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業務委託契約の基礎

再委託とは|フリーランスが自分で人を使う・外注するときの注意点

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

再委託とは、発注者から受けた仕事の全部または一部を、さらに別の人や会社に任せることです。フリーランスに多い準委任契約では、民法上、発注者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときでなければ、他の人に任せることはできません(民法第644条の2・第656条)。実務では、契約書の再委託条項で「禁止」か「事前の書面承諾が必要」と決めていることが多いため、まず契約を確認します。

また、外注先に仕事を出すと、自分がフリーランス新法上の「発注者」になり、取引条件を明示する義務を負います。従業員を雇えば、自分がフリーランス新法で守られる立場から外れることもあります。2026年10月時点の法令と公的資料をもとに整理します。

再委託が問題になる場面

フリーランスが「自分で人を使う」場面は、大きく2つに分かれます。

場面例主に関係するルール
外注(再委託)受けた開発の一部を、別のフリーランスや会社に任せる契約の再委託条項、民法、フリーランス新法の明示義務
雇用アシスタントをアルバイトや社員として雇い、仕事を手伝ってもらうフリーランス新法の「従業員」の定義、労働関係の法律

どちらも、発注者から見ると「契約した本人以外の人が仕事に関わる」ことになります。契約上許されているか、情報の扱いは大丈夫かを、事前に確かめる必要があります。

契約の種類で変わる再委託の考え方

準委任契約:発注者の許諾が原則

民法第644条の2は、委任の受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者(受任者に代わって事務を行う人)を選べないと定めています。この規定は、法律行為でない事務の委託である準委任にも準用されます(第656条)。

システム開発の支援、PMO、ITコンサルなど、稼働時間で報酬が決まる案件の多くは準委任です。発注者は「その人のスキルを見込んで」契約しているため、本人以外が作業することは原則として想定されていません。

請負契約:契約の定めが中心

請負は、仕事の完成を約束し、その結果に報酬を支払う契約です(民法第632条)。民法の請負の規定には、準委任の第644条の2のような再委託の制限は置かれていません。そのため、再委託できるかどうかは、主に契約書の定めで決まります。

ただし、請負でも契約書に再委託の禁止や承諾の条項があれば、それに従う必要があります。契約の種類の違いは準委任と請負の違いの記事で解説しています。

契約書の再委託条項で確認すること

業務委託契約書では、再委託について次のような点が定められていることが一般的です。

  1. 再委託の可否:全面禁止か、発注者の事前の書面承諾があれば可か
  2. 承諾の取り方:誰に、どの方法(書面・メール)で、いつまでに申し出るか
  3. 再委託先の義務:秘密保持や個人情報の取扱いなど、自分と同じ義務を再委託先にも負わせること
  4. 責任の所在:再委託先の行為について、受託者である自分が責任を負うこと
  5. 成果物の権利:再委託先が作ったものの著作権などを、発注者に引き渡せる形にしておくこと

特に注意したいのは4と5です。再委託先がミスをしたり情報を漏らしたりした場合、発注者に対して責任を負うのは、多くの場合契約した本人です。再委託先が作った成果物の権利が再委託先に残っていると、発注者に約束した権利の移転ができなくなるおそれがあります。秘密保持と権利の扱いは秘密保持契約の記事と成果物の著作権の記事もご覧ください。

外注するとフリーランス新法の「発注者」になる

取引条件の明示義務がかかる

フリーランス新法の取引条件の明示義務(第3条)は、フリーランス同士の取引にもかかります。あなたが別のフリーランスに仕事を外注すると、あなたは「業務委託事業者」として、業務を委託したら直ちに、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメール・チャットで明示しなければなりません。口頭だけでは足りません。

明示する項目は取引条件の明示の記事で整理しています。自分が発注者から受け取る条件と同じ水準で、外注先にも条件を示すことが大切です。

従業員がいなければ、明示以外の義務はかからない

60日以内の支払期日、7つの禁止行為、ハラスメント対策などの義務は、従業員を使う発注者(特定業務委託事業者)が対象です。従業員のいないフリーランスが外注する場合は、取引条件の明示だけが法律上の義務になります。

ただし、義務がないからといって、支払を遅らせてよいわけではありません。自分への入金日と外注先への支払日の関係を考え、無理のない支払期日を決めて明示しましょう。

外注先とのトラブルは110番の対象外

フリーランス・トラブル110番の公式サイトでは、フリーランス自身が発注する側になった場合のトラブルは相談の対象外としています。外注先との間では、条件を文字で残し、行き違いを防ぐことがより大切になります。

人を雇うとフリーランス新法で守られなくなることがある

「従業員を使用しない」が特定受託事業者の条件

フリーランス新法で守られる「特定受託事業者」は、個人であれば従業員を使用しない人、法人であれば代表者1人以外に役員がおらず、従業員を使用しない会社です(第2条第1項)。

ここでいう「従業員を使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上継続して雇用される見込みの労働者を雇っていることをいいます。公正取引委員会のQ&Aなどでは、次のように整理されています。

ケース従業員を使用している?
週20時間以上・31日以上の雇用見込みのスタッフを雇うしている
短期・短時間の一時的な雇用していない
同居の親族だけを使うしていない
上の基準にあたる派遣労働者を受け入れるしている
別のフリーランスに業務委託(外注)する雇用ではないため、従業員の使用にはあたらない

なお、法人の場合、同居の親族を役員にすると、その親族は「他の役員」にあたるとされています。

雇うと立場が入れ替わる

基準にあたる従業員を雇うと、あなたはフリーランス新法の特定受託事業者ではなくなります。発注者から受ける仕事について、60日以内の支払期日や30日前の解除予告などの保護を受けられなくなります。

同時に、あなたがフリーランスに外注するときは「特定業務委託事業者」として、明示に加えて支払期日、禁止行為、ハラスメント対策などの義務を負うことになります。

判断は業務委託をした時点

Q&Aでは、従業員を使用しているかどうかは、業務委託をした時点で判断するとしています。その後に従業員の状況が変わっても、原則としてその時点の判断が維持されます。また、個別の業務や事業ごとではなく、個人や法人全体として従業員を使用しているかで判断します。

発注者は、業務委託の時点でこの点を確認することが望ましいとされています。人を雇い始めたら、取引先にも伝えておきましょう。

再委託を考えるときのチェックリスト

事業を広げて人を雇う段階では、法人化も選択肢になります(法人化のタイミングの記事)。契約や雇用の判断に迷う場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

よくある質問

別のフリーランスに外注すると、自分はフリーランス新法で守られなくなりますか?

外注(業務委託)は従業員の雇用ではないため、それだけで特定受託事業者でなくなるわけではありません。特定受託事業者かどうかは、従業員を使用しているかどうかで決まります。ただし、外注先に対しては、あなたが発注者として取引条件を明示する義務を負います。

家族に仕事を手伝ってもらうのは問題ありませんか?

フリーランス新法では、同居の親族だけを使っている場合は、従業員を使用していないものとされています。ただし、発注者との契約で再委託や第三者の関与が制限されている場合は、家族であっても承諾が必要になることがあります。機密情報の扱いも含めて、事前に発注者に確認しましょう。

発注者の承諾があれば、再委託先に客先で作業してもらってもよいですか?

契約上の承諾があっても、再委託先の人が発注者から直接指示を受けて働く形になると、偽装請負と判断されるおそれがあります。誰が誰に指示を出すのかを、発注者・自分・再委託先の間で事前に決めておくことが大切です。判断に迷う場合は専門家にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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