協議して決め、直ちに明示する必要があるとされています。

「交通費は別途協議」と書かれた契約を受け取った場合は、いつ・どのように決めるのかを確かめ、決まった内容を書面やメールで残しておくと安心です。取引条件の明示の全体像はフリーランス新法の取引条件の明示の記事で解説しています。

参画前に確かめる6つのこと

交通費や経費の扱いは、面談や条件の提示の段階で確かめ、合意した内容が契約書や発注書に書かれているかを見ます。

  1. 負担の形:報酬に含むのか、実費を別に支払うのか、一部だけか
  2. 出社・出張の頻度:「必要に応じて出社」とだけ書かれていないか。頻度の目安はどのくらいか
  3. 対象の範囲:通勤・客先への移動・出張・宿泊のどれが対象か。タクシーや新幹線の指定席は対象か
  4. 上限:1か月あたりや1回あたりの上限はあるか
  5. 請求の方法:報酬の請求書に一緒に書くのか、別の精算書を出すのか。領収書は必要か
  6. 支払の時期:報酬と同じ日に支払われるのか、別の締めで支払われるのか

立て替える金額が大きくなる出張が多い案件では、支払の時期が資金繰りに影響します。支払の時期の考え方は支払サイトの記事で整理しています。

常駐とリモートで変わる負担

常駐案件では通勤の交通費が毎月かかり、リモート案件では通信環境や作業場所の費用を自分で整えるのが一般的です。地方から参画して、ときどき出社する案件では、1回の移動の費用が大きくなります。働き方ごとの考え方は常駐案件とリモート案件の違い、地方在住で案件を受ける方法、フルリモートの案件の探し方で解説しています。

面談や顔合わせの交通費

参画前の面談や、参画初日の顔合わせ・入館証の受け取りのために出向く場合の交通費も、扱いは案件によって違います。契約の前の移動は、契約の対象に入らないことが多いため、自分で負担する前提で考えておくと見込み違いが起きにくくなります。遠方から出向く必要があるときは、オンラインでの面談ができないか、移動の費用をどう扱うかを、応募の段階で確かめておきます。

税金の扱い:自分で負担した交通費は経費になる

所得税

国税庁は、必要経費を「総収入金額を得るために直接要した費用」や「業務上の費用」と説明しています。業務のための交通費を自分で負担した場合は、旅費交通費として経費に計上するのが一般的です。私用の移動と混ざった費用は、業務の分を区分できる範囲でだけ経費になります。経費の範囲は経費にできるものの記事で整理しています。

交通費を発注側から報酬とは別に受け取る場合は、受け取った分を収入に入れ、支払った交通費を経費にするなど、受け取り方に合わせた処理が必要です。受け取った交通費を収入に入れずに、支払った交通費だけを経費にすると、経費を二重に差し引くことになります。

日付・区間・金額・目的を記録し、交通系ICカードの利用履歴や領収書を残しておくと、請求と帳簿の両方で説明しやすくなります。

源泉徴収の対象になる報酬の場合

原稿料や講演料など、源泉徴収の対象になる報酬と一緒に交通費や宿泊費を受け取る場合は注意が必要です。国税庁によると、旅費などの名目で支払われるものも、原則として報酬・料金に含めて源泉徴収の対象になります。ただし、支払者が交通機関やホテルなどへ直接支払った、通常必要な範囲の交通費や宿泊費は、報酬に含めなくてもよいとされています。

研修の講師や登壇を受けて交通費が別に支払われる場合、交通費にも源泉徴収がかかっていることがあります。どの報酬が源泉徴収の対象になるかは源泉徴収の記事で解説しています。

立替金として精算する場合

発注側の費用を立て替えて支払い、その分を精算する形もあります。国税庁のインボイスQ&A(問94)では、立替払をした事業者が立替金精算書などを交付することで、立替えを受けた側が仕入税額控除の要件を満たせる場合があることが示されています。

報酬の一部として受け取るのか、立替金として精算するのかで、請求書の書き方や消費税・所得税の処理が変わることがあります。取引先が求める精算の方法を確かめ、処理に迷う場合は税理士などの専門家にご相談ください。

よくある質問

常駐先への通勤の交通費は請求できますか?

契約で決まります。報酬に含まれる契約なら、別に請求することはできません。別に支払う契約なら、決められた方法で請求します。どちらか書かれていない場合は、参画前に確かめ、合意した内容を契約書や発注書に書いてもらうと安心です。

交通費込みの報酬で、自分で払った交通費は経費にできますか?

業務のための移動であれば、自分で負担した交通費は経費に計上するのが一般的です。日付・区間・金額・目的を記録しておきます。通勤と私用の移動が混ざる場合は、業務の分を区分できる範囲で経費にします。個別の判断は税理士などの専門家にご相談ください。

交通費を請求するとき、請求書には何を書けばよいですか?

報酬とは分けて、交通費の合計額と、日付・区間・金額の明細を書くのが分かりやすい方法です。領収書や利用履歴の添付が求められるかは取引先によって違うため、請求の方法を事前に確かめてください。税込・税別の書き方は報酬は税込か税別かの記事で整理しています。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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