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青色事業専従者給与とは|家族に給与を払うときの届出と要件

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

青色事業専従者給与は、青色申告をしているフリーランスが、生計を一にする家族に支払う給与を経費にできる制度です。家族が15歳以上で、その年に6か月を超えて事業に専ら従事していること、事前に届出書を出していること、金額が仕事の内容に見合っていることが主な条件です(2026年10月時点。国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令)。

届出書の期限は、原則として経費にしたい年の3月15日までです。給与を受け取った家族は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます。経費が増える分と控除がなくなる分の両方を比べてから決めることになります。

家族への支払いは原則として経費にならない

国税庁の「事業所得の課税のしくみ」では、事業主が生計を一にする配偶者や親族に支払う給料などは、原則として必要経費に算入されないとしています。家族の間でお金を移しても、世帯全体の所得は変わらないためです。

その例外が、青色申告者の「青色事業専従者給与」と、白色申告者の「事業専従者控除」です。どちらも要件を満たした場合に限って、家族への支払いを経費(白色は控除)として扱えます。

青色事業専従者になれる家族の条件

国税庁によると、青色事業専従者は次のすべてに当てはまる人です。

条件内容
続柄青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
年齢その年の12月31日現在で15歳以上
従事の期間その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事している(一定の場合は、従事できる期間の2分の1を超える期間)

「専ら従事」とあるとおり、ほかに本業がある家族が空いた時間に少し手伝う程度では、条件を満たさないことがあります。年の途中で開業した場合や、家族が病気などで従事できなかった期間がある場合は、「従事できる期間の2分の1を超える期間」で判断する扱いがあります。自分の家族が当てはまるか迷う場合は、税務署にご確認ください。

フリーランスのITの仕事で家族が担える業務

業務委託の案件は、契約した本人が役務を提供するのが前提です。取引先の業務そのものを家族が代わりに行うことは、契約で再委託が制限されている場合には認められません(再委託の記事)。家族が専従者として担うのは、請求書の作成や入金の確認、帳簿付け、経費の整理、スケジュールの管理といった、事業を回すための事務が中心になります。

その事務が「6か月を超えて専ら従事する」ほどの量になるかどうかは、事業の規模によって変わります。一人で月に数件の請求を出す程度なら、専従と言える業務量にならないこともあります。

届出書の期限と書くこと

国税庁によると、給与を経費にするには「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の税務署に出しておく必要があります。

状況提出期限
原則経費にしたい年の3月15日まで
その年の1月16日以後に開業した開業日から2か月以内
その年の1月16日以後に新たに専従者がいることになった専従者がいることになった日から2か月以内

届出書には、専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを書きます。実際の支払いは、届出書に書いた方法で、書いた金額の範囲内で行う必要があります。

増額や人数の変更は「変更届出書」

専従者が増える場合や給与を増額する場合は、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく税務署に出します。届け出た額を超えて払った部分は、経費として認められません。賞与を払う予定があるなら、支給期と金額を届出書に書いておきます。

金額は「労務の対価として相当」であること

国税庁は、給与の額が労務の対価として相当であることを条件にしており、過大な部分は必要経費にならないとしています。相当かどうかは、次のような点から判断されます。

家族への給与は、世帯の税金を減らす目的で高く設定したくなりがちです。仕事の内容に比べて高すぎる額は経費として認められないため、業務の記録(担当業務、日々の作業時間)を残しておくと、額の根拠を説明しやすくなります。

給与を受けた家族は配偶者控除・扶養控除の対象外

国税庁の配偶者控除・扶養控除の説明では、控除の対象になる要件の一つに「青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと」が挙がっています。1回でも専従者給与を受け取れば、その年は配偶者控除も扶養控除も受けられません。配偶者特別控除にも「その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと」という要件があり、同じく対象外です。

比べ方の例(仮の数字)

数字は説明のための仮のものです。配偶者に専従者給与を年間100万円払う場合と、払わずに配偶者控除を受ける場合を比べます。

比べる点専従者給与を払う払わない
事業主の経費100万円増える増えない
事業主の所得控除配偶者控除なし配偶者控除(本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円)
事業主の所得への影響100万円下がる38万円の控除
配偶者給与所得として課税の対象になる。額によって税金や社会保険の扱いが変わる所得なし

事業主の所得だけを見れば、給与を払う方が下がる額は大きくなります。一方で、配偶者の側に給与所得が生まれ、額によっては所得税や住民税がかかります。社会保険の扶養に入れるかどうかの基準も税金とは別にあります(扶養の記事)。世帯全体の税金・保険料と、実際に家族が担う仕事の量の両方で判断してください。

給与を払う側としての手続き

専従者給与は「給与」なので、払う事業主は源泉徴収義務者になります。国税庁によると、個人が人を雇って給与を支払う場合、支払いのたびに所得税と復興特別所得税を差し引き、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。

手続き内容
給与支払事務所等の開設届出書新たに給与の支払を始めて源泉徴収義務者になる場合、開設から1か月以内に税務署へ出す
源泉徴収と納付給与から税額を差し引き、原則として翌月10日までに納める
納期の特例給与の支給人員が常時10人未満なら、申請により1月〜6月分を7月10日、7月〜12月分を翌年1月20日にまとめて納められる

専従者が1人なら、納期の特例を申請しておくと納付の回数を減らせます。毎月の源泉徴収や届出など、事業主の事務が増える点も、制度を使うかどうかの判断材料に入れておきましょう。

白色申告の「事業専従者控除」との違い

白色申告の場合は、給与として経費にするのではなく、一定額を控除する仕組みです。国税庁によると、控除額は次のいずれか低い金額です。

  1. 事業専従者が配偶者なら86万円、配偶者以外なら1人50万円
  2. 控除前の事業所得等の金額を、事業専従者の数に1を足した数で割った金額
比べる点青色事業専従者給与白色の事業専従者控除
事前の届出必要(原則3月15日まで)不要(確定申告書に記載)
金額届け出た範囲で、仕事に見合った額配偶者86万円・その他50万円などの上限
配偶者控除・扶養控除受けられない受けられない

白色申告でも、事業専従者になった家族は配偶者控除・扶養控除の対象外です。青色申告の承認と専従者給与の届出は期限が近いため、あわせて準備すると漏れを防げます(青色申告の記事)。

家族の従事の状況や給与の額が要件を満たすかは、事実関係によって判断が分かれます。個別の判断は税理士・税務署にご相談ください。

よくある質問

会社員の配偶者に週末だけ手伝ってもらう場合も、専従者給与にできますか?

国税庁の要件は「その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事」していることです。ほかに勤務先があり、空いた時間に手伝う程度では、この要件に当てはまらないことが多いと考えられます。判断に迷う場合は税務署にご確認ください。

年の途中から家族に手伝ってもらうことになった場合、届出はいつまでですか?

その年の1月16日以後に新たに専従者がいることになった場合は、その日から2か月以内に届出書を出します。開業した年なら、開業日から2か月以内です。

届け出た給与額を年の途中で上げたい場合はどうしますか?

給与を増額する場合は、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく税務署に出します。変更届を出さずに届出額を超えて払った部分は、経費として認められません。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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