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パソコンは一括で経費にできる?減価償却の基本と40万円未満の特例

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

取得価額が10万円未満のパソコンは、使い始めた年に全額を経費にできます。10万円以上のパソコンは、原則として耐用年数の4年にわたって少しずつ経費にします(減価償却)。

ただし、一定の要件を満たす青色申告者は、令和8年(2026年)4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、使い始めた年に一度に経費にできます(年間合計300万円まで)。この記事では、金額ごとの扱いと計算方法を、国税庁の説明をもとに整理します(2026年10月時点)。

取得価額で変わる4つの扱い

国税庁の「減価償却のあらまし」によると、パソコンなどの資産は、取得価額によって次のように扱いが分かれます。

取得価額扱い対象者
10万円未満使い始めた年に全額を経費にする全員
10万円以上20万円未満一括償却資産として、合計額の3分の1ずつを3年間で経費にできる全員
10万円以上40万円未満少額減価償却資産の特例で、使い始めた年に全額を経費にできる(年間合計300万円まで)一定の要件を満たす青色申告者
上のどれも使わない場合耐用年数にわたって減価償却する全員

40万円未満の特例は、令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満が対象でした。令和8年度税制改正で上限が引き上げられ、適用期限は令和11年3月31日までに延びています。使用可能期間が1年未満のものも、10万円未満と同じく使い始めた年に全額を経費にできます。

表の中で、どの方法を使うかは選べます。たとえば15万円のパソコンなら、一括償却資産として3年に分ける方法も、青色申告者なら特例で一度に経費にする方法も、通常の減価償却もとれます。

取得価額の判定で迷いやすい点

「10万円未満かどうか」「40万円未満かどうか」の判定は、次の点に気をつけます。

消費税を含めるかどうか

国税庁によると、税込経理をしている人は消費税を含んだ金額で、税抜経理をしている人は消費税を含まない金額で判定します。免税事業者は税込経理になります。そのため、本体価格が税抜で38万円のパソコンでも、免税事業者なら税込の41万8,000円で判定し、40万円未満の特例は使えません。

インボイスの登録をして課税事業者になった人は、税抜経理を選ぶと判定に使う金額が下がります。消費税の経理方式は、消費税の納税の記事もあわせてご覧ください。

本体以外の費用

国税庁は、取得価額には購入代金のほか、引取運賃や購入手数料など、業務に使うために直接かかった費用を含めると説明しています。配送料や初期設定の費用を払った場合は、本体価格だけで判定しないようにしましょう。

青色申告者の少額減価償却資産の特例

この特例は、青色申告をしている中小規模の事業者が、少額の資産を買った年に一度に経費にできる制度です。財務省の令和8年度税制改正の大綱では、対象の取得価額を40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げ、適用期限を3年延ばすとし、所得税も同様とされました。あわせて、常時使用する従業員の数による要件も見直されています。一人で働くフリーランスの場合、問題になるのは主に青色申告をしているかどうかです。

使うときのポイントは次のとおりです。

青色申告の承認の受け方は青色申告の記事で解説しています。独立した年に高性能なパソコンを買う予定があるなら、承認申請の期限に間に合うかを先に確認しておくと、この特例を使えるかどうかがはっきりします。

通常の減価償却の計算方法(定額法)

特例を使わない場合や、40万円以上のパソコンは、耐用年数にわたって減価償却します。

パソコンの耐用年数は4年

国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」では、器具・備品のうち「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)」の耐用年数は4年、それ以外の電子計算機は5年です。開発用のノートパソコンやデスクトップは、通常4年で計算します。

個人は届出をしなければ定額法

個人事業者は、償却方法を税務署に届け出なければ、法定の方法(一般的には定額法)で計算します。定額法は、毎年ほぼ同じ金額を経費にする方法です。

計算例(仮の数字)

仮に、取得価額48万円のパソコンを7月に買い、その月から業務だけに使ったとします。

年計算経費にする額
1年目48万円×0.250×6/1260,000円
2年目48万円×0.250120,000円
3年目同上120,000円
4年目同上120,000円
5年目残りの60,000円から1円を残す59,999円

使い始めた月が遅いほど、1年目に経費にできる額は小さくなります。12月に使い始めれば、1年目は1か月分だけです。年末に駆け込みで買っても、通常の減価償却ではその年の経費はあまり増えません。

私用でも使うパソコン

1台を仕事と私用の両方で使っている場合は、償却費のうち業務に使った割合の分だけを経費にします。割合の考え方は家事按分の記事で解説しています。業務専用の端末を分けておくと、この按分の説明がいらなくなります。

3つの方法をどう選ぶか

同じパソコンでも、方法によってその年の経費が変わります。取得価額18万円(10万円以上20万円未満)の例で比べると、次のようになります(仮の数字。年の初めに使い始めた場合)。

方法1年目2年目3年目4年目
少額減価償却資産の特例(青色)180,000円0円0円0円
一括償却資産(3年)60,000円60,000円60,000円0円
定額法(4年)45,000円45,000円45,000円44,999円

一度に経費にするのが、いつも得とは限りません。経費は所得から差し引かれるだけなので、所得が少なく税率が低い年にまとめて経費にするより、所得が多い年に分けて計上したほうが税額が下がる場合もあります。独立1年目で売上が少ない年などは、どの方法が合うかを比べてから選びましょう。判断に迷う場合は、税理士・税務署にご相談ください。

よくある質問

2026年3月に買ったパソコンにも40万円未満の特例は使えますか?

使えません。令和8年3月31日までに取得した資産は、特例の上限が30万円未満です。30万円以上40万円未満のパソコンを2026年3月までに買った場合は、通常の減価償却で計算します。30万円未満なら、従来の特例の対象になります。

白色申告でもパソコンを一度に経費にできますか?

10万円未満のものは、白色申告でも使い始めた年に全額を経費にできます。10万円以上20万円未満なら、一括償却資産として3年に分ける方法も使えます。40万円未満を一度に経費にできる特例は、青色申告者だけが対象です。

家族と共用しているパソコンにも特例は使えますか?

青色申告者であれば特例の対象になりえますが、経費にできるのは業務に使った割合の分だけです。私用の割合が大きい場合は、その分を経費から除きます。割合の決め方に迷う場合は、税理士・税務署にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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