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フリーランス新法・下請法中途解除の30日前予告|フリーランス新法のルールと例外
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランス新法では、6か月以上の業務委託を発注者が途中で解除する場合や、契約期間の満了後に更新しない場合、原則として少なくとも30日前までにフリーランスへ予告しなければなりません(第16条)。予告を受けたフリーランスは、契約が満了する日までの間であれば、解除の理由の開示を求めることができます。
ただし、災害などで予告が難しい場合や、フリーランス側に重大な問題がある場合など、予告が不要になる例外が5つ決められています。対象になる契約の範囲と、例外の中身を押さえておきましょう。
30日前予告の対象になる契約
発注者が「特定業務委託事業者」であること
この義務を負うのは、従業員を使用する個人、または役員が2人以上いるか従業員を使用する法人(特定業務委託事業者)です。従業員のいないフリーランス同士の取引には適用されません。
6か月以上の業務委託であること
対象は「継続的業務委託」で、6か月以上の期間行う業務委託と、契約の更新によって6か月以上継続することになる業務委託を指します。たとえば3か月契約を更新して6か月以上続く場合も含まれます。
更新により継続しているといえるには、次の2つを満たす必要があります。
- 契約の当事者が同じで、業務の内容が一定程度同じであること
- 前の契約が終わった日の翌日から、次の契約を結んだ日の前日までの空白期間が1か月未満であること
基本契約を結び、その下で個別契約を結んでいる場合は、基本契約も予告の対象に含まれます。
発注者からの一方的な解除・不更新であること
「契約の解除」は、発注者からの一方的な意思表示による解除をいいます。フリーランス側から解除する場合は対象外です。双方の合意で契約を終える場合も対象外ですが、その合意がフリーランスの自由な意思によるものかは慎重に判断されるとされています。
また、契約書に「一定の事由があれば予告なく解除できる」と書かれていても、それだけで予告が不要になるわけではありません。後で説明する例外にあたらない限り、予告が必要です。
「更新しない」も予告の対象になる
この法律では、契約期間の満了後に更新しないこと(不更新)も、解除と同じく予告の対象です。不更新とは、契約が満了する日から1か月以内に次の契約を結ばないことをいいます。考え方では、該当する例と該当しない例が示されています。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 予告が必要な不更新 | 切れ目なく更新されてきた(または更新が想定される)契約を更新しない |
| 予告が必要な不更新 | 断続的な業務委託で、発注者が取引を停止するなど次の発注をしない |
| 予告の対象外 | 業務の性質上、1回限りであることが明らかな委託 |
| 予告の対象外 | 断続的な委託で、次に発注できるかが発注者にもわからない場合 |
最後の例でも、次の発注をしないことが明らかになった時点で伝えることが望ましいとされています。
フリーランスの案件では、1〜3か月単位の契約を更新しながら続けることがよくあります。この場合、1回ごとの契約期間は短くても、更新を重ねて通算6か月以上になれば予告の対象に入ります。ただし、1回ごとの契約期間が30日以下の場合は、後で説明する例外にあたることがあります。自分の契約が通算で何か月続いているかを、契約書や個別契約の日付で把握しておくと、予告の有無を判断しやすくなります。
「30日前」の数え方と予告の方法
数え方
公正取引委員会のQ&Aでは、予告の日から解除日の前日までに30日間が確保されている必要があるとしています。例として、8月31日に解除する場合は、8月1日までに予告する必要があります。不更新の場合は、契約満了日が基準になります。
方法
予告は、次のいずれかの方法で行う必要があります。
- 書面を渡す
- ファクスで送る
- 電子メール、SMS、SNSのメッセージ機能など、相手を特定して送る方法(受け取った側が印刷して書面にできるものに限る)
Q&Aでは、音声データや自動で消える機能を使った方法、スクリーンショットを制限する方法は認められないとされています。口頭や電話だけで「来月で終わりです」と伝えるのは、この予告の方法にあたりません。メールなどは、フリーランスが内容を確認できる状態になった時点で届いたものとみなされます。
予告が不要になる5つの例外
厚生労働省令では、次の場合は30日前の予告をしなくてよいとしています。
- 災害その他やむを得ない事由で予告が難しい場合:天災に準ずるような不可抗力で突発的な事由により、予告すること自体が難しい場合
- 元の発注者からの契約が解除され、再委託した業務の大部分が不要になった場合:仲介会社などを通じた再委託で、元の契約が解除されたため直ちに解除が必要な場合
- 契約期間が30日以下の個別契約を解除する場合:基本契約の下での個別契約や、更新で続いている契約のうち、1つの契約期間が30日以下のもの
- フリーランスの責めに帰すべき事由で直ちに解除が必要な場合:30日前の予告をさせることが釣り合わないほど重大・悪質なものに限られる
- 基本契約があり、フリーランスの事情で相当な期間発注していない場合:相当な期間はおおむね6か月以上と解されている
4つ目の例として、考え方では、業務に関連した刑法犯にあたる行為、委託の条件となる経歴や能力の詐称、合理的な理由なく業務をまったく、またはほとんど提供しない場合、業務内容から著しく逸脱した悪質な行為を改善の求めにも応じず続ける場合などが挙げられています。これらは限定列挙ではありません。一方で、破産や差押えがあったことだけで自動的にこの例外にあたるわけではなく、個別に判断されるとQ&Aで示されています。
解除の理由を開示してもらう方法
予告を受けたフリーランスは、予告の日から契約が満了する日までの間に、解除の理由の開示を請求できます。請求を受けた発注者は、遅滞なく、書面・ファクス・電子メール等のいずれかで開示しなければなりません。
開示しなくてよいのは、次の場合に限られます。
- 理由を開示すると、第三者の利益を害するおそれがある場合
- 理由を開示すると、法律上の守秘義務など他の法令に違反する場合
予告の例外にあたる場合は、理由開示の請求の対象になりません。一方、発注者が予告義務に違反した場合は、フリーランスは理由の開示を請求できると解されています。
理由を書面で受け取っておくと、次の案件の面談で終了の経緯を説明するときや、改善点を考えるときの材料になります。
予告がなかったときの効力と対応
Q&Aによると、予告義務に違反したからといって、解除の効力が直ちに否定されるわけではありません。解除の効力や損害賠償は、民事上の問題として個別に判断されます。民法では、準委任(委任)は各当事者がいつでも解除できる一方、相手方に不利な時期に解除した場合などは、やむを得ない事由がない限り損害を賠償しなければならないとされています(民法651条)。
予告なく解除された場合の進め方は、次のとおりです。
- 解除の連絡(日時・方法・内容)を記録に残す
- 契約期間が通算で6か月以上か、例外にあたる事情がないかを確認する
- 発注者に、予告の有無と理由の開示を書面で求める
- 解決しない場合は、厚生労働省(都道府県労働局)への申出や、フリーランス・トラブル110番への相談を検討する
フリーランス新法の就業環境の整備に関する部分は、主に厚生労働省が担当しています。相談先の選び方は相談先の記事にまとめています。個別の事案は、弁護士などの専門家にご相談ください。
よくある質問
3か月契約を更新して半年続いた場合も、30日前予告の対象ですか?
対象になります。契約の更新によって6か月以上継続することとなる業務委託も「継続的業務委託」に含まれます。当事者と業務内容が一定程度同じで、契約と契約の間の空白期間が1か月未満であれば、更新により継続しているものとして扱われます。
発注者から「双方合意で終了」と言われた場合も予告は必要ですか?
双方の合意による契約終了は、法律上の「契約の解除」にはあたらないため、予告義務の対象外です。ただし、合意がフリーランスの自由な意思に基づくものかは慎重に判断されるとされています。一方的に通知された内容を「合意」として扱われていないか、書面の文言を確認してください。
解除の理由はいつまでに請求すればよいですか?
予告がされた日から、契約が満了する日までの間に請求します。契約が終わった後では、この法律に基づく請求はできません。理由の開示はメールでも受け取れるため、予告を受けたら早めに請求しておくと安心です。
参考にした公的情報・資料
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(公正取引委員会・厚生労働省)
- フリーランス法に関するQ&A(公正取引委員会)
- フリーランス・事業者間取引適正化等法 パンフレット(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)
- 民法(e-Gov法令検索)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。