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フリーランスが病気やけがで働けないときに使える制度|医療費・保険料・年金の順に確かめる

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

フリーランスが病気やけがで働けなくなったとき、会社員のような傷病手当金は、国民健康保険では市区町村などが任意で行う給付で、設けていなければ受け取れません。そのため、収入そのものを補う制度より先に、出ていくお金を減らす制度を順に確かめることが大切です。

具体的には、高額療養費で医療費の自己負担を抑える、国民健康保険料の減免と国民年金保険料の免除で保険料を減らす、重い障害が残ったときは障害年金を確かめる、の3段階です。仕事中や通勤中のけがなら、労災保険の特別加入をしていれば補償を受けられます(2026年10月時点)。

働けないときに確かめる順番

困りごと使える制度窓口
医療費が高い高額療養費、マイナ保険証・限度額適用認定証市区町村(国保)、国保組合
国民健康保険料が払えない国保の減免・徴収猶予市区町村
国民年金保険料が払えない免除・納付猶予市区町村の国民年金窓口、年金事務所
障害が残った障害基礎年金(会社員時代に初診日があれば障害厚生年金)年金事務所、市区町村
仕事中・通勤中のけが労災保険の特別加入(加入している場合)特別加入団体、労働基準監督署
税金医療費控除確定申告

所得補償保険など民間の備えの考え方は所得補償保険の記事で扱っています。この記事では、公的な制度の使い方に絞ります。

国保の傷病手当金は「任意」の給付

国民健康保険法第58条では、出産育児一時金と葬祭費は市町村などが行うものとされています。一方で傷病手当金は、条例または規約の定めるところにより「行うことができる」給付です。

つまり、傷病手当金を出すかどうかは、市区町村や国民健康保険組合が決めます。加入している国保組合によっては設けている場合もあるため、加入先に確かめてください。会社員のときから傷病手当金を受けていた人が、退職後も続けて受け取れる場合の条件は、所得補償保険の記事にまとめています。

医療費の自己負担を抑える高額療養費

1か月の自己負担に上限がある

高額療養費は、医療機関や薬局で払った医療費が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。国民健康保険にもあります。

厚生労働省の例では、2026年8月からの制度で、70歳未満・年収約370万円〜約510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円までに抑えられます。

長く療養する人の負担を軽くする仕組み

2027年8月からは、所得区分をより細かく分ける見直しが予定されています。自分の上限額は、加入している市区町村の国民健康保険の窓口で確かめてください。

窓口での支払いを上限までにする

マイナ保険証を使うか、事前に「限度額適用認定証」を受け取って提示すると、入院でも外来でも、月ごとの上限額を超える分を窓口で払う必要がなくなります。いったん全額を立て替えると手元の資金が一時的に大きく減るため、入院や高額な治療が決まったら早めに準備しておくと安心です。

1年間に払った医療費が一定額を超えた場合は、確定申告で医療費控除を受けられることがあります。詳しくは医療費控除の記事をご覧ください。

保険料の負担を減らす

国民健康保険料の減免は市区町村ごとに違う

厚生労働省は、災害その他特別の事情で国民健康保険料を納めることが難しい場合、減免や納付猶予を受けられる場合があるとしています。対象や内容は市区町村ごとに決まっています。

たとえば堺市では、事業の休廃止や失業などで所得が大幅に減り、保険料を納期限内に納めることが難しい場合、納期限までに申請すると所得割が減額される制度があります。病気やけがで仕事を休み、所得が減る見込みになったときは、お住まいの市区町村で同じような制度があるかを確かめてください。国保の軽減と減免の全体は国民健康保険料の軽減と減免の記事で整理しています。

国民年金は未納にせず免除を申請する

国民年金保険料は、前年の所得が一定額以下の場合などに、申請して承認されると全額または一部が免除されます。50歳未満の人は納付猶予もあります。申請は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)についてできます。

日本年金機構は、免除や納付猶予を受けた期間中に病気やけがで障害が残った場合でも、一定の要件に該当すれば障害基礎年金を受け取れることを、申請のメリットに挙げています。払えないまま未納にしておくと、次に説明する障害年金の納付要件を満たせなくなるおそれがあります。所得の基準と年金額への反映は国民年金の記事をご覧ください。

重い障害が残ったときの障害年金

初診日にどの年金に入っていたかで決まる

障害年金は、病気やけがで生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代でも受け取れる年金です。病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に国民年金に加入していれば障害基礎年金、厚生年金に加入していれば障害厚生年金を請求できます。

会社員のときに初診を受け、その後独立した人は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。障害厚生年金には、障害基礎年金にない3級や、一時金の障害手当金があります。初診日がいつだったかを、受診した医療機関の記録で確かめておくことが大切です。

障害基礎年金の要件

日本年金機構の案内による主な要件は次のとおりです。

  1. 初診日が国民年金の加入期間などにあること
  2. 障害認定日に、障害等級表の1級または2級に該当すること
  3. 保険料の納付要件を満たすこと(初診日の前日に、初診日のある月の前々月までの加入期間の3分の2以上が納付済みまたは免除。または、初診日が令和18年3月末日までで65歳未満なら、直近1年間に未納がないこと)

年金額(令和8年4月分から)

等級昭和31年4月2日以後生まれ昭和31年4月1日以前生まれ
1級1,059,125円+子の加算額1,056,125円+子の加算額
2級847,300円+子の加算額844,900円+子の加算額

子の加算額は、2人目までは1人につき243,800円、3人目以降は1人につき81,300円です。

請求の時期

障害認定日に障害の状態にあれば、その翌月分から受け取れます。請求はいつでもできますが、さかのぼって受け取れるのは5年分までです。障害認定日には該当しなくても、その後に症状が重くなった場合は、65歳の誕生日の前々日までに請求すれば、請求した翌月分から受け取れます(事後重症による請求)。

障害基礎年金または1級・2級の障害厚生年金を受ける人は、国民年金保険料が免除されます(法定免除)。厚生労働省の公的年金シミュレーターでは、2026年4月から障害年金の試算機能が試験運用されています。

仕事中・通勤中のけがは労災の特別加入

フリーランスは労災保険に特別加入できます。業務や通勤が原因のけがや病気に備える制度で、事前に加入しておく必要があります。加入の区分、保険料、受けられる給付は労災保険の特別加入の記事で解説しています。

よくある質問

入院して1か月働けません。国民健康保険から収入の補償はありますか?

国民健康保険の傷病手当金は、市区町村などが条例や規約で定めた場合に行う任意の給付です。設けていない場合は、収入の補償は受けられません。加入している市区町村や国保組合で確かめたうえで、医療費は高額療養費、保険料は減免・免除で負担を減らします。

高額療養費の上限額はどうやって調べればよいですか?

上限額は年齢と所得で決まります。国民健康保険に加入している人は、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で確かめられます。2026年8月から上限額と年間上限の仕組みが変わっているため、最新の案内をご確認ください。

会社員のときに通院を始めた病気が悪化しました。障害年金はどちらになりますか?

初診日に厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。初診日の確認や納付要件の判断は、年金事務所にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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