確定申告で使える所得控除の一覧|フリーランスが確かめたい16種類
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
確定申告で使える所得控除は、国税庁が示す16種類です。雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、基礎控除があります(2026年10月時点。国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令)。
会社員なら年末調整で会社が反映してくれる控除も、業務委託のフリーランスは自分で確定申告書に書かなければ受けられません。この記事では、16種類を「支払ったお金で決まる控除」と「本人や家族の状況で決まる控除」に分け、対象・金額・必要な書類を一覧にします。
16種類を2つに分けて見る
所得控除は、所得の合計から差し引いて、税金のかかる所得を小さくするものです。控除が決まる理由で分けると、確かめる順番が分かりやすくなります。
| 分け方 | 含まれる控除 | 確かめるもの |
|---|---|---|
| 支払ったお金で決まる | 雑損、医療費、社会保険料、小規模企業共済等掛金、生命保険料、地震保険料、寄附金 | 1年間の支払いの記録、証明書 |
| 本人や家族の状況で決まる | 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生、配偶者、配偶者特別、扶養、特定親族特別、基礎 | 12月31日時点の家族の状況、家族の所得 |
状況で決まる控除の多くは、その年の12月31日の現況で判定します。年の途中で家族の状況が変わった場合は、年末の時点で当てはまるかを見てください。
支払ったお金で決まる控除
| 控除 | 対象 | 控除額の決まり方 |
|---|---|---|
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金など | その年に払った全額 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済、iDeCoの掛金など | その年に払った全額 |
| 生命保険料控除 | 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料 | 契約の時期と保険料の額で計算。合計の上限は12万円 |
| 地震保険料控除 | 地震保険料(一定の旧長期損害保険料を含む) | 地震保険料は5万円以下なら全額、超えると5万円 |
| 医療費控除 | 自分や生計を一にする家族の医療費 | 払った医療費から保険金などを引き、10万円(総所得金額等が200万円未満なら5%)を超えた分。最高200万円 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税など特定寄附金 | 「寄附金の合計」と「総所得金額等の40%」の低い方から2,000円を引いた額 |
| 雑損控除 | 災害・盗難・横領で生活用の資産が受けた損害 | 損害額などから、総所得金額等の10%などを引いた額 |
フリーランスが特に確かめたい3つ
社会保険料控除は、独立後に国民健康保険料と国民年金保険料を自分で払うため、多くの人で金額が大きくなる控除です。数え方の決まりは社会保険料控除の記事で解説しています。
小規模企業共済等掛金控除は、自分で加入を決める制度の掛金が対象です。掛金の額を自分で決められるため、税金を見ながら調整しやすい控除です(小規模企業共済の記事、iDeCoの記事)。
生命保険料控除は、令和8年分以後、新しい契約の生命保険料について、23歳未満の扶養親族がいる場合の計算が変わっています。合計の上限12万円は変わりません。会社員時代は保険料控除申告書で会社に出していた証明書を、独立後は確定申告で使います。
医療費控除の詳しい対象やセルフメディケーション税制との選び方は医療費控除の記事、ふるさと納税の上限の考え方はふるさと納税の記事にまとめています。
本人や家族の状況で決まる控除
基礎控除
ほぼすべての人が受ける控除で、本人の合計所得金額で額が決まります。令和8年分・令和9年分は、合計所得金額が489万円以下なら104万円、655万円超2,350万円以下なら62万円などです。区分は細かく分かれているため、表は所得税の計算の記事か国税庁の「No.1199 基礎控除」で必ずご確認ください。
配偶者控除・配偶者特別控除
| 控除 | 主な条件(令和8年分) | 控除額 |
|---|---|---|
| 配偶者控除 | 生計を一にする配偶者の合計所得金額が62万円以下。本人の合計所得金額が1,000万円以下 | 本人の合計所得金額900万円以下なら38万円(70歳以上の配偶者は48万円)。900万円超は段階的に減る |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下。本人の合計所得金額が1,000万円以下 | 最高38万円。本人と配偶者の所得に応じて変わる |
配偶者の所得の基準は、令和7年分は58万円以下でしたが、令和8年分から62万円以下になります(令和8年12月1日施行)。
扶養控除・特定親族特別控除
扶養控除は、生計を一にする16歳以上の親族で、合計所得金額が一定以下の人がいる場合の控除です。令和8年分から適用される所得の基準は62万円以下です。
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
| 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) | 63万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外) | 48万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上・同居老親等) | 58万円 |
特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の家族の所得が扶養控除の基準を超えた場合に、所得に応じて段階的に受けられる控除です(令和7年分以後)。令和8年分は、家族の合計所得金額が62万円超85万円以下なら63万円、そこから123万円以下まで段階的に下がります。アルバイト収入のある大学生の子がいる人に関係します。
障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生
| 控除 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円 |
| 寡婦控除 | 27万円(本人の合計所得金額500万円以下などの条件あり) |
| ひとり親控除 | 35万円(本人の合計所得金額500万円以下などの条件あり) |
| 勤労学生控除 | 27万円 |
家族に専従者給与を払うと受けられない控除がある
配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除は、家族が青色申告者の事業専従者として給与を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないことが条件です。家族に給与を払って経費にするか、控除を受けるかは、どちらか一方になります。比べ方は青色事業専従者給与の記事で解説しています。
控除の判定に使う「合計所得金額」
基礎控除の区分、配偶者控除を受けられるかどうか、家族が扶養に入るかどうかなど、多くの判定は「合計所得金額」で行います。フリーランスの場合、売上ではなく、経費と青色申告特別控除を引いた後の事業所得が基準です。家族がフリーランスや個人事業をしている場合も、その家族の売上ではなく所得で判定します。
一方、医療費控除や寄附金控除の計算には「総所得金額等」を使います。似た言葉ですが、純損失の繰越控除を受けた年などは額が違います。言葉の違いは売上・所得・手取りの違いの記事で整理しています。
確定申告で漏れを防ぐ手順
- 1月から12月の支払いを集める:保険料・共済掛金・医療費・寄附の記録を、払った年ごとにまとめる
- 証明書をそろえる:国民年金、国民年金基金、生命保険、地震保険、小規模企業共済、iDeCoの証明書や、寄附金の受領証
- 家族の状況を書き出す:12月31日時点の配偶者・扶養親族の年齢、同居の有無、所得の見込み
- 申告書の控除欄を順に埋める:確定申告書等作成コーナーや会計ソフトの入力画面で、16種類を上から確かめる
控除の対象になるか迷うもの(家族の所得の見込み、保険契約の種類など)は、税理士・税務署にご相談ください。
よくある質問
所得控除と税額控除はどう違いますか?
所得控除は、税率を掛ける前の所得から差し引くものです。減る税金は「控除額×税率」の分です。住宅ローン控除などの税額控除は、計算した税額から直接差し引くため、控除額がそのまま税金を減らします。この記事の16種類はすべて所得控除です。
年の途中で結婚した場合、配偶者控除は受けられますか?
配偶者控除は、その年の12月31日の現況で判定します。年末の時点で配偶者であり、生計を一にしていて、配偶者の合計所得金額などの条件を満たしていれば、その年から対象になります。配偶者の年間の所得には、結婚前の所得も含まれます。
控除を申告し忘れたことに後から気づいたら、どうすればよいですか?
確定申告の後に控除の書き漏れに気づき、税金を多く納めていた場合は、更正の請求で取り戻せることがあります。手続きは修正申告と更正の請求の記事をご覧ください。期限があるため、気づいた時点で早めに税務署にご相談ください。
参考にした公的情報・資料
- No.1100 所得控除のあらまし(国税庁)
- No.1199 基礎控除(国税庁)
- No.1191 配偶者控除(国税庁)
- No.1180 扶養控除(国税庁)
- No.1177 特定親族特別控除(国税庁)
- No.1140 生命保険料控除(国税庁)
- No.1145 地震保険料控除(国税庁)
- No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)(国税庁)
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)
- No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)(国税庁)
- No.1160 障害者控除(国税庁)
- No.1170 寡婦控除(国税庁)
- No.1171 ひとり親控除(国税庁)
- No.1175 勤労学生控除(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。