確定申告の間違いに気づいたとき|修正申告と更正の請求の違いと期限
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
確定申告の間違いに気づいたら、まず「申告期限の前か後か」と「税金が多すぎたのか少なすぎたのか」で直し方が決まります。期限内なら、正しい申告書を作って出し直せば、最後に出したものが申告として扱われます。期限後は、税額が少なかった場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求で直します。
更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。修正申告は、税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に出せば、過少申告加算税はかかりません。2026年10月時点の国税庁の情報(令和8年4月1日現在の法令)をもとに整理します。
直し方は3つに分かれる
| 気づいた時期 | 間違いの向き | 直し方 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 申告期限内 | どちらでも | 正しい申告書を作り直して期限内に出す | 申告期限まで |
| 申告期限後 | 税額が少なかった・還付が多すぎた | 修正申告 | 調査の事前通知の前に自主的に出すのが目安 |
| 申告期限後 | 税額が多すぎた・還付が少なかった | 更正の請求 | 原則として法定申告期限から5年以内 |
期限内なら出し直しでよい
国税庁の質疑応答では、申告期限内に同じ人から確定申告書が2回以上出された場合、特別な申出がなければ、最後に出されたものをその人の申告書として扱うとしています。期限内に間違いに気づいたら、正しく計算した申告書を作り直して出せば足ります。
ただし、先に出した申告が還付申告で、すでに還付の手続が進んでいる場合は、この扱いが認められないことがあります。その場合は税務署に問い合わせてください。
税額が少なかったときは修正申告
早く出すほど加算税は軽い
修正申告で納める税金が増えると、出したタイミングによって過少申告加算税がかかります。
| 出したタイミング | 過少申告加算税 |
|---|---|
| 調査の事前通知を受ける前に自主的に修正 | かからない |
| 事前通知を受けた後、調査を受ける前に修正 | 新たに納める税金の5%(当初の申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%) |
| 調査を受けた後に修正、または税務署の更正を受けた場合 | 新たに納める税金の10%(同じく超える部分は15%) |
令和5年分以後の申告で、調査の際に帳簿を提示しなかった場合や、帳簿の売上の記載が本来の2分の1に満たない場合は10%、3分の2に満たない場合は5%が上乗せされます。また、もとの申告が期限後申告だった場合は、過少申告加算税ではなく無申告加算税がかかることがあります。無申告加算税の割合は期限後申告の記事で解説しています。
納期限は出した日。延滞税もかかる
修正申告で新たに納める税金は、修正申告書を出した日が納期限です。あわせて延滞税も納めます。2026年の延滞税の割合は、法定納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%です。
延滞税には計算期間の特例があります。期限内に申告していて、法定申告期限から1年を過ぎてから修正申告をした場合などは、一定の期間が延滞税の計算期間から除かれます。偽りその他不正の行為で税を免れた場合などは対象外です。
税額が多すぎたときは更正の請求
税務署が調べてから減額される
更正の請求は、自分で税額を直すのではなく、税務署長に「減らしてほしい」と請求する手続です。更正の請求書を出すと、税務署がその内容を調べ、納めすぎと認められれば減額の更正が行われ、税金が還付されます(赤字の年は純損失の金額が増えます)。
所得や控除の金額が変わっても、最終的な税額が変わらない場合は請求できません。
期限は原則5年
更正の請求ができるのは、原則として法定申告期限から5年以内です。令和8年分(申告期限は2027年3月15日)なら、2032年3月15日ごろまでが目安になります。期限の数え方に迷う場合は、税務署にご確認ください。
根拠になる書類をそろえる
減額を求める理由が伝わるよう、控除証明書、源泉徴収された税額がわかる書類、計上し忘れた経費の領収書など、根拠になる書類を用意しておきます。
フリーランスに多い間違いと直し方
どちらの手続になるかは、間違いの結果、税額が増えるか減るかで決まります。
| 間違いの例 | 税額への影響 | 直し方(期限後) |
|---|---|---|
| 12月分の稼働の売上を翌年に回していた | 増える | 修正申告 |
| 個人的な支出を経費に入れていた | 増える | 修正申告 |
| 源泉徴収された税額の入力漏れ | 減る(還付が増える) | 更正の請求 |
| 国民年金・国民健康保険料の社会保険料控除の入れ忘れ | 減る | 更正の請求 |
| 経費の計上漏れ | 減る | 更正の請求 |
売上をいつの年に計上するかは、原則として業務を行い請求できるようになった年です。経費の範囲は経費にできるものの記事、源泉徴収の精算は源泉徴収の記事で解説しています。税額の計算の流れを確認したいときは所得税の計算の記事もご覧ください。
間違いが複数あり、増える分と減る分が混ざっている場合は、合計した結果で判断が変わります。自分で判断がつかないときは、税務署や税理士にご相談ください。
還付申告や赤字の年に間違いが分かったとき
還付を受けた年の申告に間違いがあった場合も、考え方は同じです。国税庁は、還付される税金が多すぎた場合は修正申告、少なすぎた場合は更正の請求で直すとしています。還付が多すぎた場合は、修正申告で差額を納めることになり、延滞税もかかり得ます。
青色申告で赤字(純損失)を翌年以後に繰り越している場合は、赤字の年の間違いが翌年以後の申告にも影響します。更正の請求で納めすぎが認められると、赤字の年は純損失の金額が増える形で直ります。繰り越した赤字を使った年があれば、その年の申告も見直しが必要になることがあります。どの年の申告をどう直すかは、税務署や税理士に確認しながら進めてください。
修正申告書・更正の請求書の作り方と出し方
国税庁のホームページにある「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で、画面の案内に沿って作成できます。作成したものは e-Taxで送信するか、印刷して所轄の税務署に郵送などで出します。e-Taxの準備はe-Taxの記事をご覧ください。
令和4年12月31日以後に課税期間が終わる所得税(令和4年分以後)では、修正前の課税標準などの記載は不要とされ、修正申告で申告書第五表(修正申告書・別表)も不要になっています。
修正の手順は次のとおりです。
- 当初の申告書の控えと、間違いの根拠になる書類を用意する
- 間違いの結果、税額が増えるのか減るのかを確かめる
- 作成コーナーや会計ソフトで修正申告書または更正の請求書を作る
- e-Taxで送信するか、税務署に郵送・持参する
- 修正申告なら、その日のうちに不足分と延滞税を納める
所得の金額が変わると、確定申告の内容をもとに計算される住民税などにも影響することがあります。修正後に届く通知の金額も確認しましょう。
よくある質問
e-Taxで出した申告を、紙の修正申告書で直してもよいですか?
国税庁の作成コーナーで作った修正申告書や更正の請求書は、e-Taxで送信するほか、印刷して所轄の税務署に郵送などで出すこともできます。どちらで出しても、調査の事前通知の前に自主的に出せば過少申告加算税はかからない点は同じです。
更正の請求をしたら、すぐに還付されますか?
更正の請求書を出すと、税務署がその内容を調べ、納めすぎと認められた場合に減額の更正が行われてから還付されます。出してすぐに還付されるわけではありません。根拠になる書類を添えておくと、確認が進みやすくなります。
青色申告の65万円控除を受け損ねていた場合、更正の請求で直せますか?
55万円・65万円の青色申告特別控除は、期限内に申告書を出すことなどが条件です。期限内に出していて、計算や記載の誤りで控除額が少なかった場合と、期限後に申告していた場合とでは扱いが異なります。個別の事情によるため、税務署や税理士にご相談ください。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。