確定申告の期限に遅れたとき|期限後申告と無申告加算税・延滞税
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
確定申告の期限を過ぎても、申告はできます。期限後に出す申告は「期限後申告」と呼ばれ、税務署の調査の通知を受ける前に自主的に出せば、無申告加算税は原則として納める税額の5%です。期限から1か月以内に出し、税金を期限までに納めているなどの条件を満たせば、無申告加算税はかかりません。
ただし、納める税額があれば延滞税がかかり、青色申告の55万円・65万円の控除は受けられなくなります。遅れるほど負担は増えるため、気づいた時点ですぐに出すのが基本です。2026年10月時点の国税庁の情報をもとに整理します(国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令に基づく内容です)。
期限後申告のしくみ
所得税の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。令和8年分なら2027年3月15日(月)が期限になります。日程と準備の全体は確定申告の流れで解説しています。
国税庁は、期限を過ぎてしまった場合はできるだけ早く申告するよう案内しています。出し方は期限内と同じで、確定申告書等作成コーナーで作って e-Taxで送るか、印刷して税務署に郵送・持参します。e-Taxの準備はe-Taxの記事をご覧ください。
期限後申告で納める税金は、申告書を出した日が納期限になります。申告と同時に納めるつもりで準備しましょう。
無申告加算税は「いつ出したか」で変わる
無申告加算税は、期限内に申告しなかったことに対する加算税です。割合は、申告書を出したタイミングで変わります。令和5年分以後(2024年1月1日以後に申告期限が来るもの)の割合は次のとおりです。
| 出したタイミング | 納める税額のうち50万円まで | 50万円超300万円まで | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に申告 | 5% | 5% | 5% |
| 事前通知を受けた後、調査を受ける前に申告 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後に申告、または税務署の決定を受けた場合 | 15% | 20% | 30% |
このほかに、次のような上乗せがあります。
- 前年・前々年に無申告加算税や重加算税を課されている場合などは、10%が加算される
- 令和5年分以後で、調査の際に帳簿を提示しなかった場合や、帳簿に記載された売上が本来の2分の1に満たない場合は10%、3分の2に満たない場合は5%が加算される
自主的に出す場合と調査を受けてから出す場合とでは、割合が大きく違います。調査の通知が来る前に動くことが、負担を抑えるいちばんの方法です。税務調査の流れは税務調査の記事で解説しています。
無申告加算税がかからない3つの条件
次のすべてを満たす場合は、期限内に申告する意思があったと認められ、無申告加算税はかかりません。
- 法定申告期限から1か月以内に、自主的に期限後申告をしている
- 期限後申告で納める税金の全額を、法定納期限までに納めている(振替納税の手続をしている場合は、期限後申告書を出した日までに納めている)
- その期限後申告の日の前日から起算して5年前の日までの間に、無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、この条件による不適用も受けていない
2つ目の条件に注意が必要です。申告書だけでなく税金も期限に間に合っていないと、1か月以内に出してもこの扱いにはなりません。申告書の作成が間に合わないときでも、見込みの税額を先に納めておくかどうかは、税務署や税理士に相談して判断しましょう。
延滞税は期限の翌日から日数でかかる
期限後申告で納める税金があると、法定納期限の翌日から納める日までの日数に応じて延滞税がかかります。延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません。
2026年の延滞税の割合は次のとおりです。
| 期間 | 2026年の割合 |
|---|---|
| 法定納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
割合は毎年見直され、2022年から2025年までは年2.4%と年8.7%でした。2か月を過ぎると割合が大きく上がるため、遅れていても2か月以内に納めるかどうかで差が出ます。
納付が難しいとき
一度に払えない場合も、申告書は先に出しましょう。申告をしないまま時間がたつと、加算税と延滞税の両方が膨らみます。納付が難しいときは、早めに所轄の税務署に相談してください。
期限後申告で失うもの
青色申告の55万円・65万円の控除
青色申告特別控除の55万円・65万円は、確定申告書を期限までに出すことが条件です。期限後申告では、この要件を満たさないため、控除は10万円の枠になります。所得が同じでも、控除が45万円・55万円減る分だけ税額が増えます。控除の条件は青色申告の記事で解説しています。
還付申告でも期限は意味がある
源泉徴収された税金が多く、申告すると還付になる人は、翌年1月1日から5年間、還付申告を出せます。納める税額がないので、加算税や延滞税の計算のもとになる税額も生じません。
ただし、国税庁は、期限内の提出が条件になっている特例を使う場合は、還付申告でも期限までに出す必要があるとしています。青色申告の55万円・65万円の控除がその代表です。「還付だから急がなくてよい」と考えると、控除が減って還付額が小さくなることがあります。源泉徴収の精算は源泉徴収の記事をご覧ください。
書類が足りないときの考え方
期限に遅れる理由として多いのが、「書類がそろわないから出せない」というものです。ただ、申告を先延ばしにするほど延滞税の日数は増え、調査の事前通知を受ければ無申告加算税の割合も上がります。
取引先から支払調書が届かないこともあります。その場合でも、請求書の控えと通帳の入金記録があれば、売上と源泉徴収された額は計算できます。請求額と入金額の差が源泉徴収された税額にあたるかを、取引先ごとに確かめましょう。経費の領収書が一部見つからない場合も、カードの明細や注文履歴で支出を確かめられることがあります。
どうしても確定できない数字があるときは、わかる範囲で正しく計算して先に出し、あとで間違いが分かれば修正申告や更正の請求で直す、という順番も考えられます。どこまでを見込みで書いてよいかは、税務署や税理士に相談して決めてください。
遅れに気づいたときの手順
- 前年分の書類を集める:請求書の控え、入金記録、経費の領収書、源泉徴収された額がわかる書類、控除の証明書
- 申告書を作る:確定申告書等作成コーナーや会計ソフトで作成する。青色申告の人は決算書も作る
- できるだけ早く出す:e-Taxなら税務署に行かずに自宅から送信できる
- その日のうちに納める:期限後申告の納期限は提出した日。延滞税は納める日まで増える
- 延滞税も納める:法定納期限の翌日から納める日までの延滞税も、本税とあわせて納める
申告書を出したあとで間違いに気づいた場合は、修正申告や更正の請求で直します(修正申告と更正の請求の記事)。
加算税の割合や不適用の条件は、個別の事情で判断が変わります。具体的な判断は税務署や税理士にご相談ください。
よくある質問
期限を1日過ぎただけでも無申告加算税はかかりますか?
1か月以内に自主的に申告し、税金を法定納期限までに全額納めているなどの条件をすべて満たせば、無申告加算税はかかりません。税金の納付も遅れている場合は、自主的な申告であっても原則5%の無申告加算税がかかります。
還付申告なら、期限を過ぎても不利になることはありませんか?
還付申告は翌年1月1日から5年間出せます。ただし、青色申告の55万円・65万円の控除は期限内の提出が条件のため、期限を過ぎると控除が10万円の枠になり、還付額が減ることがあります。
何年分も申告していない場合はどうすればよいですか?
1年分ずつ期限後申告を出すことになります。年数が多いほど、無申告加算税や延滞税の負担は大きくなり得ます。調査の通知を受ける前に自主的に出すほど加算税の割合は低いため、早めに税務署や税理士に相談してください。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。