法人の決算と申告の流れ|一人会社が期末から2か月以内にやること
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
法人は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に、株主総会などで確定した決算にもとづいて法人税の確定申告書を税務署に出し、税金を納めます。法人住民税・法人事業税の申告と、消費税の課税事業者であれば消費税の申告も、原則として同じく2か月以内です。
個人の確定申告と違い、締め切りは会社ごとの決算日で決まります。利益が出なかった年も申告は必要で、法人住民税の均等割はかかります。一人会社でも、期末の前から段取りを決めておくと2か月の間に慌てずに済みます(2026年10月時点)。
期末から申告までのスケジュール
3月末が決算日の会社を例にすると、流れは次のようになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 期末の前(〜3月) | 請求漏れ・未払いの確認、在庫や前払いの洗い出し、役員報酬の確認 |
| 期末(3月31日) | 事業年度の終わり。預金残高などを記録する |
| 期末後1か月目(4月) | 帳簿を締め、貸借対照表・損益計算書などを作る |
| 期末後2か月目(5月) | 株主総会(合同会社は社員)で決算を確定し、申告書を作る |
| 5月31日まで | 法人税・地方税・消費税の申告と納付 |
| 期末から6か月後の2か月以内 | 前年の法人税額によっては中間申告 |
決算日は定款で決めた事業年度の末日です。決算日の決め方は法人設立の流れの記事で触れています。
手順1:期末の前に整えておくこと
決算の作業は期末を過ぎてから始まりますが、期末の前にしかできないこともあります。
- 売上の計上漏れを防ぐ:その事業年度に終わった業務の報酬は、入金が翌期でも、その期の売上になるのが基本。請求書の発行と業務の完了日を照らし合わせる
- 経費の未払いを把握する:期末までに受けたサービスで、支払いが翌期になるものを書き出す
- 役員報酬を確かめる:役員報酬は期首から3か月以内に決め、毎月同じ額を払うのが原則で、期末に合わせて増やしたり減らしたりはできない。決め方は役員報酬の記事で解説している
- 会社と個人のお金を分ける:会社の口座から個人の支払いをしていないか、逆に個人で立て替えた会社の経費がないかを確かめる
手順2:帳簿を締めて計算書類を作る
会社は、事業年度ごとに計算書類を作ります。株式会社は貸借対照表・損益計算書などの計算書類と事業報告とその附属明細書、合同会社は貸借対照表などの計算書類です。会社法では、計算書類を作った時から10年間保存すると定めています。株式会社は会計帳簿と事業に関する重要な資料も、帳簿を閉じた時から10年間保存します。
日々の記帳を会計ソフトで進めていれば、期末後は残高の確認と決算の仕訳が中心になります。記帳の進め方は会計ソフトの記事を参考にしてください。
手順3:株主総会で決算を確定する
法人税の申告は「確定した決算」にもとづいて行います。株式会社では、取締役が計算書類を定時株主総会に出して承認を受け、事業報告の内容を報告します。一人会社でも、株主である自分が承認したことを議事録に残しておきましょう。
株式会社は、定時株主総会のあとに貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告する義務があります。合同会社には、この決算公告の義務はありません。違いは合同会社と株式会社の違いの記事で解説しています。
手順4:申告書を作って期限までに出す
法人税
法人税の確定申告書は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、納税地を所轄する税務署に出します。申告書には、貸借対照表、損益計算書などの書類を添えます。
法人住民税・法人事業税
法人住民税は、法人税の申告書の提出期限までに、都道府県と市区町村に申告して納めます。法人事業税も都道府県に申告します。どの自治体に何を出すかは、事務所の所在地によって変わります。
法人住民税には、所得に関係なくかかる均等割があります。均等割の額は、資本金等の額や従業者数、自治体によって決まります。赤字で法人税がゼロの年でも、均等割はかかります。
消費税
消費税の課税事業者になっている会社は、課税期間の末日の翌日から2か月以内に消費税の確定申告書を出します。設立したばかりの会社が課税事業者になるかどうかや、インボイス登録との関係は消費税の納税の記事をご覧ください。
申告期限を1か月延ばせる場合
定款の定めなどにより、決算日の翌日から2か月以内に定時総会が招集されない状態が続くと認められる場合は、税務署長への申請によって、法人税の申告期限を1か月延ばせる特例があります。法人税でこの特例を受けている会社は、届出書を出すことで消費税の申告期限も1か月延ばせます。
ただし、延長の特例は申請や届出を出して初めて使えるもので、何もしなければ期限は2か月のままです。納付の扱いも含めて、延長を使うかどうかは税理士に相談したうえで決めてください。
赤字だった年の扱い
赤字の年も、法人税の確定申告書は出します。青色申告をしている会社は、赤字(欠損金)を翌期以降に繰り越して、その後の黒字と相殺できます。国税庁によると、平成30年4月1日以後に始まる事業年度に生じた欠損金は、10年間繰り越せます。
繰り越すには、欠損金が出た事業年度に青色申告書を出し、その後も毎期続けて確定申告書を出し、帳簿を保存している必要があります。申告を1年でも出し忘れると、使えなくなる場合があります。
中間申告が必要になる場合
事業年度が6か月を超える会社は、事業年度が始まってから6か月を過ぎた日から2か月以内に、中間申告書を出します。ただし、前の事業年度の法人税額をもとに計算した額が10万円以下の場合は不要です。設立した最初の事業年度も、中間申告はありません。
一人会社で利益が少ないうちは中間申告が要らないことが多いものの、利益が増えてくると、決算の半年後にも納税が来るようになります。資金繰りの計画に入れておきましょう。
申告が終わったら次の期の準備をする
決算と申告の時期は、次の事業年度がすでに始まっている時期と重なります。申告が終わったら、次のことを続けて済ませておくと、翌年の決算が楽になります。
- 役員報酬を見直す:額を変えるなら、期首から3か月以内に株主総会などで決める
- 前期の数字を見直す:利益の出方を見て、次の期の経費や設備の計画を立てる
- 納税の予定を書き出す:中間申告の有無、法人住民税の均等割、消費税の中間納付の有無を確かめる
- 書類を保存する:申告書の控え、計算書類、議事録を、保存期間を意識してまとめておく
役員報酬の改定と定時株主総会を同じ時期に行うと、議事録をまとめて作れます。
自分でやるか、税理士に頼むか
法人の申告書は、法人税・地方税・消費税で書類が分かれ、個人の確定申告より作る書類が多くなります。決算書の作成から申告までを税理士に頼むか、記帳は自分で行い決算と申告だけを頼むかなど、分担の形はいくつかあります。
どの形にするかは、取引の量や、自分が会計にかけられる時間で変わります。初めての決算は、作業の流れをつかむためにも税理士に相談しながら進める方法が考えられます。法人化そのものの判断は法人化のメリットとデメリットの記事で整理しています。
よくある質問
売上がほとんどない年も申告しなければいけませんか?
必要です。会社がある限り、事業年度ごとに法人税の確定申告書を出します。赤字でも法人住民税の均等割はかかります。事業を続ける予定がなく、会社を残す理由もない場合は、解散と清算も選択肢になります。流れは法人をたたむときの手続きの記事で解説しています。
決算日はあとから変えられますか?
定款で定めた事業年度を変えれば、決算日を変えられます。変えたときは、税務署などに異動届出書を出します。繁忙期と決算の時期が重なる場合などに検討されますが、変えた年は事業年度が短くなるなどの影響があるため、税理士にご相談ください。
申告期限に間に合わなかったらどうなりますか?
期限を過ぎてからも申告書は出せますが、期限内に出した場合より不利な扱いを受けることがあります。欠損金の繰越しなど、毎期の申告を前提にした仕組みにも影響しかねません。期限に間に合いそうにないと分かった時点で、税理士や税務署にご相談ください。
参考にした公的情報・資料
- 法人税法(e-Gov法令検索)
- 消費税法(e-Gov法令検索)
- 地方税法(e-Gov法令検索)
- 会社法(e-Gov法令検索)
- [手続名]異動届出書(国税庁)
- No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。