業務委託の契約更新の仕組み|更新されないときの理由と対策
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスの業務委託は、数か月ごとなど期間を区切った契約を結び、満了の前に双方が続けるかを決めて更新していく形が一般的です。更新は約束されたものではなく、プロジェクトのフェーズ、予算、体制の変化など、本人の評価以外の理由で更新されないことも多くあります。
更新されないことを完全に防ぐことはできませんが、更新の判断の時期と基準を早めに知り、期待とのずれを参画中に埋めておくと、更新につながりやすくなります。また、6か月以上続いた契約を発注者が更新しない場合は、フリーランス法の30日前予告のルールも関わります。
更新の基本的な仕組み
期間を区切った契約を積み重ねる
業務委託の案件では、基本契約で共通のルールを決め、個別契約や発注書で期間・業務内容・報酬を決める形がよく使われます。個別契約の期間が満了すると、続ける場合は次の期間の個別契約を結びます。基本契約と個別契約の関係は基本契約と個別契約の記事で解説しています。
更新の方法は、契約によって大きく二つに分かれます。
| 方式 | 仕組み | 確かめること |
|---|---|---|
| 都度合意で更新 | 満了ごとに双方が合意して、次の期間の契約を結ぶ | 更新の意向を確認される時期 |
| 自動更新 | 満了の一定期間前までに申し出がなければ、同じ条件で更新される | 更新を止める申し出の期限と方法 |
自動更新の契約でも、条件を変えたいときや、やめたいときは期限までに申し出る必要があります。期限を過ぎると、意図しないまま次の期間も続くことになるため、契約書の更新条項を参画の時点で確認しておきます。
更新が決まるまでの流れ
一般的には、次の順で進みます。
- 期間満了の前に、発注側が次の期間も続けるかを社内で判断する
- 案件紹介サービスを通している場合は、担当者からフリーランスに更新の意向が伝えられ、続けたいかを聞かれる
- 条件(期間・報酬・業務範囲)に変更があれば調整する
- 次の期間の契約を結ぶ
発注側の判断は、満了のぎりぎりではなく、ある程度前に行われることが多いため、更新の意向を確認される時期を参画のときに聞いておくと、次の動き方を考えやすくなります。
更新のときに条件が変わることもある
更新は「同じ条件で続ける」だけではありません。次のような変化が起きることがあります。
- 報酬の見直し:担う役割が広がった、成果が評価されたなどの理由で、単価の見直しを相談する
- 業務範囲の変更:フェーズが変わり、開発から運用・保守に移るなど
- 稼働日数の変更:週5日から週3〜4日に減らす、またはその逆
- 期間の変更:これまでより長い期間、または短い期間で契約する
条件が変わる場合は、変更後の内容を書面やメールで受け取ることが大切です。公正取引委員会のフリーランス法Q&Aでは、施行前の契約が施行後に更新(自動更新を含む)された場合について、新たな業務委託が行われたものとして取引条件の明示が必要としています(従前の契約書に明示事項がすべて書かれ、内容に変更がなければ改めての明示は不要)。更新のたびに条件を書面やメールで確かめておくと安心です。既存の契約書で明示すべき事項がそろっていて変更がない場合は、改めて示し直す必要はないとされています(2026年10月時点で確認)。
単価の見直しを相談するタイミングと伝え方は単価交渉の記事で解説しています。
更新されない主な理由
更新されない理由は、大きく分けると次の3つです。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| プロジェクト側の事情 | フェーズの終了、予算の縮小、方針の変更、体制の縮小、社内メンバーへの引き継ぎ |
| 期待とのずれ | 求められていた役割と実際の動きが合わない、必要な技術の深さが足りない |
| 進め方・やり取りのずれ | 報告や相談のタイミング、チームとの連携、稼働時間の使い方 |
プロジェクト側の事情は、本人の評価と関係がないことも多い
開発のフェーズが終われば、必要な人数は減ります。予算や方針が変われば、業務委託の枠そのものがなくなることもあります。こうした理由で更新されない場合、本人の評価とは関係がないことが多く、次の案件でも同じように評価される経験として扱えます。
期待とのずれは、参画中に埋められることがある
更新されない理由のうち、本人の動き方で変えられるのは主に「期待とのずれ」と「進め方のずれ」です。面談で聞いていた役割と、現場で期待されている役割が少しずつ違っていた、ということは珍しくありません。ずれは、参画してからの数週間で表に出てくることが多いため、その時期に確認しておくと、更新の判断に影響しにくくなります。
更新につなげるために参画中にできること
- 期待されている役割を早めに確かめる:参画して数週間のうちに、依頼の窓口になる人と「何を任されているか」をすり合わせる
- 報告の頻度と形を合わせる:チームのやり方に合わせ、進捗や課題を早めに共有する
- 業務範囲の変化を相談する:契約の範囲を超える作業が増えてきたら、担当者に相談する
- 更新の判断の時期を把握する:次の期間の判断がいつ行われるかを知っておく
- 自分の意向を先に伝える:続けたい、条件を変えたい、やめたいなどの意向を、判断の前に伝える
業務範囲が契約と違ってきた場合は、自分で抱え込まずに相談することが大切です。指示の受け方が契約の形と合わなくなると、偽装請負の記事で解説している問題につながることもあります。
6か月以上の契約を更新しない場合の30日前予告
フリーランス法第16条では、従業員を使う発注者が、継続的な業務委託の契約を解除しようとする場合、少なくとも30日前までに予告しなければならないとされています。この「解除」には、契約期間の満了後に更新しない場合も含まれます。対象になる継続的な業務委託は、6か月以上の業務委託です。
予告を受けたフリーランスは、予告の日から契約が満了する日までの間に、解除の理由の開示を求めることができ、発注者は原則として遅滞なく開示しなければなりません(2026年10月時点で確認)。
更新を重ねた期間は通算されることがある
1回ごとの契約が短くても、更新を重ねて通算で6か月以上になれば、対象になることがあります。公正取引委員会のQ&Aでは、更新によって継続しているといえるのは、次の2つを満たす場合と整理されています。
- 契約の当事者が同じで、業務の内容に一定の同一性があること
- 前の契約と次の契約の間の空白期間が1か月未満であること
当事者が同じかどうかは法人単位で判断され、グループ会社同士は別の当事者として扱われるとされています。
予告がなかった場合の扱い
同じQ&Aでは、予告の義務に違反した場合でも、解除の効力がこの法律に基づいて判断されるわけではなく、効力や損害賠償は民事上の問題として扱われるとされています。予告が不要になる例外もあります。詳しくは中途解除の30日前予告の記事をご覧ください。
自分から更新しないと決めたとき
自分から次の期間を続けないと決めた場合は、契約の途中でやめるより、満了に合わせて伝えるほうが調整しやすくなります。
- 契約書で、更新しない旨を申し出る期限と方法を確かめる
- 担当者に、期限より前に伝える。口頭で伝えたあと、メールでも送る
- 最終月の稼働と報酬、引き継ぎの範囲を確認する
途中でやめる場合の扱いは中途解約の記事で整理しています。
更新されないと分かったら
更新されないと分かったら、次の案件を探し始めるのは早いほど選択肢が増えます。
- 最終日と最終月の報酬、入金日を確かめる
- 更新されない理由を担当者を通して聞き、次の案件選びに生かす
- スキルシートに今の案件の経験を書き足す
- 次の案件の相談を始める
空白期間を短くする準備は案件が途切れたときの記事にまとめています。
よくある質問
更新されるかどうかは、いつ頃分かりますか?
案件によって違いますが、発注側は満了の少し前に次の期間を続けるかを判断することが多くあります。参画の時点で、更新の意向を確認される時期を担当者に聞いておくと、次の動き方を考えやすくなります。6か月以上続いた契約を発注者が更新しない場合は、原則として30日前までに予告されます。
更新されなかった理由は教えてもらえますか?
案件紹介サービスを通している場合は、担当者を通して聞くことができます。フリーランス法では、6か月以上の継続的な業務委託で不更新の予告を受けた場合、契約が満了する日までの間に理由の開示を求めることができます。ただし、第三者の利益を害するおそれがある場合などの例外があります。
更新のときに単価の見直しを相談してもよいですか?
相談してかまいません。担う役割が広がった、成果が出たなど、理由を具体的に伝えると話が進みやすくなります。発注側が次の期間の判断をする前に伝えるのが基本です。伝え方は単価交渉の記事で解説しています。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。