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共済・将来への備え

経営セーフティ共済の仕組みと注意点|フリーランスの掛金・経費・解約

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先が倒産して売掛金を回収できなくなったときに、無担保・無保証人・無利子で事業資金を借りられる、国の機関(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する共済です。掛金は月5,000円から200,000円で、個人事業主は事業所得の必要経費にできます。

一方で、解約して受け取る解約手当金は事業所得の収入になり、掛金を納めた期間が40か月未満だと元本割れ、12か月未満なら掛け捨てです。「節税」のイメージだけで始めず、取引先の倒産への備えという本来の目的と、解約する時期の税金まで考えて使うことが大切です(2026年10月時点)。

制度の要点を一覧で見る

項目内容
運営独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)
目的取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐ
掛金月5,000円〜200,000円(5,000円単位)。増額できる。減額は事業の縮小などの場合に限る
積立の上限掛金総額800万円。達すると引き落としが止まる
掛金の税金個人事業主は事業所得の必要経費、法人は損金
借入れ取引先の倒産時に、掛金総額の10倍(上限8,000万円)まで。無担保・無保証人・無利子
解約手当金12か月未満は掛け捨て。40か月以上で掛金の全額
解約手当金の税金個人事業主は事業所得の収入金額になる

フリーランスは加入できるか

中小機構の加入資格では、個人事業主は次の条件を満たす必要があります。

業務委託で案件を受けているフリーランスは、事業所得で確定申告をして1年以上たっていれば、加入を検討できる場合があります。独立したばかりの年は、1年の要件を満たすまで加入できません。

加入できない主な場合

中小機構は、一般の消費者を取引先とする事業者など、売掛金債権が生じない業種は貸付けの対象にならない場合があるとしています。業務委託で企業から報酬を受け取るフリーランスは、報酬の未払いが売掛金にあたりますが、自分の取引で貸付けの対象になるかは、加入前に中小機構の窓口でご確認ください。

取引先が倒産したときの借入れ

経営セーフティ共済の本来の役割は、取引先の倒産で入金が止まったときの資金繰りです。

借りられる条件

中小機構の案内では、主に次の条件があります。

  1. 加入してから6か月以上たってから取引先が倒産した
  2. 倒産までに6か月分以上の掛金を納めている
  3. 倒産が起きてから6か月以内に借入れの手続きをする

ここでいう「倒産」は、破産・民事再生などの法的整理の申立て、手形やでんさいネットの取引停止処分、弁護士などからの支払停止の通知(私的整理)などです。中小機構は、いわゆる夜逃げは倒産にあたらないとしています。請求額が少額の場合(50万円と月間の総取引額の20%相当額のいずれにも届かない場合など)や、倒産を予知していた場合なども借りられません。

借りられる額と返し方

項目内容
借入限度額回収できなくなった売掛金等の額と、掛金総額の10倍のいずれか少ない額(上限8,000万円)
利率無利子
担保・保証人不要
返済(5,000万円未満の場合)5年(うち据置6か月)、54回の均等返済
掛金への影響借りた額の10分の1にあたる掛金の権利がなくなる

無利子ですが、借りた額の10分の1の掛金がなくなるため、実質的な負担がないわけではありません。返済が遅れると年14.6%の違約金がかかります。

掛金は必要経費になる

中小機構の制度のしおりでは、個人事業主が納めた掛金は事業所得の必要経費に入れられるとされています(租税特別措置法第28条)。小規模企業共済やiDeCoの掛金が「所得控除」なのに対し、経営セーフティ共済は「経費」として事業所得を減らす点が違います。

制度掛金の扱い受け取るときの扱い
経営セーフティ共済事業所得の必要経費解約手当金は事業所得の収入金額
小規模企業共済小規模企業共済等掛金控除(所得控除)共済金は退職所得または公的年金等の雑所得など
iDeCo小規模企業共済等掛金控除(所得控除)老齢給付金として課税

経費にするときの注意

申告のときの書き方や、必要な明細の添付などは、税理士・税務署にご相談ください。

解約手当金と元本割れの条件

解約手当金は「掛金総額×支給率」で計算されます。中小機構の案内による支給率は次のとおりです。

掛金を納めた月数任意解約機構解約(滞納など)
1〜11か月0%0%
12〜23か月80%75%
24〜29か月85%80%
30〜35か月90%85%
36〜39か月95%90%
40か月以上100%95%

自分の都合で解約する任意解約では、40か月以上納めて初めて掛金の全額が戻ります。また、掛金総額は、借入れで差し引かれた10分の1の額などを除いた金額です。

解約した年の所得が増える

解約手当金は、個人事業主の場合、事業所得の収入金額になります。掛金を払った年に経費として所得を下げた分が、解約した年にまとめて所得として戻ってくる仕組みです。

たとえば、所得が高い年に掛金を払い、案件が減って所得が下がった年や、事業をやめる年に解約すると、税負担を平準化しやすくなる、という考え方があります。反対に、所得が高い年に解約すると、税金と国民健康保険料が大きく増えることがあります。解約の時期は、税理士と相談して決めることをおすすめします。

倒産以外でも借りられる一時貸付金

取引先の倒産がなくても、解約手当金の範囲内で事業資金を借りられる「一時貸付金」の制度があります。

案件の切れ目で一時的に資金が足りないときに、解約せずに資金を用意する方法として知っておくとよいでしょう。最新の利率は中小機構の案内でご確認ください。

掛金を決めるときの考え方

  1. 主な取引先への依存度を見る:売上の多くが1〜2社に集中しているほど、倒産への備えとしての意味は大きい
  2. 40か月以上続けられる額にする:途中で解約すると元本割れし、減額できる場面も限られるため、案件が途切れても払える額にする
  3. 解約の時期を想定する:事業をやめる年、所得が下がる年など、解約手当金を受け取る年の見込みを立てる
  4. 小規模企業共済・iDeCoとの配分を決める:経費になる経営セーフティ共済と、所得控除になる制度は性格が違う

小規模企業共済の仕組みは小規模企業共済の記事、iDeCoはiDeCoの記事で解説しています。

よくある質問

独立したばかりでも加入できますか?

中小機構の加入資格では、個人事業主は継続して1年以上事業を営んでいることが条件です。独立した直後は加入できないため、事業所得で確定申告をして1年以上たってから検討することになります。開業日などの確認は中小機構の窓口でご確認ください。

掛金を払えなくなったらどうなりますか?

制度のしおりでは、事業規模が縮小したときや、経営の著しい悪化・病気・けがなどで掛金を払い続けるのが著しく難しいときなどに限り、掛金を減額できるとされています。掛金を12か月分以上滞納すると、中小機構による解約(機構解約)となり、支給率は任意解約より低くなります。払うのが難しくなったら、滞納する前に中小機構へ減額の手続きを相談してください。

法人化したら契約はどうなりますか?

個人事業主としての契約と、法人としての契約は別のものです。法人化したときに個人の契約を解約するのか、どのように扱えるのかは、法人化の手続きの前に中小機構に確認してください。解約手当金は個人の事業所得の収入になるため、解約の年の税金も含めて税理士にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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