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任意継続と国民健康保険のどちらを選ぶか|保険料の比べ方と切り替えの注意点

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、前年の所得・扶養する家族の人数・住んでいる市区町村で変わるため、両方の金額を出して比べるのが現実的な方法です。目安としては、会社員時代の給与が高かった単身の人は上限のある任意継続が、扶養する家族が多い人は家族の分の保険料がかからない任意継続が有利になりやすく、退職前の所得が低い人や国保の軽減を受けられる人は国民健康保険が有利になりやすい傾向があります。

任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出ないと選べません。退職前に、市区町村で国民健康保険料の目安を確かめておきましょう(2026年10月時点)。

2つの制度の違いを一覧で見る

協会けんぽの任意継続と、市区町村の国民健康保険の主な違いは次のとおりです。

項目任意継続(協会けんぽ)国民健康保険
加入できる期間最長2年間期間の定めなし
加入の条件退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間ほかの健康保険に入っていない人
手続きの期限退職日の翌日から20日以内資格を得てから14日以内
保険料の決まり方退職時の標準報酬月額×保険料率(上限あり)前年の所得と加入者数・世帯で計算
家族の保険料被扶養者の分はかからない加入者1人ごとに均等割がかかる
2年目の保険料原則として変わらない前年(独立1年目)の所得で計算し直す
窓口住所地の協会けんぽ支部住所地の市区町村

健康保険組合に加入していた人は、組合ごとに保険料の上限などが違います。組合の案内もあわせてご確認ください。

任意継続の保険料の決まり方

任意継続の保険料は、会社員のときと違って全額を自分で負担します。会社が半分を払っていた分がなくなるため、退職前の保険料のおよそ2倍が目安になります。

計算式は次のとおりです。

標準報酬月額の上限は32万円

ただし、任意継続には上限があります。協会けんぽの場合、令和8年度の任意継続の標準報酬月額の上限は32万円です。退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた人も、32万円で計算します。

この上限は、前年9月30日時点の協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均をもとに毎年度決まります。令和7年9月30日時点の平均は318,100円で、これが32万円の等級にあたるため、令和8年度の上限は32万円になりました。

令和8年度の料率

協会けんぽの令和8年度の料率の例は次のとおりです。

区分料率
都道府県単位保険料率(東京都)9.85%
都道府県単位保険料率(千葉県)9.73%
都道府県単位保険料率(大阪府)10.13%
子ども・子育て支援金率(全国一律)0.23%
介護保険料率(40〜64歳・全国一律)1.62%

任意継続の保険料率は令和8年4月分から、子ども・子育て支援金は4月分(5月納付分)から適用されています。料率は都道府県ごとに違い、毎年度見直されます。

計算例:千葉県柏市・単身の場合で比べる

国民健康保険の記事で使った柏市の例と同じ条件で、任意継続の保険料と並べます。端数の扱いなどを省いた目安です。

年齢任意継続(千葉県・上限32万円)国民健康保険(柏市)
39歳以下32万円×9.96%=月31,872円(年約38.2万円)年約52万円
40〜64歳32万円×11.58%=月37,056円(年約44.5万円)年約64万円

この条件では任意継続のほうが低い計算になります。国民健康保険は所得に料率をかけて計算するため、給与が高かった人ほど差が広がります。一方で、前年の所得が低かった人は、国民健康保険のほうが安くなることがあります。

お住まいの市区町村や都道府県が違えば、結果は変わります。この例は計算の流れをつかむためのものとしてご覧ください。

家族がいる場合は差が大きくなる

国民健康保険には「扶養」の考え方がなく、加入する家族1人ごとに均等割がかかります。配偶者や子どもと一緒に国保に入ると、人数分だけ保険料が増えます。なお、未就学児の均等割の軽減や、18歳未満の子ども分の均等割の軽減などはあります。

任意継続では、条件を満たす家族を被扶養者にでき、被扶養者の分の保険料はかかりません。扶養する家族が多いほど、任意継続が有利になりやすいといえます。

ただし、資格を取ると同時に家族を被扶養者として届け出る場合、生計維持の関係を証明する書類を求められることがあります。家族が自分で会社の健康保険に入れる場合や、別の人の扶養に入れる場合など、家族の状況によって最適な組み合わせは変わります。扶養の条件は扶養の記事をご覧ください。

2年目に見直すときの考え方

任意継続の保険料は、原則として2年間変わりません。介護保険の対象年齢になったとき、料率が改定されたとき、上限が変わったときなどは変わることがあります。

一方、国民健康保険料は、毎年度、前年の所得で計算し直します。独立した翌年度からは、フリーランスとしての所得(売上から経費や青色申告特別控除などを引いた額)が基準になります。

このため、1年目は任意継続、2年目は国保のほうが安くなるというケースがあります。協会けんぽの任意継続は、本人が資格喪失の申出書を出せば、2年を待たずにやめられます。やめた後は国民健康保険への加入の手続きが必要です。

任意継続が終わる主な場面

保険料を1回でも期限までに払わないと資格を失う点には注意が必要です。口座振替や前納を使うと、払い忘れを防げます。

給付と払い方の違い

傷病手当金・出産手当金

会社員の健康保険には、病気やけがで働けないときの傷病手当金、出産のときの出産手当金があります。任意継続では、加入中に起きた病気・けがによる傷病手当金と出産手当金は支給されません。在職中から続けて受けていた場合に限り、退職後も引き続き申請できます。

国民健康保険にも、原則としてこれらの給付はありません。フリーランスになると、働けない期間の収入の備えは自分で用意することになります。

前納すると割り引かれる

任意継続の保険料は、毎月10日までの納付か口座振替で払います。6か月分(4〜9月分、10〜翌3月分)または12か月分をまとめて前納でき、年4%(複利現価法)で割り引かれます。年度の途中で加入した人は、加入した月の翌月分から9月分または3月分までをまとめて前納できます。

前納した領収証書は確定申告で使い、再発行はできないため保管しておきましょう。

どちらも社会保険料控除の対象

任意継続の保険料も国民健康保険料も、その年に払った額は所得税・住民税の社会保険料控除の対象です。確定申告のときに1年分の合計を書き入れます。

比べるときの手順

  1. 任意継続の保険料を出す:退職時の標準報酬月額(上限32万円)×都道府県の料率(40〜64歳は介護保険料率も足す)
  2. 国民健康保険料を出す:市区町村の試算ツールで、前年の所得と加入する家族の人数を入れる
  3. 家族の分を確かめる:国保は家族の人数分の均等割がかかる。任意継続は被扶養者の分がかからない
  4. 軽減の対象か確かめる:倒産・解雇などで離職した人は、国保の非自発的失業者の軽減を受けられることがある
  5. 2年目の見通しを立てる:独立後の所得の見込みで、2年目に国保へ移るかを考える

国民健康保険の計算方法は国民健康保険の記事、退職後の手続き全体は退職後の手続きの記事で解説しています。

よくある質問

任意継続の期限の20日を過ぎてしまったらどうなりますか?

協会けんぽの案内では、退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝日の場合は翌営業日)に申出書が届いている必要があります。期限を過ぎると任意継続には加入できないため、国民健康保険への加入や、家族の扶養に入る手続きを進めることになります。正当な理由がある場合の扱いなどは、住所地の協会けんぽ支部にご確認ください。

任意継続の途中で国民健康保険に切り替えられますか?

協会けんぽの任意継続は、本人が資格喪失の申出書を出せば、加入期間の途中でもやめられます。その後は、市区町村で国民健康保険の加入の手続きをします。独立1年目の所得が下がった場合は、2年目の国保料を試算して比べてみるとよいでしょう。

法人化した場合、任意継続や国民健康保険はどうなりますか?

自分で会社を作り、その会社から役員報酬を受けると、原則として会社の健康保険と厚生年金に加入します。ほかの健康保険の被保険者になると任意継続の資格はなくなり、国民健康保険からも抜ける手続きが必要です。法人化の考え方は法人化のタイミングの記事で解説しています。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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