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Web制作・デザインWordPressエンジニアのフリーランス案件の選び方|契約前に確かめたいこと
公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト
WordPressエンジニアの案件選びで差が出るのは、報酬の額より、作る範囲、サイトの今の状態、本番への反映の方法、保守の範囲と急ぎの対応の扱いです。同じ「保守」「構築」の募集でも、更新が何年も止まったサイトを預かるのか、検証環境が整ったサイトに入るのかで、負担もリスクもまったく違います。
この記事では、WordPressの案件で契約前に確かめたい6つの点と、確かめた内容を書面と照らし合わせる方法を整理します。契約全般の確認点は業務委託契約で確かめたいことで解説しているので、ここではWordPressの案件に固有の点に絞ります。
WordPressの案件選びで差が出る理由
WordPressの案件は、募集の文面だけでは中身が見えにくい職種です。理由は次の3つです。
- 「WordPressの経験」の幅が広い:管理画面の設定で組み立てる仕事から、独自ブロックやプラグインをコードで書く仕事まで、同じ言葉で募集される
- サイトの状態が見えない:使われているテーマやプラグイン、PHPの版、本体のファイルを直接書き換えた跡は、入ってみるまで分からないことが多い
- 保守の範囲があいまいになりやすい:「保守」に、更新だけを含めるのか、小さな修正や問い合わせ、障害の対応まで含めるのかが現場ごとに違う
これらは参画した後に分かると、稼働の見込みや報酬の前提が崩れます。面談と事前の確認で、できるだけ先に聞いておくことが大切です。報酬の考え方はWordPressエンジニアの報酬の記事をご覧ください。
契約前に確かめたい6つの点
1. 作る範囲は、テーマか、機能か、設定か
最初に確かめるのは、仕事の中心が何かです。テーマのテンプレートを組む仕事か、独自ブロックやプラグインを書く仕事か、既製のテーマとプラグインで組み立てる設定の仕事かで、求められる技術も、かかる時間も変わります。デザインを誰が担うか、入力するデータの流し込みや編集者向けの説明が含まれるかも、あわせて聞いておきます。
2. サイトの今の状態
運用中のサイトに入る案件では、次の点を聞いておきます。
- 使われているWordPressとPHPの版
- テーマの種類(既製のテーマか、子テーマか、独自のテーマか)
- 更新が止まっているプラグインや、本体・プラグインのファイルを直接書き換えた箇所の有無
- 最後に本体やプラグインを更新した時期
WordPressの公式サイトでは、正式にサポートされるのは最新版だけだと説明されています。PHPの公式サイトでは、2026年10月時点でサポートされている版は8.2〜8.5で、8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日までとされています。古い版のまま長く運用されてきたサイトでは、更新を始めた途端に不具合が出ることがあり、保守の案件でも実質は改修の仕事になることがあります。
3. 環境と、本番への反映の方法
検証環境があるか、本番への反映をどの方法で行うか(管理画面から、ファイルの転送で、仕組みを使って自動で、など)、反映するのは自分か発注元か、バックアップは誰がどこで取っているかを確かめます。検証環境がなく、本番で直接作業することを求められる案件は、障害が起きたときの責任の線があいまいになりやすい点に注意が必要です。リモートで受けるときの分かれ目はWordPressエンジニアのリモート案件の記事で解説しています。
4. 保守の範囲と、急ぎの対応の扱い
保守の案件では、範囲に含まれる作業を一つずつ確かめます。
| 確かめる点 | 聞いておきたいこと |
|---|---|
| 定期の作業 | 本体・テーマ・プラグインの更新の頻度、バックアップの確認 |
| 小さな修正 | どの程度までを保守に含めるか、件数や時間の目安 |
| 問い合わせ | 誰から、どの手段で来るか、返答の目安 |
| 障害の対応 | 稼働日以外や夜間の連絡にどこまで応じるか、応じた時間の扱い |
| 範囲外の依頼 | 新しいページや機能の追加を、別の見積もりにするか |
範囲が決まっていないまま始めると、依頼が少しずつ増え、稼働の幅を超えやすくなります。稼働時間の精算は精算幅の記事、範囲が広がったときの考え方は作業範囲が広がったときの契約の扱いをご覧ください。
5. 契約の形と、負う責任の範囲
準委任の契約か、請負の契約かで、負う責任が変わります。構築の案件では、成果物の完成を約束する請負の形になることがあり、公開後の不具合をいつまで、どこまで直すかが問題になります。保守の案件で請負に近い書き方になっていないか、障害が起きたときに損害の責任を負う書き方になっていないかを確かめましょう。契約の形の違いは準委任と請負の違い、不具合の責任の考え方は契約不適合責任の記事で解説しています。
6. コードの権利と、公開してよい範囲
自分で作ったブロックやプラグイン、テーマの権利が、納品後に誰のものになるかを確かめます。手元で作り置きしている部品を案件で使う場合は、その部品の権利をどう扱うかも先に決めておきます。WordPressや多くのプラグインはオープンソースのライセンスで公開されているため、それを組み込んだコードの扱いにも注意が必要です。考え方はオープンソースのライセンスの記事が参考になります。制作の実績として公開してよいかも、このときにあわせて聞いておくと後で困りません。
確かめた内容を書面と照らし合わせる
面談や事前の確認で聞いた内容は、契約の前に書面と照らし合わせます。フリーランス法では、発注する事業者はフリーランスに業務を委託したら直ちに、業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を、書面またはメールなどの電磁的方法で明示することとされています(2026年10月時点、公正取引委員会の案内による)。明示される事項の内容はフリーランス法で明示される取引条件をご覧ください。
WordPressの案件では、特に次の点が書面に反映されているかを確かめます。
- 業務の内容に、作る範囲(テーマ、ブロック、プラグイン、設定)や保守の範囲が書かれているか
- 稼働日以外の対応や障害の対応の扱いが、書面とずれていないか
- 稼働の幅と、超えたときの精算方法
- 納品の後に直す範囲と期間(請負の場合)
- コードの権利と、実績として公開してよい範囲
- 契約期間と更新の時期
面談で聞いておくとよい質問はWordPressエンジニアの面談の記事の逆質問の項目でも紹介しています。一般的な逆質問の考え方は面談で聞いておくべき逆質問をご覧ください。
よくある質問
更新が長く止まっているサイトの案件は避けたほうがよいですか?
避ける必要はありません。版上げや改修の経験を積める案件でもあります。大切なのは、サイトの状態を知ったうえで受けることです。最初の数週間を調査にあてる、改修の作業を保守とは別の範囲にする、といった形で条件をそろえられるかを確かめましょう。
面談でサイトの版や更新の状況を聞くのは失礼ですか?
失礼ではありません。運用中のサイトを任せる発注元にとっても、状態を確かめようとする人のほうが安心できます。答えられる範囲で教えてもらい、分からない点は参画後の最初の作業として調べる、と合意しておけば十分です。
報酬の高い案件と、範囲のはっきりした案件で迷ったらどうしますか?
報酬が高くても、保守の範囲や急ぎの対応の扱いがあいまいな案件は、稼働が膨らんで時間あたりの報酬が下がることがあります。月の稼働の見込みと範囲を並べて比べ、迷う場合は、範囲を書面で確かめられるほうを優先するのがおすすめです。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。